こんにちは、ライターの小澤まみです。
元々旅館だった『岡重(おかじゅう)』の社屋。大きな窓の外には、鴨川が流れていました。さらに北は比叡山から、南は清水まで見ることができます。景色を眺めつつ、文具を選んだり、筆ペンを試し書きする時間の贅沢さと言ったら!自分だけのとっておきを見つけに訪れたいお店です。
1855年(安政2年)に創業した、京友禅の老舗『岡重』。市営地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩2分、細い路地の突き当り左にあります。
「Roji」の文字は4代目の現社長・岡島重雄さんが、筆で書いたものをロゴにしたそうです。
暖簾をくぐり、2階に案内してもらうと、ため息が出るほど美しいバッグやスカーフが迎えてくれています。
その一角にあるのが、文具コーナー。岡島さんは呉服だけでなく、バッグや文具など様々な分野に取り組んでいます。ロングセラーの筆ペンをはじめ、ブックカバーやカルトナージュ、「巻き紙グリーティングカード」が並んでいました。
江戸時代前期、扇絵師の宮崎友禅斎(みやざきゆうぜんさい)が考案したと言われる友禅染。友禅染とは、絹の生地に直接筆で色付けをしていく染色技法のことです。まるで絵を描くように、どのような文様や図柄でも好みのままに自由に表現することができます。中でも京都で生まれた京友禅は、仕上げに金銀の箔を施したり、金糸銀糸などの糸を使って刺繍をしているため、華やかで繊細です。
岡島重雄社長 写真提供:『岡重』
元々、筆文字が好きだった岡島さん。文具メーカー『ぺんてる』と縁があり、オリジナルの筆ペンが生まれました。
筆ペンの塗り作業。1本1本手で丁寧に吹き付けながら塗っています。 写真提供:『岡重』
漆職人が深みのある色の漆で塗りあげ、金色の蒔絵を施した筆ペン。指に吸い付くようにフィットするのは、漆塗りの質感ならではです。
1本1本丁寧に塗られた漆の色は黒、留、朱、白の4色展開。中のインクの色はすべて黒色で、文房具屋などでリフィールを購入することができます。
550円(税込み)で名入れサービスをしてくれるのも嬉しい。2週間かかるため、お急ぎの方はお早めに。
機能は『ぺんてる』の筆ペン同様、書き味はなめらか。かすれることなく、きれいに書き上げられます。
持ち運びにも便利な扇子袋をモチーフとした筆ペンケースも付いています。「唐様三昧(からようざんまい)筆ペン」(税込み8,580円)と、牛革を使用した「IMAN(イマン)」(税込み11,550円)。どちらも内布に上質綿を使用しているので、筆ペンの出し入れがとてもスムーズです。
手前が「唐様三昧」。左から花更紗、縞更紗、紬地の無地。
「唐様三昧筆ペン」は『岡重』所蔵の更紗の見本帳より独自にアレンジして、友禅にて染め上げました。更紗とは、16世紀頃にインドから伝わった文様のことです。
オールシーズン使えるように、と選ばれた上質綿の花更紗と縞更紗。100年以上前の紋様で、自分用に購入する方が多いそうです。絹100%の紬地の無地は、プレゼント用としても人気です。
「IMAN」はやわらかい牛革のケースに、京友禅とバティック(ろうけつ染めの一種)をアレンジした内布を使用しています。
筆ペンとセットで手に取ってほしいのが、「巻き紙グリーティングカード」(税込み1,980円)。明治、大正時代に流行った羽織の裏の柄「羽裏(はうら)」を使用した巻き紙です。くるくると巻かれた筒を開くと、『岡重』所蔵の羽裏柄が現れます。切手や住所等を貼ったら、このまま送ることができるそうです。受け取った人は、きっとびっくりするでしょうね!
年賀状や冠婚葬祭の祝儀袋、香典袋に書く時に欠かせない筆ペン。ここぞ!という時に1本は持っておきたいですよね。丈夫で耐久性抜群の漆塗りは、まさに一生モノ。鴨川や東山の山々を眺めながら、自分だけのとっておきを見つけませんか?
店舗・施設名 | 株式会社岡重 |
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住所 | 京都市中京区木屋町通御池上ル上樵木町502番地 |
電話番号 | 075-221-3502 |
営業時間 | 9:00 〜 17:30 定休日:土曜日・日曜日・祝日 |
交通 | 市営地下鉄東西線「京都市役所前駅」下より徒歩2分 |
お問合せ先 | post@okaju.com ※※商品ご希望の場合は事前にメールかお電話でご連絡ください |
ホームページ | http://okaju.com/index.html |
Writer小澤まみ
Writer小澤まみ
読み手よし、書き手よし、世間よしの「三方よし」のライターになりたいと日々精進中。文房具、コーヒー、お花、神社、サッカー好きの1児の母。
書いて縁を結ぶ「京都書縁」で、日々ブログを書いています。
WEB:https://kyotoshoen.com/