
中村 達
(ホスト役:坂本 良隆) |
(その2)ライフスタイルに自然体験を |
中村: |
最近思うのですが、食品や嗜好品を作っている企業はそのようなメッセージを発信しやすいですよね。 |
坂本: |
そうですね。メッセージ発信に関しては、弊社の親会社の宝酒造は、早くからがんばりました。「カムバック サーモン」という運動は20年前に行いました。これは、カナダのフレーザー川、札幌市内の豊平川に鮭を戻そうという運動を10数年間行いまして、かなり自然回帰するようになり、子供が稚魚を放流することで鮭が戻ってくる川が当たり前になりました。京都は、由良川まで放流していました。最初はそのようなことをする基金を提供していました。
その次の試みとして、宝酒造が販売しています清酒「松竹梅」にちなんで松が枯れる竹林が無くなっていくことに危機感を覚え、「松を守る、竹を守る」支援を行いました。松枯れ状態はなかなか難しいですね。
現在は四万十川の自然を残そうと支援しています。環境を意識した「自然と社会と人間との調和」が会社のスローガンですから、缶、ビンのリサイクルなど各事業所でもクリーンカン作戦に取り組んでいます。
でも環境について頭の中で考えてもだめですね。身体で覚えるとおしゃったように、子供の時に訓練しておくと身につくのでしょう。アクションというより、守るというフェーズでは宝酒造はよくやっていると思います。
今度は逆に我々が期待することは、夫婦が共に働く時代でもありますから、週休2日制になってパソコンやゲームに向かっているだけではなく、子供とどのように自然の中で遊ぶかが大事なことになってきますよね。ですから本当に中村さんのようなこれからのアクションに期待しています。 |
中村: |
日本には、1350万人の幼稚園児と小中学生がいるんですね。親も入れると3000万人の自然体験学習という切り口のマーケットができるわけです。そういうターゲットに、国は年30時間のゆとりの教育を連続で使うように提言しています。「パソコン」と「自然」この2つがキーワードです。
そしてもうひとつが週3時間の「ゆとりの教育」をしなさいと。国は17歳の非行問題もあり、真剣に取り組んでいるのでしょう。自然体験のある子供達ほど、正義感と道徳感が充実しているという調査データが出ました。平成11年6月に生涯学習審議会が諮問しています。だからそれをもとに自然体験教育をやろうというアクションプログラムに変ってきているんですね。来年の4月から5年間でそのようなムーブメントが起こせなかったら、日本にはそういうライフスタイルが育たないと私は思います。 |
坂本: |
最初が肝心ですね。もう当たり前に土日のイベント企画があって、そこに参加するそういう形がいいように思います。核家族の問題もあって、今のままですと協調性も乏しいし、強いもの弱いものそれぞれが助け合う機会を覚える事が大切で、単に机上の教育だけではダメですよね。 |
中村: |
ここへ来て、構造改革がどうのと問われていますが、つまり我々のライフスタイルをどうするかという事につながると思います。どのように上手く生きていったらいいか、極端に言ったら300万円の年収でいかに豊かに生きていくかという考えもありますよね。実際ニュージーランドはそうです。彼らは、250万円〜300万円くらいです。 |
坂本: |
オーストラリアも日本と比べるとはるかに年収は低いですよね。それでもなぜかとても豊かに見えるんですよね。 |
中村: |
そう、彼らはごく普通のサラリーマンでもクルーザーを持っています。 |
坂本: |
遊び方が違いますね。ゴルフでも1回500円で日本とは比べものにならないくらい安い。ゴルフがブルジョアのスポーツではない。つまり、日本がそうしてしまっている。マリンスポーツなどもリッチなスポーツになってしまってます。 |
中村: |
これからそのあたりのことが問われてくるのでしょう。私達の生活スタイルを変えないとやっていけない時代になるでしょう。 |
坂本: |
私は、老後のライフスタイルをどう考えるかが問題でしょうが。(笑) |
中村: |
坂本社長より一世代若い世代になりますが、この年代が若い人達にどういうメッセージを送るかを放棄したように思います。大きな問題です。60歳の子供は30歳代でしょう。その30代の子供が自分の子供を教育しようとしているわけですから。この層は、戦争体験により、自然体験が少ないわけですから伝承されていない。その子供の30代である親は、当然自然体験が少ない。 |
坂本: |
連れて行きたいけど、連れていけないという事もありました。また、高級ホテルに泊まってリゾートしたじゃないと子供に言っても覚えていない。それは与え方がよくなかったとも思います。やはり生活環境、つまりはライフスタイルに自然体験が溶け込んでいなかった結果です。 |
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