ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? 本、お好きですか?
(C)ストラーユ
今回ご紹介するのは、私が敬愛する監督のひとり篠原哲雄監督の最新作『本を綴る』です。
2021年、大型書店や電子書籍というライバルの出現に“まちの本屋さん”が8割も消えてしまったことを憂い、東京都書店商業組合が『東京の本屋さん~街に本屋があるということ』というYouTubeチャンネルを開設されたことをご存じでしょうか。
同チャンネル内の書店紹介動画に携わった篠原監督らが、取材をしていくなかで本屋の実状や店主の声を聴き、本屋にまつわるドラマをつくりたい!と制作されたのが、YouTubeドラマ『本を贈る』でした。
ドラマ『本を贈る』篠原哲雄監督(2022.2.25 配信開始) – YouTube
全9話、各話約10分のショートストーリーです。まずはこちらをご覧くださいませ。
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東京だけではなく、素敵な本屋さんは全国各地にたくさんあります。そこで、ドラマの続編ともいえる映画版では、小説が書けなくなった作家・一ノ関哲弘(矢柴俊博)が、いろいろな書店や図書館を訪れ、書けなくなった理由と共に、再び物語を綴ることができるようになるまでの挫折と萌芽を描きます。
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全国の本屋めぐりをしながら、本の書評や本屋コラムを書くことを生業とする一ノ関は、旅先での一期一会や友人との再会に心を震わせながら、書けなくなった原因と向き合っていきます。
本作でピックアップされているのは、那須塩原にある図書館と森の中の本屋、京都の有名書店や西陣にある古書店、香川の宮脇書店に、港で出合った移動図書館に書籍がたくさん積まれたBARなど、本が愛されている場所ばかり。
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ロードムービーとしても愉しめる本作の主軸にあるのは“まちの本屋さん”。それはなにも書店や図書館に限ったことではなく、本のある場所は須らく“素敵なまちの本屋さん”なのです。
本好き&旅好きにはたまらないハートウォーミングな結末を、ぜひスクリーンでお確かめあれ。
「恵文社一条寺店」は、もはや全国的な知名度を誇る有名書店です。京都住みならもちろん、この本屋さんを目当てに遠方からも多くの方が訪れます。
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作中、同店はそのまんまの姿で登場します。長谷川朝晴さんが演じる店主の小笠原功二は、主人公・一ノ関の大学時代の友人でライバルという役どころ。明日にでも店へ足を運べば、そこに小笠原がいて、人当たりのいい笑顔と語り口で佳き本を薦めてくれるのでは?と思わせる、実在する書店を巧みに活かした構成がお見事です。
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彼らが訪れるおばんざい屋は錦市場にあり、京都らしい落ち着いた雰囲気。ちなみに、ロケ地となったのは茶寮「錦一葉」さん。坪庭を配した設えの店内で、上質な宇治抹茶を活かしたスイーツなどがいただけます。
そこを切り盛りする花(遠藤久美子)は、おばんざい屋の店主然とした装いで、しゃべり方もおっとりはんなり。
そんな彼女が、一ノ関の忘れ物を届けてくれる宿泊先の外観は、西陣織の老舗「渡文」さんの店構えがロケ地になっているのも、目を引きます。
恵文社同様、古民家をリノベーションした「開風社 待賢ブックセンター」もそのまんまで登場していますので、西陣を散歩される際に併せて立ち寄ってみては?
その他、蹴上のインクラインや寺町商店街、鴨川など京都らしい風景が美しく切り取られています。京都あるあるの“とんでもワープ”はお気になさらず、ロケ地としてのポテンシャルの高さを存分にお愉しみください。
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◎作品情報
『本を綴る』https://honwotsuzuru.com
10月5日(土) 新宿K’s cinem、京成ローザ10ほか全国順次公開
出演:矢柴俊博、宮本真希、長谷川朝晴、加藤久雅、遠藤久美子 ほか
監督・総合プロデュース:篠原哲雄
脚本・プロデューサー・キャスティング:千勝一凜
配給:アークエンタテインメント
X(旧Twitter):@honwotsuzuru
Instagram:@honwotsuzuru
Facebook:@honwotsuzuru
店舗・施設名 | 恵文社 一乗寺店 |
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住所 | 京都市左京区一乗寺払殿町10 |
電話番号 | 075-711-5919 |
営業時間 | 11:00-19:00(年末年始を除く) |
交通 | 叡電 一乗寺駅下車徒歩約3分 |
ホームページ | https://www.keibunsha-store.com/ |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo