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宍道湖に浮かぶ嫁ヶ島には、
松の木が生い茂っている
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宍道湖
嫁ヶ島を背にして、水面を赤く染めながら宍道湖に沈みゆく夕日は、息をのむ美しさを放つという。
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水難供養のために建てられた袖師地蔵 |
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朝方の宍道湖には、無数のしじみ舟が浮かんでいる。
そして、しじみ漁の様子を見守るように、湖面にぽっかり姿を現しているのが、嫁ヶ島である。
この周囲240メートルの小さな島には、悲しい伝説がある。
姑にいじめられて実家に帰ろうとした嫁が、凍った宍道湖の上を渡っているときに氷が割れ、湖のなかに吸い込まれてしまった。これを見ていた宍道湖の神様が、あわれな嫁の亡骸とともに、一夜のうちに島を浮かび上がらせたのが「嫁ヶ島」なのだ——。
あまりにもかわいそうな話であるが、松江の冬はそれほど厳しいということをあらわしているのだと思う。
世界を股にかけた流浪の旅人・小泉八雲が耐えられなかったほどの寒波だ。
しかし、冬になって静けさを増した松江の町にしんしんと降り積もる雪には、えもいわれぬ風情があるのではないかとにらんでいる。
もし、冬に失恋旅行をする機会に恵まれた際には、松江を選ぼう。
頭の芯から冷やして、「私の見る目がなかったのね」と自分を納得させようではないか。
そして、松江のひとの優しさに触れ、ゆるやかに流れる"出雲時間"に身をまかせたなら、心の傷もたちまち癒されるってもんだ。 さらには、しんじ温泉につかって、風呂あがりにくいっと1杯ひっかけて……。
うーん。今から恋をすれば、今年の冬に間に合うかしら。
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