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遊歩道にのどかな音を振りまきながら、
ロープウェイがいく
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文学のこみち
1キロほどの遊歩道に25個の石碑がたたずみ、尾道ゆかりの文人の言葉を伝えている。 |
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なだらかな山道に、松ぼっくりが点々と転がっている。
千光寺山の中腹、文学のこみちを歩く。
松の緑と石碑の素朴さのなかに身を置いているうちに、文学少女な気分になってくる。
徳富蘇峰、正岡子規、一辺舎一久、志賀直哉。
文人の想いが込められた石碑を眺めつつぼんやり歩いていると、視界がぱっと明るくなった。 眼下に広がる、あまりにも青い海に、私はたじろいだ。
海の手前に、林芙美子の石碑が座っている。 五年ぶりに帰ってきた彼女が、汽車から尾道の町を見たときの気持ちを綴った『放浪記』の一節が刻まれている。
美しい海は、都会で苦しい暮らしを強いられてきた彼女を癒したのかな。だけど、この海の青さを見ていると、なんだか切なくなってくるな。
なんて感傷に浸りながら風景を噛みしめていると、ガラガラと頭上に音が迫ってきた。
空を見上げたら、千光寺山を登るロープウェイが、新しい旅人を運んでいった。 |