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【その1】新撰組マメ知識 | ||||
坂本: | 今日梅田に行ったんですが、梅田駅にあるオーロラビジョンで偶然新撰組の番組をやっていて。 思わず立ち止まって見入ってしまいました。 |
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松吉: | 新撰組関係で日曜日の京都はすごい人出ですよね。 五条通は車を通行止めしていますし。私のところでもガイドの依頼がすごいんです。やはり新撰組は人気があるんですね。 |
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坂本: | NHKの大河ドラマも割合に好調のようですし、京都にとってはありがたい話ですね。 | |||
松吉: | 三谷幸喜さんのシナリオですが、史実にないことも面白おかしく書いてありますよね。たとえば近藤勇が坂本龍馬と会ったとか、桂小五郎と会ったとか……。 | |||
坂本: | 佐久間象山と黒船を見に行ったとか(笑)。 面識あるわけないのに、いいのかなぁと思いますよね。 |
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松吉: | あまり歴史をご存じない、特に若い方ですとNHKの大河ドラマでやっていたら本当のことだと思われますよね。まぁ同じ時代の人間ですから出会う可能性はあったでしょうけど……。 | |||
坂本: | 歴史観が変わってしまいますよね。ところで、会津藩が京都守護職になったのはたまたまなんですか? | |||
松吉: | 幕府にとって一番信頼があったのが会津藩なんです。家光の異母弟・保科正之が会津藩を作ったんですから。京都には勤皇浪士とか色んなやつが集まっていて、「そんなところの治安を任されたら大変なことになるぞ」と会津藩の家老も反対したんですが、松平容保は真面目な人で、「将軍に頼まれたら断るわけにはいかない」と引き受けるわけです。幕府のほうでは京都守護職や奉行所の公的機関だけではとても治安を守りきれないから、清河八郎が230名の連中――のちの新撰組を引き連れて京都に来るわけなんです。 | |||
坂本: | 映画にもなった壬生義士伝の人、あの人はなぜ盛岡から? | |||
松吉: | 吉村貫一郎はもともとは侍です。下級藩士ですけどね。喰うに困った下級藩士は、脱藩して一旗あげようと新撰組や天誅組、勤皇浪士になったりする人が多かった。武士の脱藩は重罪で、殺されても仕方がなかったんですが、当時は藩自体に統制力がなく見逃しです。そういう人が新撰組にも勤皇方にもたくさんいました。力のある者が自分で道を切り開いていく、新撰組なんかはその最たるものですよね。近藤なんかはあそこまでよく頑張ったと思います。近藤は多摩で養子にいった試衛館(しえいかん)という道場を引き継ぎますけど、試衛館での剣道仲間――土方歳三、山南敬助、永倉新八らが新撰組の組織の中核になっているんです。損得ではなく、同志的な結合で。組織というのは核がしっかりしているともちますよね。 | |||
坂本: | 山南も死に方が……。 | |||
松吉: | 山南は仙台藩の武家の出です。下級藩士で脱藩して。長男ではないので家督は継げませんから。それで試衛館に行って近藤と道場で一緒になって。 | |||
坂本: | 脱走して捕まりますよね。 | |||
松吉: | 山南はどちらかと言うと理論派で、理論はどうでもよいという土方と合わなくなるんです。西本願寺に強引に屯所を移した時、山南はそういう無理強いをしたらいかんと反対するんですが、近藤や土方は聞きませんよね。山南は新撰組の中での実権はなくて、そういう不満もあって脱走するんです。沖田総司と山南は仲がいいんですが、その沖田に土方は「お前が追え」と言います。これが土方のすごいところですね。人情として弟分みたいにかわいがっていた沖田がくれば、山南も仕方がないかなぁとなるわけですよ。 | |||
坂本: | 前川邸で切腹するんですよね。 | |||
松吉: | 今は田野製袋所という袋を作る会社になっています。もちろん今は経営者が代わっていて前川さんとは関係ありません。そこで山南が切腹するんですけど、介錯するのが沖田なんです。罪人を斬首する場合の切る役は役目で決まっています。でも普通の武士が自分が責任を感じて自ら切腹する場合は、介錯するのは友達とか、一番仲がいい人なんです。もちろん剣の腕がなければできませんよ。これはあの時代の悲しいところというか、かわいそうなところですね。 | |||
協力:「さつき」
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