こんにちは。あんこ好きライター、かがたにです。
皆さんは、粒あんとこしあん、どちらがお好きですか?
私は今でこそ、あんこ博愛主義ですが、かつてはこしあん党の急先鋒として活動しておりました(どこでだ)。
そんな私を「素晴らしき哉、粒あんの世界」に呼んでくれたのがこちらのお菓子。
全国的には「どらやき」ですが、京都では「みかさ/三笠」といいます。
私が粒あんに目覚めたのは、「下河原阿月」というお店の「みかさ」なのですが、2011年のちょうど今頃、惜しまれつつ閉店。もうあの「みかさ」が食べられない、ということに衝撃を受けた方はとても多いのではないでしょうか。
しばらくは似ている「みかさ」を探し求めましたが、「なんか・・・なんか違う・・・」となってしまい、そのうち積極的に求めることをやめてしまったのです。
そんな私を「みかさショック2011」から立ち直らせてくれたのが、
今回ご紹介する、「京菓子司 松壽軒」さんの「みかさ(税込160円)」です。
ついに似ているものを見つけたのかって?
否!サイズ、色、手触り、食感、全てが全く違います。
ですが、あの粒あんの世界に呼ばれた感動が同じように感じられたのです。
やはりあんこは求めるのではなく、呼ばれて出会う食べものなのかもしれません。
最寄りの駅は京阪「祇園四条」または「清水五条」。
舞妓さんも行き交う宮川町を松原通で東に入ると、
程なくして看板が目に入ります。
店内のショーケースには、季節の主菓子やお干菓子が並びます。
奥には高台寺御用達、大本山建仁寺御用達の文字!
主菓子は予約受け渡しになりますが、「みかさ」や「もなか」、柏餅などは予約なしでOKです。
名店の味をふらりと立ち寄って買うことができるのはありがたいですね。
この日も建仁寺のお茶会帰りの方が見えられていました。
ちなみに、「もなか」は注文を受けてからあんこを詰めるので、少々時間がかかります。
お急ぎの場合や人数が多い場合は、受け取り時間を伝えて予約をしておくと良いかもしれません。
そして、長時間持ち歩く場合は、別途【10分以内に食べる用】の「もなか」の購入をオススメします。
出来立ては、サクサクの皮と清涼感のある粒あんのコントラストが秀逸!
霜柱を踏んで歩くように軽快なリズムで食べ進めても、あんこが遅れを取らないんです。
一方、やや小ぶりな「みかさ」は生地にもあんこにもしっかりとした甘さがあるように思います。
皮の表面が指先にわずかに張り付く感じからも生地の甘さが予測でき、自然と一口が小さくなります。
少しずつ食べるからか、【体感甘さ度】は落ち着いています。
ご主人曰く、
「甘さをコントロールするには砂糖の量やなくて、口溶けのスピードが肝心。飴玉は砂糖の塊やのに食べていられるのは、溶けるのがゆっくりやからでしょ?」
確かに!
「みかさ」の良さは包丁で切るよりも・・・
手で割った方が、伝わる感じがしますね。
こちらの「もなか」と「みかさ」は、ほぼ同じくらいの大きさですが、続けて食べると、食べ切るスピードが違うことに気がつきます。
ただ、不思議なことに、あんこだけ取り出して食べれば全然違うタイプであろうこの2つのあんこが「別物」という感じはしないのです。
「それぞれの菓子にあう配合や硬さにはしてるけど、ベースとなる理想のあんこが自分の中にあるからやね。要するに、それがウチの店の味ってことなんやと思うわ。」
なるほど。
それにしても、本当に美しいあんこです。
はじめに、下河原阿月さんの「みかさ」とは全てが違うと書きましたが、小豆の粒があんこの中で煌めく感じ、これは共通しているかもしれません。
それから、1つ160円という良心的なお値段も。
丹波の大納言を使ったあんこが、こんなにお手頃な値段で手に入っていいのでしょうか?
(手前から時計回りに、一晩浸水した丹波大納言小豆、浸水前の丹波大納言、こしあん用の小豆、白小豆)
「和菓子屋にとってあんこは店の個性。よそとの違いをどこで出すかいうたら、あんこ。だって菓子の半分以上はあんこが占めるわけやから。作る工程でもあんこに半分以上の時間と手間をかけるのも当然のこと。」
なんかもう、私、泣きそう。
ほんと、ありがたい。
こちらのご主人も奥様も、本当にお話が楽しい方です。
他にも色々と面白い話をうかがったので、いつか機会があればまたご紹介したいと思います。
店舗・施設名 | 京菓子司 松壽軒 |
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住所 | 京都市東山区松原通大和大路西入ル弓矢町19-12 |
電話番号 | 075-561-4030 |
営業時間 | 10:00〜18:00 日・月曜定休 |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。