三門楼上に、開けずの棺があります。これは、三門の建立者五味金右衛門(ごみきんうえもん)夫婦の自作の木造が入っています。 五味金右衛門は三門建立工事の棟梁でしたが、工事の予算がオーバーしてしまったため、責任を取って夫婦で命を絶ちました。この二人を弔うため、像を白木の棺に収めて、三門の楼上に安置したものです。 ←こちらも重要文化財です。 三門をくぐると、目の前に一面の石段。境内は石段を登ったところにあります。段差が大きい石段を登りきると、すばらしい景色と御影堂が私たちを出迎えてくれます。
御影堂の外周の廊下に、「忘れ傘この上」と看板があります。その上を見上げると、張られた金網の向こうに、かすかに傘の柄が見えます。これは、江戸初期の建築彫刻の名人、左甚五郎が置いたと言われています。 また、知恩院第32代の雄誉霊巌上人が御影堂を建立するとき、このあたりに住んでいた白狐が、自分の棲居がなくなるので霊巌上人に新しい棲居をつくってほしいと依頼しました。それが出来たお礼にこの傘↓を置いて知恩院を守ることを約束したとも伝えられています。 いずれにしても傘は雨が降るときにさすもので、水と関係があるので火災から守るものとして今日も信じられています。 ←本殿の廊下から見上げると……。 御影堂から大方丈、小方丈、庭園へと拝観していくと、その道筋にも七不思議が点在しています。
御影堂と大方丈を結ぶ渡り廊下を歩くと、鶯の鳴き声に似た音がします。忍びの者さえも、その足音を消すことはできなかったとか。 鶯の鳴き声が「法(ホー)聞けよ(ケキョ)」とも聞こえることから、不思議な仏様の法を聞く思いがするとも言われています。 拝観順路はすべて鶯張りで、屋外の部分はかすかな音ですが、屋内で聞こえる音は、寝ているものさえも起きてしまうような音がします。 ←鶯張りの廊下を本殿側から見たところ。
大方丈の屋根裏に、長さ3メートル、円形部の直径1メートル、重さは30キロほどもある巨大な杓子があります。 人々を「すくう」という阿弥陀様の一切衆生救済を表わした物です。 大坂の陣で、三好清海入道が片手で持って兵に飯を振る舞ったとも言われています。
知恩院 http://www.chion-in.or.jp/ 知恩院のwebサイトでは、除夜の鐘の音を聞くこともできます。訪問が難しい人は、ぜひこちらへ。 境内は拝観自由。 「抜け雀」、「三方正面真向の猫」、「大杓子」は拝観経路にあります。 ●拝観時間(方丈、庭園) 3月〜11月 9:00〜16:30(受付終了16:10) 12月〜2月 9:00〜16:00(受付終了15:40) ●拝観料 大人400円 小人200円 ●交通 市バス ・・・・「知恩院前」下車 電車 ・・・・京阪「四条」駅より徒歩約10分 ・・・・阪急「河原町」駅より徒歩約15分 ・・・・JR「京都」駅よりタクシーで約20分