ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? 室町時代、お好きですか?
2024年NHK大河ドラマでも注目を集めた華麗なる宮廷文化が花開いた平安時代でもなく、新選組や各藩の志士たちが駆け抜けた幕末でもなく、室町時代。個性豊かな武将たちが群雄割拠を繰り広げる戦国時代へと突入する前の230余年=室町時代。
ちなみに、「室町時代」という名称は、京都の室町に幕府が置かれていたことに由来するのだとか!そうなのー??
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
そんな室町時代に、後の世に名を残すことなく活躍した男がいました。それが、映画『室町無頼』の主人公・蓮田兵衛。日本史上、初めて武士階級として一揆を起こした無頼者です。
演じるのは、大泉洋さん!
本作は、大泉さん扮する兵衛がクセ強★アウトローたちを率いて、京の市中で空前絶後の暴動を仕掛けるというアクションエンタテインメントです。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
時は、応仁の乱前夜。そう、あの、京都人がよく言う“先の戦争”ですよ!
当時の都は、未曾有の飢饉と疫病に襲われ、8万2000余りもの死体が三条河原を埋め尽くしていたといいます。
そんな混沌の世を風のように生き抜いた無頼漢――歴史書にたった一度だけその名を見ることができる蓮田兵衛が、剣の腕とその才覚だけで天下を揺るがした夜を描いた本作。
手掛けたのは、『あんのこと』(2024年/キノフィルムズ)でも話題を呼んだ入江悠監督!
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
入江監督にとって、初となる時代劇映画(ちなみに、入江監督の時代劇初挑戦はWOWOWドラマ『ふたがしら』)。
『碁盤斬り』(2024年/キノフィルムズ)・『十一人の賊軍』(2024年/東映)の白石和彌監督や、17年ぶりに復活したテレビ朝日ドラマプレミアム「新・暴れん坊将軍」を手掛けた三池崇史監督など、人気の高い監督たちが時代劇の世界へ進出してくださるのは、ほんっっっとうにありがたいことでございます!!
「東映の映画を観て育ち、東映の映画が10代の頃の鬱屈した気持ちを受け止めてくれた。しかも時代劇を撮れるというのは僕にとってとても特別なこと」と、入江監督。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
物語の舞台は、もちろん京の都。
劇中登場する地図にも「御所」の文字があったり、兵衛の行く手を阻もうとする悪友・骨皮道賢(堤真一)が伏見稲荷大社を根城にしていたり、棒術を極めた才蔵(長尾謙杜)が東寺近くから一揆に加わったり。足利義政と大名が討議するシーンを平安神宮・尚美館で撮影するなど、市内のあちこちがロケ地となっています。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
印象的なのは、いまは無き相国寺の七重大塔!
三代将軍足利義満によって相国寺東南の地に建立されたその塔は、36丈(約109m)の高さを誇り、記録上では日本建築史上最も高い木造の塔と伝わります。1403(応永10)年に落雷で炎上した後、北山に新築されたものの、3年後に再び炎上。足利義政の代に相国寺の旧地に再建され、京のシンボルとして親しまれました。が、応仁の乱の際に焼け落ちてしまい、その後の再建は果たされなかったのです。
幻の七重の塔を拝見できるのは、ちょっとした興奮でございました♪
現在、塔の跡は残っていませんが、相国寺近くに「塔之段」という地名があり、その場所に七重の塔があったといわれています。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
「研究書を読み博物館を巡り、京都の町を歩き回った」という美術部が、すべてにおいて本物の匂いを感じられる場所を構築。ロケ先にも大掛かりなセットが用意され、京都撮影所には御所前の通りを再現した68坪にも及ぶオープンセットが造り上げられました。京都撮影所の技術、ここに集結!
キャラクターの個性をその生地や色柄、小物で表現したビジュアルも見事で、延べ5000人にも及ぶエキストラにまで汚しを加えたというリアリティを追求したヘアメイクも見応え抜群です。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
入江監督がイメージしたのは、『マッドマックス』シリーズのような世界観。そのため、合計600㎏ものはったい粉(焙煎した大麦の玄殻を挽いた粉)を用意し、送風機で吹き続けて砂塵の舞う光景を表現したそう。これは、「兵衛が現れると爽やかな風が吹く」ため。それらのシーンでは、風はもちろん煙や霧の流れにもこだわりながら撮影が行われました。
(c)2016 垣根涼介/新潮社 (c)2025「室町無頼」製作委員会
『室町無頼』https://muromachi-outsiders.jp
1月10日(金)IMAX先行公開/1月17日(金)全国公開
出演:大泉洋、長尾謙杜、松本若菜、北村一輝、柄本明、堤真一 ほか
配給:東映
【公式SNS】
X(旧Twitter):@muromachiburai
Instagram:@muromachiburai
店舗・施設名 | 相国寺 |
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住所 | 京都市上京区今出川通烏丸東入 |
電話番号 | 075-231-0301(相国寺事務所) |
営業時間 | 10:00~16:00受付(閉門16:30) 特別拝観期間のみ参拝可能 |
交通 | 地下鉄 今出川駅から徒歩10分 市バス 烏丸今出川から徒歩9分、同志社前から徒歩7分 |
料金 | 参拝料金 一般・大学生800円 |
ホームページ | https://www.shokoku-ji.jp |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo