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松江大橋近くに位置するお茶の老舗・千茶荘
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千茶荘
千茶荘では、高めの温度で火入れした茶葉や、季節に応じた茶道具を販売している。また、喫茶コーナーで抹茶をいただくこともできる。 |
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千茶荘の原田由美さん
きりっとした雰囲気のなかに
柔らかな物腰を漂わせる |
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松江は、全国でも有数の茶道がさかんな町である。そこで、この地にあるお茶と茶道具の専門店「千茶荘」に訪問させていただくことにした。今回お話をうかがった千茶荘の原田由美さんは、煎茶の香ばしい匂いを漂わせながらあらわれた。
「松江では、毎日十時と三時に"お茶の時間"があるんですよ」
——ひょえ〜、一日二回も?
「会社で勤務しているときでも、みんなで休憩を取ってお茶とお菓子をいただくんです。私どもも、社員一同ずらっと並んでお茶を飲みます。よそから来られたかたは、みなさん驚かれますね(笑)」
——なぜそういった習慣が根付いたのでしょうか。
「松平不昧公の影響が大きいと思います。昔からお茶を飲むのが日常的になっていて、どこに行っても抹茶や煎茶が出てきますしね」
——松江では、茶道も盛んにおこなわれていると聞きます。
「小さい頃から抹茶が近くにあるから、松江で生まれた人間は、最初から茶道の入り口にいるんですよ。男性にも嗜(たしな)んでいる方が多いですね。お茶がおつき合いの手段になっており、仕事における交友関係にも関わってくるからだと思います」
——麻雀やゴルフでなく、茶道ですか。渋い! 主流の流派はありますか?
「不昧流や武者小路流、裏千家、表千家など、どの流派も活発に活動しています」
——千茶荘さんで販売されているお茶は、どちらの茶葉を使っておられるのでしょうか。
「各地で生産された茶葉を、嗜好に応じて独自の製法でブレンドし、"出雲銘茶"を作っております」
——取り扱われている器はどちらのものですか。
「煎茶碗や抹茶碗の多くは、京焼きのものを販売しております。京都のお道具やさんから茶道具を仕入れることも多いですね」
——最後に、お茶を愛する松江の人たちにとっての京都とは?
「憧れだと思います。茶の湯に限らず、文化自体が京都から来ているものが多いのではないでしょうか」
お話をうかがっている間に、原田さんが淹れてくださった煎茶を、実に6杯もおかわりしてしまった。いくらなんでも飲みすぎやろか。しかし、美味しかったのだから仕方ない。
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