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ガハハ笑いに自信が満ち溢れている
歴史を物語る看板
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今回、金沢から少し離れた鶴来町にある「菊姫合資会社」の代表・柳達司さんにお話をうかがうことができた。
柳さんのお話を通じて、加賀が誇る銘酒「菊姫」が生まれた背景を探ってみよう。
——創業はいつ頃から?
「天正時代(安土・桃山時代)からと聞いています。私で17代目となりますね。もとは大地主で、小作米を搾取していたんですよ。ガハハ!」
——搾取、ですか。
「そう、搾取した米で酒を作っていたわけです。自分のところでも米作りはしていました」
——現在はどこの米を使って酒作りをされているんでしょう。
「うちは吟醸酒から普通酒にいたるまで、すべての酒に『山田錦』を使っています。兵庫県の美嚢郡吉川町と契約を結んで、村米を確保しております」
——ものすごいこだわりですね。
「吉川町の山田錦は、日本で一番高くていい米です」
——水はどこの水を?
「白山山系から流れる手取川の雪解け水を使っています」
——安いお酒が増えているなかで、菊姫が高級酒として断固たる地位を築いている理由を教えて下さい。
「金沢は見栄っ張りが多いんですよ。だから一級酒市場が保たれてきたんだと思います。武士は食わねど高楊枝、でね。ガハハ!」
——菊姫の味は甘口ですか、辛口ですか。
「うちの酒は"うまくち"。濃醇うまくちです」
柳さんにお話をうかがったあと、酒を作っている「平成蔵」のなかを従業員の方に案内していただいた。
ちょうどそのとき見学に来ていた酒造会社の社長さんが、その設備の凄さと手間のかけかたに舌を巻いてはったのが、とても印象的である。
さて。
今、私は京都に舞い戻り、買ってきた菊姫を飲んでいる。
ウイッ、いい気分になってきたぞ。
なるほど、これがうまくちか。
遠くで柳さんのガハハ笑いが聞こえる。 |