京の町のあらゆることを徹底的にしらべあげる、恐れを知らぬ集団。それが京ノ探偵団だ。
依頼人からの要望に答えるべく、今日も町のどこかで活動している・・・
■インタビュー
「
藍屋 Japan Blue
」
の藍染師、小谷佳弘さん(41歳)にお話を伺いました。
■とても印象的な屋号・雰囲気ですね!まず、店名について教えていただけますか?
お客様は、中学生から83歳の方まで、そしてヨーロッパを中心とした世界各国からいらっしゃいます。日本人の方には「藍屋」の屋号で、そして外国からいらっしゃった方には藍を表す「Japan Blue」という屋号で、この店の事が幅広い方々にわかってもらえるように、と考えています。
■京都といえば海外からのお客様にも人気がある街。京都らしさ、日本らしさを味わいに来られているのかもしれませんね。
ブルーアイをお持ちのお客様は、青という色に対する感性が優れているような気がします。天然の「ブルー」のレンズを通してご覧になるせいか、天然の藍から出た色、化学染料で染めた色を見分ける力に舌を巻くときがありますよ。
■路地の奥、この場所でお店を始められるまでには色々ご苦労があったのでは?
もともとこの場所は私の実家、そして京友禅の工場なんです。その関係もあって、18歳から13〜4年は友禅の修行をしていました。藍染めの修行は8年ほど前から、そしてこの店はオープンして7月でまる2年になります。
■では、工房を拝見…。おっ!これが藍屋さんの命、藍瓶ですね。私の印象では、藍瓶は地面に埋まっている印象があるのですが…ちょっとイメージが変わりました。
藍染の原料には、「すくも」という藍の葉を発酵させたものを用います。すくもを使って藍を建てていくわけですが、一つの瓶が藍染めに適した状態になるまでに30〜40日かかります。藍は生き物ですから、その間の世話も大変!藍屋の瓶は一つにつき120kgのすくもと約1tの灰汁を使用しますが、せっかく建ててもまわりの環境によって全く使い物にならないものに仕上がる可能性もあります。藍に接するときは、片時も気が抜けませんね。もちろん、長期の旅行なんてもってのほか!藍の状態によっては、ブドウ糖やお酒、水飴をいれてやるなど、まるで手のかかる子供がいるようです。(笑)
この藍瓶で、着物が二十反染まるぐらいですね。ただ、二十反はあくまでも目安。毎日の状態によっても変わってきます。
■お、お酒?(汗)のんべぇなんですね、藍って。ご機嫌も伺わなければ…(笑)
そうそう、結構飲みますよ。(笑)
藍の状態にはいつも気を遣いますね。本当、ご機嫌をとらないと。
藍屋では藍染めの体験をしていただくお客様に、私が染めるものと同じ瓶を使っていただきます。いつも状態には気をつけていますが、状態が悪くなると体験をお断りせざるを得ないこともあります。体験はお手数でもご予約いただければご迷惑をおかけすることも少ないかと思います。
■しかし、藍瓶をみている限り、あの色が本当にここからでるんかいな?って感じなんですが…
藍は空気を触媒にしてのみ発色します。
最初引き上げた時は、黄色っぽい色→緑がかった色に、そして水洗いをして初めて鮮やかな藍の色がでてくるんですよ。そしてその工程を繰り返すことによって、どんどん深い色にそまっていく、という訳なんです。
大きい商品でも小さい商品でも深い色を出すための課程・染めの回数は同じですから、かかっている手間で言えば店頭のバンダナはお買い得かもしれませんね。(笑)
お客様から、「洗濯したら色移りするんじゃないの?」と質問されることがありますが、藍の色素が水中に溶け出して色移りすることは基本的にありません。ただし、摩擦によって色が移ることもあります。色の薄いものと一緒に洗濯されるときはご注意を。
■さて、いよいよ商品の方を拝見。こちらの染め方は京友禅の型を使って染める独特の方法。本当、すてきですよね!藍染めのといえば絞り、という考えは完全になくなりました。
京友禅の工場だけに、型はたくさんあるんですが…
あまりにも多すぎて、藍染めに使う型を選ぶのが大変です。
ずっと自分一人で選んでいると、好みが偏ってくることがあるため、どの型を使おうか周囲に相談することもあります。デザインとして染める型の他に、藍屋の商品には全てオリジナルの型を使ったロゴを染め抜いています。
藍染めの商品は、五年ほどかけて藍の良さが引き立ち、体になじんでくるような気がします。同じ商品を五年着ていただくためにも素材には相当気を遣いますね。そのため藍屋では全ての素材をチェック。扱っている商品の縫製は全て日本で行っているんですよ。そうそう、藍で染まるのは天然素材のみ。綿を始め麻、絹など天然素材100%のものしか染まりません。同じ天然素材でも植物性と動物性のものでは動物性のもののほうが染まりにくいですね。
■あ、このアロハいいですね!でもサイズが…
店頭にある藍屋の商品は全て一点もの。藍の色合いやサイズがお気に召すのであれば、その場でお買い求め頂けます。サイズ違いの場合、デザインにご注文がある場合などは随時ご相談下さい。ただし、藍は生き物。同じ色、同じデザインでほしい、とおっしゃっても全くものは出来ません。その点が手染めの良さ、申し訳ありませんがご了承下さい。
このアロハも五年以上着ていただけますよ。衣替えの時に、あくが出て黄色っぽくなっていても、洗濯すればすぐに元の鮮やかな藍色に戻ります。これも藍が生きている証拠、ですね。
■子供服なんかもオーダーできるんですか?天然素材、子供にはぴったりだと思うんですけど…
お時間をいただければ対応は可能です。
藍には殺虫・殺菌効果があるため、古くは武士の鎧の下着や野良着として使われてきました。最近ではアトピー性皮膚炎のお子さんにも安心して着ていただける素材として注目されています。
頂いた名刺は、藍染を連想させる柔らかなブルーが印象的でした。
「藍染師という肩書きも、名刺から外したいんです」
そうおっしゃる小谷さん。肩書き、伝統にとらわれずに良いものを作ろう、という強い意志が確かに伝わってきます。
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