「打吹山に鳴り響く音色」
緑豊かな打吹山から見た倉吉の町並み
緑豊かな打吹山から見た倉吉の町並み
DATA打吹山
打吹山に登ると、長谷寺へと続く山道や展望台から、倉吉の町並みを見ることができる。
ふてえ野郎だ。
天女が水浴びをしているとき、偶然居合わせた男がその美しさに魅せられて、羽衣を持ち帰った。
羽衣がなければ天に帰ることができず、困った天女は男の妻になり、二女をもうけたという。うむむ。天女は羽衣を探しつづけたが、男は羽衣を箱のなかに隠して鍵をかけていた。
しかし。
天女は、やがて成長した娘たちから羽衣の入った箱と鍵の在りかを聞き出し、見つけてしまう。
そして羽衣を纏った天女は、ふたりの娘を残してはるか天界に帰ってしまった……。
信じられない出来事に驚き、悲しんだ娘たちは、母親が音楽を好んでいたことを思い出し、鼓と笛を持って近くの山に登った。
母を呼び戻したい一心の娘たち。ひとりは鼓を「打」ち鳴らし、ひとりは笛を「吹」き鳴らしたことから、この山に「打吹山」という名がついたという。

——これが、倉吉に伝わる羽衣伝説である。
恋心と子供心と母心と望郷の念が不毛に絡まった、悲しいお話である。
いちばんの罪は、男の恋心と身のほど知らずや。あほー! と、罵りところであるが、「このひとをなんとしても手に入れたい!」という気持ちはわかる気がするのであった。
天女はとうとう地上に戻ってこなかったという。
打吹山の豊かな自然が、娘たちの深い悲しみを少しでも癒したことを願う。
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