4月4日は「あんぱんの日」。
明治8年に銀座の木村屋総本店さんが明治天皇に
あんぱんを献上した記念だそうです。
王道のあんぱんのイメージは、まさに木村屋さんのような、
パン生地であんこを包んだ丸い形のものだとは思うのですが、
今回は、私が愛してやまない細長いあんぱんをご紹介しますね。
壬生寺から南へ約5分、高辻通沿いにある、焼きたてパンのマンハッタンさん。
今年でちょうど創業40年を迎える「まちのパン屋さん」、といった佇まいです。
私がこのパン屋さんに出会ったのは、2003年。
当時、「マンハッタンラブストーリー」という宮藤官九郎脚本のドラマにどハマりしていた私の視界に、このノスタルジックなフォントの看板が飛び込んできたんですな。
こ、これは呼ばれている・・・!
と直感した私は、すぐさま入店。
そして何度か通ううちに、この「あんバタ」に出会うのです。
あんバタ専用のソフトフランスパンが焼き上がるのは、午前11時。
30分ほど冷ましてからバターとあんこを挟み、第一陣が店頭に並びます。
並んだはしからすぐ売れてる!
店頭の減り具合をみて、随時あんことバターを挟んでいくので、いつ行っても“出来立て”を買うことができますが、専用ソフトフランスの数は150個が限界なため、パンがなくなれば終了です。
ちなみに夕方に買いに行くので取り置きをお願いした場合も、来店時間に合わせて挟んでくれます。
レジのお姉さんも小袋の口を閉じないようにしてくれたので、お店としても、“出来立て”の食感は推しなんだと思います。
もちろん好みは人それぞれなので、2時間くらい経って、パンにあんことバターの水分が馴染んだ感じが好きという人もいれば、軽く焼いてバターを溶かすのが好きという方もいるでしょう。
常連さんの中には少し凍らせて食べる人もいるみたいで、私も今度やってみようと思っています。
ですが、まずは“最中”のようなパリサク感を体験して欲しいですね。
店を出たらすぐに食べて欲しいくらいです。
この店の「あんバタ」は、まだ関西であんトーストなどが根付いていない頃から、あんこと乳製品の組み合わせが好きだったというご主人が、この組み合わせに合うパンを作りたい!と試行錯誤して生まれたのだそうです。
「うちは年配のお客様も多いですから、本気のフランスパンより噛み切りやすくしたかったのと、
コッペパンとはまた違う香ばしさのあるソフトフランスが、あんことバターに合うと思って」
この切った時のパンくずの少なさで、歯切れの良さ伝わりますかね?
言われてみれば、年配の方だけでなく、私のような顎関節症持ちにもにもすごく優しいですー。
ちょっとお行儀悪いですけど、ぱっかーん!と開いてみますと、
四つ葉バターとあんこが端まで丁寧に塗られています。
「それは僕の好みというか、端っこまで具がないとショックだからですね」
どこのあんこを使っているかはヒ・ミ・ツ!とのことですが、
一般的なあんこは、バターと一緒にパンに挟むと甘過ぎたため、甘さが控えめなものを探し、
皮が薄く、全体の食感を邪魔しない十勝産の小豆を使ったものを使用しているそう。
マンハッタンには、あんバタの他にも塩パンのあんぱんや、くるみあんぱんなど数種類のあんぱんがありますが、それぞれのパン生地にベストなあんこを使用しているところに、あんこへの愛が感じられます。
少しブラックなことを言うと、こういう佇まいのお店の場合、「ノスタルジック加点」というか、
“懐かしい”と“美味しい”をうやむやにしちゃう事態が作り手にも受け手にも発生しやすいと思うんですが、これに関しては、20年選手だというのに味が全く古びていない。
あんことバターが持つ、ノスタルジーに頼らなくてもいい普遍的な美味しさのせいもあるかもしれませんが、少なくとも、私が初めて「あんバタ」を食べた時の感動は、「わぁ、なんかこれ懐かしい〜♪」ではなく、「なにこれ?新しいっ!」という方向でした。
ちょっとオシャレで、でもオシャレよりは優しさが上回ってて、そしてちゃんと美味しい。
そのバランスが絶妙だなと思います。
店舗・施設名 | マンハッタン |
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住所 | 京都市中京区壬生辻町18 |
電話番号 | 075-801-4507 |
営業時間 | 7:00〜20:00 月曜定休 |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。