おでかけ

2024.04.15
(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 陰陽師、お好きですか?

(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

古文の教科書にて安倍晴明に出会った10代の頃から、夢枕獏先生の「陰陽師」はもちろん、本作で呪術監修を務めた加門七海先生の「晴明。」シリーズも通った文学少女時代を過ごした身としましては、20年以上ぶりの映画化に心躍らぬはずがございませぬ。獏先生ご指名の佐藤嗣麻子監督が「陰陽師」への愛をこれでもかっ!と盛り込み、若かりし頃の晴明を描くオリジナルストーリーで挑まれたとあっては、否が応でも期待に胸が弾むというもの♪

(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

加門先生が独自に考案された呪文・印・御札が登場するにあたって、スムーズに印を結ぶために晴明役の山﨑賢人さんが指の骨の間に鍼を打ってまで撮影に臨んだという本作。細部に至るまでのリアリティが、非現実的な世界をも成立させてしまっているという点において、佐藤監督の原作への敬愛をビシビシと感じました。

だって、監督ったら出演者と一緒に撮影の3年も前から乗馬レッスンにまで通ってはったんですって! 圧倒的熱量!!

(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

原作最大の魅力でもある晴明と源博雅(染谷将太)との関係性も見事なまでに映像に落とし込まれていて、試写をご覧になった獏先生が落涙されたほど。随所で世界観を構築するVFXも素晴らしく説得力があり、シースルー感が印象的な本作ならではの狩衣など、注目ポイントが盛りだくさん!

(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

晴明に縁がある大覚寺や仁和寺がロケーションとして使われ、博雅と徽子(よしこ)女王(奈緒)を囲むように花が咲き誇る空間は、瑠璃光院がイメージされています。

細部にまでこだわったリアリティと驚きのファンタジックな展開で、気がつけば平安の世にタイムスリップしているような錯覚さえ起こさせる本作。歴史を垣間見るような気持ちで、現代に地続きとなっている平安京で巻き起こる出来事を、壮大かつ緻密な映像美と共にお愉しみくださいませ。

ファンにとっての聖地!安倍晴明公を祀る晴明神社へ

京のまちで五芒星を目にしたら、即座に思い浮かぶのが「晴明さん」の愛称で親しまれている晴明神社。これ、京都人の常識として覚えておいてくださいませ。テストには出ませんけど。

写真提供:晴明神社

晴明神社の創建は、1007(寛弘4)年。我が国の陰陽道の祖として知られる陰陽師・安倍晴明公の偉業を讃えた一条天皇の命によって、彼の屋敷跡である堀川今出川を下がった現在の場所に社殿が設けられました。当時は、東は堀川通、西は黒門通、北は元誓願寺通、南は中立売通にまで及ぶ広大な敷地だったと伝わります。

写真提供:晴明神社

まずは手水舎で手と口を清めてから、真っ直ぐに本殿へ。手を合わせて、映画『陰陽師0』のヒットを祈願してまいりました。

というわけで、境内を隅から隅まで散策いたしましょう。

社紋である「晴明桔梗」があしらわれた本殿と末社・齋稲荷社をはじめ、境内には見どころがたんと(たくさん)ありますので、そのうちのいくつかをご紹介!

写真提供:晴明神社

▲本殿前に鎮座する晴明公像は、衣の下で印を結び、夜空を見上げながら天体を観測している様子を写し取ったもの

▲晴明公の力にあやかり、ご利益は魔除け・厄除け。中でも注目なのが、平安装束をモチーフにした心願成就の「華守」と「雅守」。NHK大河ドラマ放映の1年間だけしか手に入れられないのでお見逃しなく! また、晴明桔梗のモチーフとなった桔梗が咲く時季(例年6中旬~初秋)のみ授与される「桔梗守」「桔梗土鈴」など、期間限定アイテムも人気

写真提供:晴明神社

▲晴明公が式神(陰陽師が使役する精霊)を封じ込めていた「一條戻橋」を再現したもの。1995(平成7)年に架け替えられた現在の橋は、神社から南へ100mほどのところにあり、いまでも「戻る」を嫌って嫁入りや葬式の列は渡らないのが習わし

▲絵馬舎には、作家や漫画家、俳優、映画監督など著名人の絵馬が奉納されている。2001年に公開された『陰陽師』(滝田洋二郎監督、野村萬斎主演/東宝)公開の際に訪れた獏先生の絵馬をはじめ、ゆかりの面々の名が並ぶ

▲晴明井は晴明公邸に湧き出ていたと伝わる洛中名水のひとつで、流水口がその年の恵方を向いているのが特徴。ここは千利休終焉の地でもあるため、太閤秀吉に振る舞った一服や最期に自服した茶も、この聖水で点てたのでは?と伝わる

中でもわたしが最も惹かれたのはこちら!

末社前にそびえる樹齢推定300年の楠の御神木です。

楠はかつて虫除けなどに使われる樟脳の原料だったこともあり、キモノ好きには愛すべき樹木でございます。凸凹の樹皮に触れると、落ち着くような、心が弾むような……なんとも不思議な感覚になります。どこか懐かしいかんじがするのは、幼き頃の記憶によるものでしょうか。皆さまもどうぞ、そっと両の手をあてて、大樹の力を受け取ってお帰りくださいな。

(C)2024映画『陰陽師0』製作委員会

◎作品情報

『陰陽師0』https://onmyoji0.jp

4月19日(金) TOHOシネマズ二条・MOVIX京都ほか全国公開

出演:山﨑賢人、染谷将太、奈緒、安藤政信、村上虹郎、板垣李光人、國村隼/北村一輝、小林薫 ほか

脚本・監督:佐藤嗣麻子

原作:夢枕獏「陰陽師」シリーズ(文藝春秋)

呪術監修:加門七海

配給:ワーナー・ブラザース映画

【公式SNS】

X(旧Twitter):@onmyoji0_movie #陰陽師0

Instagram:@onmyoji0_movie

TikTok:@onmyoji0_movie

Information
店舗・施設名 晴明神社
住所 京都市上京区晴明町806
電話番号 075-441-6460
ホームページ https://www.seimeijinja.jp/

Writer椿屋 山田涼子

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Writer椿屋 山田涼子

京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo

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