前回、「サンドイッチ修行探訪」第1回目が創業44年の老舗。
ならば、と対抗するわけでもありませんが、第2回目は新進気鋭のサンドイッチ専門店をご紹介したいと思います。
ショッピングに観光に、多くの人が行き交う「寺町京極(てらまちきょうごく)商店街」。
その通り沿いに〝おいしいたまごサンドのお店〟との看板をひっさげ「サンドイッチ王子」が誕生したのは2016年6月1日のこと。
取材時には、1周年をお祝いする胡蝶蘭やスタンド花が店頭を飾っていました。
ショーケースの中はシンプル!
「京のだしまきサンド(350円)」「厚焼きたまごサンド(400円)」「ゆでたまごサンド(300円)」「ハムレタスサンド(350円)」「ハムカツサンド(350円)」の〝たまごサンド5兄弟〟。
そこに「なつかしたまごプリン(150円)」が紅一点(黄色ですが 笑)、華を添えるという顔ぶれで、土日だけ特別メニュー「北欧のブルーベリーサンド(350円)」が並びます。
こちらのおすすめ&一番人気は「京のだしまきサンド」。
「イートインは、出来たてをご提供しています。まずは味わってみてください」との販売スタッフ・伊藤聡子さんのお言葉に従い店内へ。待つこと数分、登場したのがこちらです!
断面が輝いています。
湯気が立つフワッフワッのだし巻きと、ちょっと甘めの食パンがベストマッチ。
ひと口噛むと、じゅわーと広がるお出汁は、なんとも優しい風味です。
聞けば、利尻こんぶ、枕崎産カツオ節、京都産干しシイタケ、京野菜からとったおだしと上質なしょうゆ、みりんなどをブレンドして使っているのだとか。上品な味わいもうなずけます。
「サンドイッチ専門店をオープンする前に、店主がさまざまな素材を探し歩いて、行きついたのが丹波産の『なつかしたまご』なんです。深いコクのある昔ながらの味に惚れ込み、それをいかせるものをと考え決定したのが現在のメニューです。
ちなみにマヨネーズも『なつかしたまご』を使って、キッチンで作っています」と伊藤さん。
〝たまごサンド5兄弟〟は、究極のチーム編成なのですね。
取材日は特別にキッチンの見学もさせていただきました。
さすがの手際の良さで、またたく間に完成しただし巻きには卵を2個使用。平日で、約200個の卵が美味しいサンドイッチの具に姿を変えるのです。
もちろん、こちらのサンドイッチはテイクアウトもOK。出来たてアツアツよりも、少し置いて味がなじんだほうが好きという人もおられるそう。
「厚焼きたまごサンド」はボックス入り。そのほかは、サンドイッチの王道・三角カットです。
厚焼き玉子は関東風の甘いタイプで、さらに卵本来の甘みを引き出すための隠し味に酢が入っているのだとか。
卵4個で作られていて、ボリュームも満点です。
ユニークなのが「ゆでたまごサンド」。クリーミーな卵フィリングに、ゆで卵をのっけてアクセントに。
このスタイル、私は初めて見ました。
共通しているのは、それぞれ個性はありながら、あまり多くを足していないこと。どのサンドイッチからも、卵をはじめ素材へのリスペクトがビシビシ伝わってくる気がします。
私たちが目指す究極のサンドイッチ。定番のシンプルな味こそ、素材の大切さやその使い方がとても大切なのかもしれません。
これは、究極サンドの具材選びの際のポイントになりそうです。
修行探訪2軒目から得た学び。
「シンプルなものほど、素材にこだわるべし」
― そうそう、私がとっても気になっていたのが、お店のネーミング。
ちゃんと忘れず、聞いてきましたよ!
「サンドイッチという料理名は、諸説ありますが、イギリスのサンドイッチ伯爵という人の名前に由来するといわれています。でも、伯爵ってちょっと固い雰囲気じゃないですか? もっと愛され、親しまれてほしいと、やんちゃな王子さまをイメージキャラクターに。お店の名前もこうなりました」(伊藤さん)
なるほど、確かにたまごサンドは伯爵っぽく(?)気取って食べるより、この王子さまのようにニコニコしながらほおばるのが似合う気がします。
あと、取材中、伊藤さんが何度も「お客さまが喜んでくださるのが何より」と口にされていたのが印象的でした。居心地のいいイートインコーナー(写真は2階スペース)しかり、パンの耳の販売しかり。
冒頭、新進気鋭といいましたが素材へのこだわりはすごいのですが、そこかしこの雰囲気は何だかふんわり柔らかくて明るい、まさに卵みたいなお店です。
店舗・施設名 | サンドイッチ王子 |
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住所 | 京都市中京区寺町通四条上ル中之町552 |
電話番号 | 075-231-3277 |
営業時間 | 11:00~14:00/16:00~18:30 ※土日祝は11:00~18:30 月曜休(月曜が祝日の場合は翌日休) |
Writer岡田ゆき&イチノアユミ
Writer岡田ゆき&イチノアユミ
岡田:サンドイッチ大好き、食べるの大好き。NO グルテン NO LIFEなフリーライターです。
イチノ:初めての長期バイトは、大学時代、京都のベーカリーにて。パンに夢中だった当時、数年間は米を食べなかったほど。ずいぶん大人になり、〝パン熱〟がいくぶん醒めたとはいえ、今もやっぱり食いしん坊です