【第2回】加茂直樹+水野義之
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(その1)『こどもみらい館』 |
佐埜:
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加茂先生は「こどもみらい館」の館長さんでいらっしゃいますが、この施設の名前の由来はなんでしょう? |
加茂: |
「こどもみらい館」は公募で決まった名前なんです。またみらい館のマークについても公募でして、それに専門家が少し手を入れる形で出来上がりました。 |
佐埜: |
なるほど、すべて公募ですか。 |
加茂: |
私は本来子供の教育については専門ではないのですがね。哲学のほうが専門でして。まあ言えば、大人の不道徳行為をどう取り締まるかというようなことをやっています。京都教育大学に長くいまして学長をやっていたものですから、その関係でこういうセンターをつくる「基本構想策定委員会」を平成7年に京都市が市長の諮問機関として設置したときに、その委員長をやっていました。その答申がまとまったのが平成8年の秋ぐらいだったと思いますが、「最初は館長をやれ」と。 |
水野: |
その諮問委員会のメンバーはどういう方々ですか? |
加茂: |
私以外はほとんど幼児教育の専門家ですね。幼稚園の代表とか、保育園の代表とか、専門の学者とかです。そして、このみらい館は「竹間(ちっかん)小学校」という学校のあった跡なんですが、その関係で地元の代表の方がいらっしゃいましたね。 |
佐埜: |
なるほど、小学校の跡地利用ですか。 |
加茂: |
これは京都の未来ということと非常に関係すると思うのですが、いわゆる「ドーナツ化現象」というものが今逆転をしています。不景気で中小企業など倒産するところが出て、その後が商売では埋まらない。それで町中の便利の良い場所にどんどんマンションが出来てきて、逆にまた人口が増えてきているということのようです。だからみらい館の近所にも「御所南小学校」という、いくつかの小学校をひとつにした統合小学校がありますが、その小学校なんかはまた生徒が増えてきて狭くなってきたというおかしな話もあります。 |
佐埜: |
そういう話も聞いたことはありますが、原因のもとをたどれば不況ということになるのでしょうか。ところで「こどもみらい館」には親が子供を連れて来館するのでしょうが、子供を預けて親がどこかへ行ってしまったり出来るのでしょうか? いわゆる託児所のような……。 |
加茂:
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いえいえ、そんなことはありません、親が必ず面倒を見ますよ(笑)。 |
佐埜:
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やはりそうですか(笑)。来館者はどれくらいあるのでしょう? |
加茂:
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かなり多いと言えます。1日平均1,000人くらいはある。 |
水野:
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図書館でもないし、公民館でもないという性格の施設ですね。 |
加茂:
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やっと1年終わったのですが、年末には1周年ということで少しイベントをやりました。イベントなどは外部の方が参加する企画委員会というのがありまして、その意見を採り入れてやります。京都市も赤字財政で大変だと思いますよ。この施設の人件費だけで20人分くらい増えていますから。入場料もまったく取らないわけですから、そういう収入もありませんしね。ただ20人くらいで運営できるものではないので、200から300人のボランティアの人たちに支えられて運営しています。子供の遊び場があるのですが、そういう場所で事故が起きないように監視している人、あるいは電話相談の窓口の人、みな研修を受けてまったくの只でやってもらってます。 |
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