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2024年の大河ドラマ「光る君へ」(NHK)では、下級貴族の娘、まひろ(紫式部)が身分差のある道長との恋の行方に悩み、文学の才能に恵まれていてもそれを発揮できずにいるもどかしい様が描かれています。そのような苦悩や情熱をどのようにして源氏物語の創作につなげたのかこれからの展開がますます気になります。
そして、大河ドラマ「光る君へ」の放送を契機に、源氏物語ゆかりの地である宇治市にオープンしたのが、「光る君へ 宇治 大河ドラマ展 ~都のたつみ 道長が築いたまち~」です。
今回、宇治市 観光振興課の方に、展示作品の見どころなどお話を伺ってきました。
「光る君へ 宇治 大河ドラマ展」は、お茶と宇治のまち歴史公園「茶づな」の2階で開催されています。この施設は、宇治橋と太閤堤跡、莵道稚郎皇子御墓(うじのわきいらつこのみことおんはか)がそばにあり、施設のまわりには、きれいに整備された公園があります。
施設のすぐ近くには京阪宇治線の宇治駅があり、歩いて4分で到着です。
【光る君へ 宇治 大河ドラマ展】
会期:2024年3月11日(月)~2025年1月13日(月・祝)
休館日:休館日なし(予定)
開館時間:9:00~17:00(最終入場 16:30)
※開催日、開催時間は、主催者等の都合により予告なく変更となる場合があります
会場:お茶と宇治のまち歴史公園「茶づな」
(京都府宇治市菟道丸山203-1)
入場料:大人500円/小人250円
主催:宇治市
施設の2階に行くと、大河ドラマ「光る君へ」のテーマ曲が聞こえてきました。いっきにドラマの世界へ誘い込まれます。
宇治市が主催するこの「大河ドラマ展」は、2つの視点から楽しめる展示内容となっています。
「大河ドラマ展示」ゾーンでは、ドラマの衣装・小道具、人物紹介や相関図、源氏物語誕生の裏側に迫る特集パネルと、限定映像が見られる4Kシアターでドラマの世界観を楽しめます。
「宇治歴史展示」ゾーンでは、藤原道長が築いた平安時代の宇治の文化や歴史を学ぶことができ、見るだけでなく触れたり嗅いだり「体感」して楽しめる展示になっています。
©NHKエンタープライズ
※パースはイメージです
©NHKエンタープライズ
※パースはイメージです
入場券を見せてエントランスに入ると、ドラマの概要やスタッフ紹介、そして登場人物の相関図のパネルが展示されています。
入場時にもらえるリーフレットにはこちらの人物相関図も載っているので、ドラマ鑑賞時には必携です! なお、リーフレットは市内観光案内所や宇治市観光センターにも配架されています。
展示室内には、写真撮影可能なスポットがいくつもあります。
ただし写真や動画撮影NGの展示物もありますので、各スポットの案内板をご注意ください。
こちらには、まひろ役の吉高由里子さんと、藤原道長役の柄本佑さんの等身大パネルがあります。
おふたりの間に入って記念撮影はいかがでしょう。
「いずれご本人がこのパネルの横に並んで立ってくださると嬉しいですね」とは、宇治市観光振興課のご担当者さま。願いが叶いますように。
まひろと道長の衣装を間近で見ることのできるコーナーです。
こちらでは正面からだけでなく、衣装の後ろ姿にもご注目!
ブースの後ろへまわり、道長の帯を見てみてください。白くて丸い石の付いた「石帯」と呼ばれる「石製の袴帯」、そして赤い衣が変わった結び方をされています。
放送では把握できない細やかなディテールが展示されている衣装を間近に見ることで沢山発見することができます。これからはもっと目をこらしてドラマを見なければもったいない思いがしました。
「ふたりの往復書簡」のコーナーでは、第10回『月夜の陰謀』にて、まひろと道長が漢詩と和歌で交わした書が展示されています。
実際には和紙を折って相手に届けるので折りじわが付いおり、撮影使用品ではありませんがこれらの作品を間近で見ることのできる絶好のチャンスです。お二人が演じるまひろと道長の雰囲気を書から感じることができます。
他にも、まひろと三郎(後の道長)が再会するきっかけともなった「草履」(実際に吉高由里子さんが撮影で使用したもの)や、直秀が散楽で舞うときに使っていた「扇」、道長が直秀を助けるため牢獄の看守に渡した賄賂の「金子袋」など、撮影使用品や複製品などが展示されています。
4Kシアターでは、脚本の大石静さん、演ずる吉高由里子さんと柄本佑さん、そして時代考証の倉本一宏さんの特別インタビューを通して紫式部と道長の人物像に迫る【ドラマ深掘編(約10分半)】。
そして、源氏物語や藤原道長と「宇治」の関係を紐解いた【平安時代の宇治編(約6分)】。計2本が上映されています。
なんと、いずれもこの「大河ドラマ展」のために作成されたもので、宇治でしか見ることができません。
ここからは、藤原道長が築いた平安時代の宇治の文化と歴史に迫るゾーンです。注目すべきは、入ってすぐにある大判イラストの鳥瞰図です。
こちらは、展示のために藤原道長の頃の宇治を想像して描かれたもの。道長の時代の宇治は史料が少ないため宇治市の発掘調査成果をもとに作成されました。
注目して欲しいのはイラスト手前に描かれた宇治橋。当時は現在の位置よりもかなり上流に架かっていたのではと考えられるそうです。現在は住宅地となっている部分も当時は干拓地であったことが分かるので、ご自分の住む場所が道長の時代にはどうだったのか興味深く見ている来館者もいらっしゃるそうです。
ほかにも、道長が宇治でどんな暮らしをしていたのかが分かる屋敷の様子や宇治での遊び、そして現代に受け継がれているものについてたくさんのパネルで解説されています。
十二単の重さ、想像以上でした……。
「平安時代の暮らしを体感する」コーナーでは、十二単の重さを体感することができます。
一般的に十二単の重さは10㎏から20㎏の間と言われています。写真右側の着物は、体験用として重さ8㎏にしてあるそうなのですが、持ってみてその重さにビックリしました。持ち上がらないんです。本当に……。これはぜひ体験してもらいたい!
このような重い衣装を身につけていたから、おしとやかにしているしかなかったのかもと、平安時代の女性に同情してしまいました。
平安時代の「香り」を体感するゾーンでは、貴族たちがまとっていたお香を実際にかぐことができます。
ほかにも、平安時代の貴族の風習である「歯黒め」についても紹介されています。この歯黒めの材料はかなり匂いのきつい成分だとか。なので、さすがにそれは体感することはできません。
が、そう聞くとかいでみたいような気も……。
そろそろ「大河ドラマ展」も終わりに近づいてきました。次はどこへ行こうか決まっていない方はぜひ、「まわしてきめる宇治の名所めぐり」のコーナーでルーレットを回してみてください!
こちらでは、子、丑、寅といった方位を表す干支をルーレットにしてあります。軽くルーレットを回し、矢印が指した干支のボックスを開くとそこには「大河ドラマ展」からほぼ徒歩圏内で行くことのできる宇治の名所が現れます。
最後に、キャストの直筆サインとひと言メッセージを楽しみながら、次はルーレットで出てきた宇治の名所を訪れてみてはいかがでしょう。
ほかにも、この記事ではご紹介しきれていない展示がたくさんありますので、ぜひ紫式部と源氏物語ゆかりの地、宇治へ足を運び、この「大河ドラマ展」を訪れてみてくださいね。
※情報は2024年5月のものです。
※時期により展示内容が異なる場合があります。
店舗・施設名 | 光る君へ 宇治 大河ドラマ展 |
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住所 | 京都府宇治市菟道丸山203-1(お茶と宇治のまち歴史公園「茶づな」) |
営業時間 | 2024年3月11日(月)~2025年1月13日(月・祝) 9:00~17:00(最終入場 16:30) ※開催日、開催時間は、主催者等の都合により予告なく変更となる場合があります 休館日なし(予定) |
交通 | (電車)京阪電車宇治線「宇治駅」より徒歩4分 JR奈良線「宇治駅」より徒歩12分 (お車)駐車場あり(有料) 大阪方面: 京滋バイパス宇治西IC側道宇治方面 約10分 東京方面: 京滋バイパス宇治東IC出口 左折 約3分 |
料金 | 大人500円/小人250円 ※小人は小学生・中学生に適用※未就学児無料 ※障がい者手帳等所持者とその介護者1名は無料 ※旅行会社の添乗員、バス乗務員及びタクシー乗務員は無料 ※「茶づなミュージアム」や「源氏物語ミュージアム」とのセット券あり |
ホームページ | https://uji-dramaten.jp/ |
Writer瀬田かおる
Writer瀬田かおる
本が好きすぎて読むだけでは満足せず、民間資格である「JPIC読書アドバイザー」を取得。ライターとして、本と読書に関する活動のアイデアを形にするため邁進中です。モットーは『地方に住んでても、何歳からでも、人は変われる!』
全国の個人書店、私設図書室を取材するのが夢です。
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