INDEX
こんにちは! デジスタイル京都のマツモトです。
街路樹も日ごとに色づきを深め、京都は錦繍の秋を迎えています。
コロナ禍による自粛が緩和されて、街中でも外国語を耳にする機会が増えるなど、秋の京都には3年ぶりににぎわいが戻ってきています。まだマスク生活は続いていますが、全体的に活気づいてきているなというのを感じます。
そんなにぎわいが戻りつつある京都を寿ぐように、今年は紅葉もかなりよさそうということです。そこで本日(2022年11月11日)は、京都市内でも紅葉の名所として名高い東福寺にお邪魔しました。10月以降、朝晩ぐっと冷え込む日も多かったためか全体的に色づきはやや早めということです。東福寺でめざすはもちろん通天橋! ではさっそく拝観に向かいましょう。
渓谷・洗玉澗(せんぎょくかん)手前の拝観入り口から入れば、早くも燃えるように赤い紅葉がお出迎え
“ひとめ千本”とは、吉野の桜(奈良県)を称えて使われますが、東福寺のもみじの渓谷・洗玉澗もまた同じように“ひとめ千本”の美しさ。東福寺を訪れたこの日、谷あいの色づきはこれからでしたが、日当たりのよいところはとてもきれい。もう一段、冷え込みがすすめば、さらに色づきが深まりそうです。
色づき始めた庭園のもみじの間からちらりと見えた通天橋。この配置考えた人、天才ですね。
日当たりのよいところは色づきも早く、鮮やかな紅葉が楽しめます。ここは多くの方が立ち止まる撮影スポット。
洗玉澗から見上げると、赤、オレンジ、黄色、そして色づく前の緑のもみじの競演が楽しめます。
洗玉澗の紅葉を楽しみ、通天橋に向かう前に開山堂にお邪魔しました。
ここは1280年に入定した東福寺の開山・聖一国師をお祀りしているお堂です。聖一国師は中国から製麺や人形づくり、お茶の種などを持ち帰りました。静岡茶が有名になったのは、聖一国師がお茶を静岡で広めたのが始まりだそうです。
東福寺の開山・聖一国師は日本のさまざまな産業の発展に貢献したスーパー僧侶でした
最後に今日のメイン・イベント、通天橋に向かいましょう。天候に恵まれたので、きっと素晴らしい景色が臨めるはず! さあ、果たして紅葉の様子は…?
遠くに臥雲橋が見える通天橋からの紅葉の風景
青い空、遠景の黄色、臥雲橋、そして手前に連なる色とりどりの紅葉が本当に見事。まるで1枚の絵のようです!
人が増えてきたとはいえ、コロナ禍以前の秋に比べると比較的ゆったり紅葉を楽しめるため、多くの人が通天橋で記念撮影。あちこちからうきうきした楽しげな声も聞こえてきました。
通天橋のベストスポットから紅葉との記念撮影を楽しむ人々。
紅葉が美しいこの季節、東福寺の三門と法堂が令和4年度「第58回京都非公開文化財特別公開」として公開されています。
国宝の三門は12月4日まで、法堂は11月30日まで見ることができます。三門は登ることができ、京都市内を一望することができます。また楼上に安置されている「宝冠釈迦如来坐像」、「十六羅漢像」のほか明兆筆の天井画が拝観できます。
三門は国宝に指定されています。登る時は階段が急なのでご注意を
法堂は僧侶が仏教の教えを説く場所です。禅宗寺院では「法堂」と言いますが、その他の宗派では「講堂」と言います。
京都市内の多くの法堂には天井画として龍が描かれており、東福寺の法堂にも堂本印象画伯による力強い龍が描かれています。この龍の頭の下あたりに立ち手を叩くと、「鳴き龍」が体験できます。私も早速やってみましたが、まるで見えない龍が目の前をさっと走り抜けていくような、不思議な音を聞くことができました。
堂本印象がわずか17日で描き上げたという東福寺法堂の天井画(※注)
※注)法堂内で撮影はできません。今回は東福寺の許可を得て撮影させていただきました。
東福寺の境内には、和菓子やお漬物、清水焼などを販売するお店がさながら門前町のように出現しています。散策の合間の休憩や、お土産物えらびもできますよ。
東福寺内のおみやげ店。ちょっとした休憩にも。
なかでも珍しいのがわらびもちをロールケーキのようにした、その名も「わらびもちロール」。通常“わらびもちロール”と言えば、スポンジのロールケーキの中に、わらび餅やクリームを巻いたものを想像しますが、こちらはなんとわらび餅でクリームを巻いたというかなり斬新な趣向です。
透きとおった見た目は確かにわらび餅。お味が気にあるところです
さて「わらびもちロール、おすすめですよ」とバナーの横でにっこりしているこの方、実は本日、法堂などをご案内くださった大本山東福寺 法務執事で、大本山東福寺の塔頭 芬陀院(ふんだいん)のご住職でもある爾法孝(その ほうこう)さん。その肩書とはうらはらに、とても気さくなお人柄。あちこちを楽しく拝観させていただきました。
ということで、ご案内の最後に爾さんの自坊である芬陀院をご案内していただきましょう。
芬陀院は東福寺の西側にある塔頭です
芬陀院は大本山東福寺塔頭の一つで、元亨年間(1321~1324)に一條内経が招いた定山祖禅を開山として創建されました。
寺院内には室町時代に活躍した禅僧で画家の雪舟が作ったと伝わる庭があり、そのため芬陀院は“雪舟寺(せっしゅうじ)”とも呼ばれています。本堂の南に面した庭が雪舟作で、左に鶴、右に亀が配された苔庭です。日本最古の枯山水庭園の一つと言われており、長らく荒廃していましたが、1939年、作庭家・重森三玲の手により復元されました。
左の鶴は「折り鶴」を表しているそうです。重森三玲はこの庭を、一石の補足もなく復元しました
また本堂の東側は雪舟と同じく岡山出身の作庭家・重森三玲作の庭園があり、やはり向かって左に鶴、右に亀を石で配しています。
昭和の作庭家・重森三玲が作った東側の庭。奥が鶴、手前が亀
「松の根元にいるのが、雪舟さんと祖父から聞いています」
と爾さんは重森三玲作の庭園に植えられた松の根元を指さしました。
重森三玲作の庭には、亀を模した石組みの真ん中に松が一本植えられています。その松の根元に一つ石があり、それが雪舟を表しているのだそうです。
雪舟と重森三玲の庭園を同時に見られるのは全国でもここ芬陀院と、山口県山口市の常栄寺の二か所のみ。いつか二つを見比べてみたい気もします。
雪舟作のお庭はありますが、芬陀院に画聖と呼ばれた雪舟の絵は伝わっていません。ですが雪舟の画風を受け継ぐ雲谷派で、雪舟九世を名乗る雲谷庵等竺という方の作品が襖絵として残されています。樹木の描き方などに、雪舟とよく似た画風が伝わっているそうなので、ぜひ近くで見てみてくださいね。
雪舟九世を名乗ったという、雲谷庵等竺の襖絵
芬陀院を訪れた時間はとても静寂でした。お庭を眺めながら縁側に座れば、心静かに過ごせそう
ご住職である爾さんも、芬陀院にいらっしゃる折は、時間が許す限り見学に来た方に芬陀院の説明をしてくださるそうです。久しぶりに行楽を楽しめそうなこの秋、鮮やかな紅葉と、いつもより少しゆるりとした時間を過ごしに、東福寺に出かけてみてはいかがでしょうか。
芬陀院内の重森三玲作の庭園を望むお茶室から。芬陀院について、爾さんが詳しく楽しくお話してくださいました
店舗・施設名 | 芬陀院(ふんだいん)(雪舟寺<せっしゅうでら>) |
---|---|
住所 | 京都市東山区本町15丁目803 |
電話番号 | 075-541-1761 |
営業時間 | 拝観時間 9時~16時30分(※冬季は16時) |
交通 | JR奈良線・京阪電車「東福寺」駅下車、徒歩約10分 市バス「東福寺」下車、徒歩約10分 |
駐車場 | 無料 ※紅葉の期間10月25日~12月10日まで駐車場は閉鎖 |
ホームページ | https://funda-in.com/ |
Writerデジスタイル京都スタッフ
Writerデジスタイル京都スタッフ
タカラサプライコミュニケーションズではたらく京都大好きメンバー。 定番から穴場まで、幅広いKYOTOの情報をお届けします!
Twitter:@digistylekyoto
Facebook:https://www.facebook.com/digistylekyoto/