
ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? つつじ、お好きですか?
つつじといえば、学校の帰り道、ちゅうちゅう蜜を吸った思い出がある方も少なくないのでは? ご多分に漏れず、わたくしもちゅうちゅう経験者でございます。
大型連休にぜひ観てほしい『花まんま』は、そのメインビジュアルをご覧いただいても分かるように、「つつじ」の映画と言っても過言ではありません(やや過言かしら……)。この花が、タイトルにも繋がる重要な役割を果たしているのです。
(c)2025「花まんま」製作委員会
いきなり制作ウラ話からしてしまうと、ポスターに採用されている子どもたちがいる公園は、明石市にある明石海浜公園で撮影されています。なんやねん!と思われた方、ご安心ください。物語のクライマックスとなるシーンでは、京都市の蹴上浄水場のつつじが登場しておりますよ。
両親を早くに亡くして、兄妹ふたりきりで暮らしている俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)。フミ子の結婚が決まり、やっと肩の荷が下りると淋しい気持ちもありつつ安堵していた親代わりの俊樹は、フミ子が長らく隠してきたある秘密を知ってしまいます。はてさて、フミ子は無事に結婚式を終えることができるのでしょうか!
(c)2025「花まんま」製作委員会
予告編をご覧になっていただければ一目瞭然ですが、本作、めっちゃ泣かせにくる系のヒューマンファンタジードラマでございます。ええ、そらもう、ハンカチもティッシュもぐっずぐずになるくらいに感涙すること必至の作品に仕上がっております。
ですので、物語のあらすじはここまでとしまして……。
(c)2025「花まんま」製作委員会
見どころのひとつである、キャスティングについてさらりとご紹介しておきましょう。
関西を舞台にした物語で、関西人が何より気になるのが――そう、関西弁のイントネーション! 「なんかちゃう」と「なんでやねん」を繰り返すと、集中力どころかもはや作品への関心さえも失ってしまいかねません。
そんな杞憂を払拭してくれるのが、大阪の下町で暮らす人々の掛け合いを完璧に演じ切っている面々です。
(c)2025「花まんま」製作委員会
兵庫県西宮市出身の鈴木さんと兵庫県伊丹市出身の有村さんを筆頭に、昨年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の出演が記憶に新しい大阪・京橋生まれのファーストサマーウイカさん、彼女の父親役にオール阪神師匠、俊樹が勤める町工場の社長をオール巨人師匠が演じています。
(c)2025「花まんま」製作委員会
加えて、お笑いコンビ「アジアン」解散後は俳優としても活躍されている馬場園梓さんに、劇団M.O.P.出身のキムラ緑子さん、ドラマ『相棒』ですっかりお茶の間の人気者となった六角精児さんなど、関西ネイティブ揃い。安心感が半端ないったらありゃしない! ちなみに、トランプ遊びをするオーディションで役を勝ち取った子役ふたりも関西キッズ。
勢いのある(実は、アドリブ満載!)セリフの応酬も、本作の魅力なのです。
(c)2025「花まんま」製作委員会
改めまして、原作は第133回直木賞を受賞し、ベストセラーとなった朱川湊人著『花まんま』(文春文庫)。本作は、その原作の舞台そのままに、京都撮影所を中心にオール関西ロケで撮影されています。
(c)2025「花まんま」製作委員会
例えば、フミ子と婚約者の太郎(鈴鹿央士)が勤務する同立大学は同志社女子大学のキャンパス。
(c)2025「花まんま」製作委員会
俊樹と幼馴染の駒子(ファーストサマーウイカ)の行きつけのスナックは、京都市山科区にあるアットホームなバー「夢小町」で撮影されました。
(c)2025「花まんま」製作委員会
さらに、彦根にある風見鶏が目印の繁田家(の家族が、フミ子とどう関わるのかは劇場で)は、亀岡市にある農家民宿「ファームハウスNANA」が使われています。
同じく亀岡市では、「かさや木村商店」が駅から繁田家への道中にある日用品店(馬場園さん扮するチーちゃんが切り盛りするお店)、「保津八幡宮社」がフミ子が訪れる神社のロケ地に。
(c)2025「花まんま」製作委員会
そして、物語に欠かせない「ツツジの公園」のロケ地となったつつじの名所として知られる「蹴上浄水場」では、4月25日(金)~27日(日)の3日間、一般公開が行われます。
施設見学ツアーや水質実験のほか、デジタルクイズスタンプラリーなどの参加型・体験型のイベントも開催され、飲料コーナーや企業ブースの出展も予定されています。
約4900本ものつつじが広大な敷地に咲き誇る風景は、まさに圧巻です。目の前に広がる映画さながらの世界をぜひ体感してみてください。
『花まんま』https://www.hanamanma.com
4月25日(金)全国公開
出演:鈴木亮平、有村架純 鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、安藤玉恵、オール阪神、オール巨人、酒向芳 ほか
監督:前田哲(『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』『九十歳。何がめでたい』ほか)
配給:東映
【公式SNS】
公式X(旧Twitter):@hanamanma_movie
公式Instagram:@hanamanma_movie
店舗・施設名 | 蹴上のつつじ(蹴上浄水場) |
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住所 | 京都市東山区粟田口華頂町3 |
電話番号 | 075-661-3755(京都いつでもコール/8:00~21:00) |
営業時間 | 2025年4月25日(金)~27日(日) ※荒天中止 9:00~16:00(入場は~15:30) |
交通 | 地下鉄東西線 蹴上駅下車2番出口すぐ |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
X:@tsubakiyagekijo