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2022.08.23

こんにちは、ライターの小澤まみです。

 

木版印刷工房『竹笹堂』。季節のモチーフや京都らしさをデザインした、ブックカバーや便箋などの木版雑貨を作っています。職人の技術を大切にしながら、新しいことにどんどん挑戦している木版画の世界をのぞいてきました。

 

伝統技術を未来へ

木版画は世界最古の印刷方法、木版印刷の一種です。木版印刷とは木の板(版木)に彫刻刀で凹凸を作り、凸部分に色を付け、紙に文字や絵などを摺って写す印刷技法。この印刷技法を用いて、木版雑貨を制作・販売しているのが『竹笹堂』です。阪急電車「烏丸駅」より西へ徒歩8分、「膏薬図子(こうやくのずし)」という路地の中にあります。

 

『竹笹堂』を運営しているのは、創業130年の木版印刷工房『竹中木版』です。5代目の竹中健司さんが、「自分でいろいろ生み出して、販売できるお店をつくろう」と平成11年に『竹笹堂』を創業しました。

 

昔から竹は日本の工芸のモチーフで、縁起が良い。天に向かってまっすぐ伸びるだけでなく、風が吹くと笹の葉がサラサラとしなって揺れる柔軟性がある。お店もそんな風に育ってほしい、という想いが名前に込められています。

店舗は築100年ほどの町屋。趣のある格子戸を開けると、2階の工房から聞こえる、ノミを木槌でトントンと彫り進める音が心地よい。店内には畳のスペースもあり、オリジナルの木版画作品や文具、雑貨が並んでいます。

 

1人では完結しないおもしろさ

木版画の制作方法は絵師、彫師、摺師の三者分業制です。

6代目 原田裕子さんの作品

 

図案を考え、版下絵(はんしたえ)を描く絵師。『竹笹堂』オリジナルデザインは、100種類以上。その8割を6代目の原田裕子さんが手がけています。原田さんが得意とするのが、連続パターン柄「連柄(れんがら)」です。デザインが連なっていく、無限のおもしろさ。かわいさだけでなく、ユニークな視点で題材と絵にシャレをきかせた、思わずくすっと笑える作品も。

『竹笹堂』提供

 

彫師は絵師が描いた版下絵を元に、版木(はんぎ:木版画の原板)を作ります。版木は硬くて丈夫な山桜を主に使用しているので、力がないと彫り進められません。慣れていないと腕が痛くなるくらいの硬さだそう。

 

『竹笹堂』提供

 

仕上げは摺師。版木を使い分け、絵柄を摺ります。何百、何千もの枚数の版画を、すべて同じ色、摺り方、品質で作品を仕上げなくてはいけません。

考えたデザインは、彫師や摺師の手を経て完成するため、思っていた以上の完成形になることもあるそう。だからこそ、三者分業制を「自分1人では完結しないおもしろさがある」と木版スタイリスト・プレスの加藤光穂さんが教えてくれました。

 

木版画を日常に

一色摺り(税込み880円)。一色摺りのみ、同じデザインのしおり(税込み660円)もあります。

 

加藤さんのおすすめはブックカバー。『竹笹堂』創業時からある、ロングセラーです。和紙なので丈夫で、2~3年使えるとのこと。ブックカバーを細かく揉むと、折り目が目立たなくなり、折り皺を気にせず文庫本や新書本のサイズに合わせて使えます。

 

二色摺り(税込み1,320円)

 

三色摺り(税込み1,760円)

 

5代目・竹中健司さんが考案した「ポチ袋二つ折り」(税込み880円)は、まさにこういうのがほしかった!というポチ袋です。約9cm×9cmの正方形の『竹笹堂』オリジナルサイズ。お札を出し入れしやすいよう半分に折って入れることができ、お札の枚数が多くても、すっきりとおさまります。中に手紙を入れて渡すことも。

 

2020年の「京都手帖」

 

京都の行事や社寺情報など、京都ツウになれる「京都手帖」をご存じですか?表紙と月間の挿画に、原田さんの木版画を起用しています。「京都手帖」に掲載されている12か月それぞれの木版画は、作品月に購入することが可能です。京都らしさはもちろん、8月は「京野菜」、9月は「秋雨ストライプ」といったように、季節感も大事にしています。「京都手帖2023」もお楽しみに!

 

 

1枚の木版画、折ったらブックカバー、切ったらしおり、貼ったら紙箱、袋にしたらポチ袋に変身!いろいろなモノやコトに活用でき、世界が広がります。

 

職人の技や伝統、感性、センスを閉じ込めた作品は、木版画ならではの温かさや優しい色合いです。ユニークな視点のリズミカルなものや、やわらかいトーンの色など、バリエーション豊富。畳の上で文具や雑貨を選べるという、なかなか貴重な経験もできました!

 

Information
店舗・施設名 竹笹堂
住所 京都市下京区 綾小路通西洞院東入ル新釜座町737
電話番号 075-353-8585
営業時間 11:00~18:00
定休日:水曜日
交通 阪急電車「烏丸」駅/京都市営地下鉄「四条」駅より徒歩8分
ホームページ https://takezasado.com/

Writer小澤まみ

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Writer小澤まみ

読み手よし、書き手よし、世間よしの「三方よし」のライターになりたいと日々精進中。文房具、コーヒー、お花、神社、サッカー好きの1児の母。 書いて縁を結ぶ「京都書縁」で、日々ブログを書いています。
WEB:https://kyotoshoen.com/

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