初めまして。あんこ好きライターの、かがたにと申します。
この度、デジスタイル京都さんのリニューアルに伴い、複数のコラムが始動するということで、私も参加させていただくことになりました。
テーマはもちろん、京都のあんこ!
小難しいことは一切なしで、大好きなあんこを目一杯褒めて甘やかす、
あんこのモンスターペアレンツのようなコラムになりますが、
お付き合いいただければ、幸いです。
記念すべき第1回目は、ど直球に「あんこ屋さんのあんこ」をご紹介します!
北野天満宮のほど近く、京都大将軍商店街、通称“一条妖怪ストリート”の一角に「中村製餡所」はあります。
明治41年の創業から100年以上にわたり、あんこを作り続けている老舗ですが、そもそも”製餡所”ってどういうところなのでしょうか。
自分であんこを炊く人はわかると思いますが、あんこ炊きって時間も手間もかかる作業なんですよね。特にこしあんは粒あんに比べてさらに手間がかかるため、製餡所のお仕事、つまり”製餡業”は、もともとは砂糖の入っていない「生あん」を作って、和菓子店に卸すのが興りだったそうです。
もちろん、1から自店であんこを炊く和菓子店も数多くあります。
ところが時代とともに、お土産のおまんじゅう用や、パン屋さん、カフェなどに販路が拡大し、生あんだけでなく、完成状態のあんこの注文が増えていきます。
現在は100軒以上のあんこを請け負っているとのことですから、京都で暮らしていれば中村製餡所のあんこをそうとは知らずとも口にしている可能性はとても高いですね。
生あんを仕入れる和菓子店は甘さや硬さを独自に調整しそれぞれの店の餡へと仕上げていくわけですが、完成品を卸す場合は用途に合わせて甘さや硬さも卸し先ごとに対応しているそうです。
オーダーメイドだなんて驚き・・・!
さて、そこで気になるのが、私たちが買える小売りのあんこです。
オーダーメイドとは違い、ある意味、どう食べられるのか最も用途がわからないわけですが、どこに照準を合わせた仕上がりなんでしょう?
その答えはとてもシンプル。
「中村製餡所の基本となる餡で、あんこのみで食べた時に一番美味しい甘さと硬さが小売りのあんこなんです」
粒あん、こしあん、白あんはそれぞれ500g(550円)と1kg(1100円)の2サイズ。
あんこ500gに最中の皮が10組ついた「あんこ屋さんの最中セット」(1100円)が人気です。
粒あん、こしあん、どちらも携帯の待ち受けにしたいくらい美しいです。
賞味期限は約10日間(10℃以下で保存)ですが、あっという間に食べ切りそうな予感。
中村製餡所の粒あんは皮が非常に薄く、そして柔らかく炊き上げられているため、口の中に皮が全く残りません。しっかりとした小豆の香りと、クセのない甘さ。
こしあんはさらりとみずみずしく、上品。
主役の小豆と、主役を引き立てる名脇役の砂糖のみの、なんとも潔い原材料!
材料がシンプルだからこそ、ごまかしは利きません。
オートメーション化はせず、毎日、小豆の顔をみて最高の炊き上がりを見極める職人技が生み出すあんこだからこそ、京都で長く愛されてきたのでしょうね。
このツヤ感!
最中が10組なので、500gを単純に10分割して50g詰めてみます。
不細工に溢れるほどでもなく、隙間からあんこをチラ見せしながら、かろうじて閉まりました。このスリットは、あんこのエロスですね!
もちろん、あんこの量は皆さまお好みで。
あんこと一緒にバニラアイスなどを詰めてみるのもいいと思います。
その分、余ってしまうあんこは、スプーンで掬って食べればいいのです。
粒あんには水飴が入っているため、冷蔵保存が長いと少し硬く感じるかもしれません。
そんな時、私は、器に移してラップをかけ、40℃くらいまでレンジで温めます。
あんこは初日には初日の、3日目には3日目、それぞれの美味しさがあります。
それでも、ラップを外す時にふわりと立ち上る香りが、製餡所の奥から流れてきたものと
同じように感じられるのは嬉しいものです。
店舗・施設名 | 中村製餡所 |
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住所 | 京都市上京区一条通御前西入大東町88 |
電話番号 | 075-461-4481 |
営業時間 | 8:00〜17:00 水曜・日曜定休 |
ホームページ | http://www.nakamura-seiansho.com/ |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。