大滝鍾乳洞
数億年の時が刻んだ鍾乳石の芸術を、700メートルに及ぶ鑑賞コースを歩いて堪能することができる |
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大滝鍾乳洞名物・流しそうめん。郡上おどりで鍛えた俊敏さを生かして大量のそうめんを食らってから探検へGO |
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鍾乳洞に足を一歩踏み入れた途端、私は思わず身震いした。
鋭い冷気が体を包む。
ぴちょぴちょと雫を滴らせる、水分をたっぷりと含んだ岩肌に手を触れると、氷のように冷たい。
洞窟に取りつけられた照明は少なく、懐中電灯で足元を照らしながら進まなければならない。
冬のそれとは違う寒さが、うっかり異世界に迷い込んでしまったような恐怖感をあおる。
ギャー!
意味もなく叫んだりして、探検隊気分にどっぷりと酔いしれながら、自然が造った芸術作品を鑑賞する。
鍾乳石には、赤みを帯びた生々しいもの、乳白色のあたたかみのあるもの、濁った色のおどろおどろしいもの、など、色々な種類がある。
どれも、自然に意思があるとしか思えないほど、繊細な作品ばかりだ。
なんと、鍾乳石は、1センチ伸びるのに100年かかるらしい。驚愕である。
しかも、まだまだ成長を続けているというではないか。愕然である。
自分の日常が、とんでもなくせせこましいものに思えてきた。
この、一回息を吸う間に過ぎる一瞬は、全く無意味であるのかしら。いや自然にとっても、これらの鍾乳石を造るために必要な一瞬なのだからとてつもなく意味があるのだ。
なんてわけのわからないことを考えているうちに、ザーッと水が流れる音が聞こえてきた。
なんだこの音は!
——現場に急行すると、そこには大きな滝があった。
地底に落差30メートルの大滝。
目の前で繰り広げられている神秘的な光景に、ただひれ伏すばかりである。
地底の滝では日本一の高さだといわれているという。
自然の意匠はどこまでも、地の果てまでも続いているのだろう。かなわん。
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