グルメ・お土産

2022.08.22

おいしいものを食べるのはもちろん、それができあがる過程も大好物な、ライター・市野亜由美です。

 

京町家カフェ「まつは」の西村めぐみさんと一緒に、毎月一回、京都の里山、京北弓削(ゆげ)町の農家さんのもとを訪れる当企画。いま流行の〝キャンプ飯〟ならぬ、〝ファーム飯〟を作って食べて、レシピもご紹介していきます。

 

原産地は乾燥地帯。ミニトマトは雨が当たらないハウス内で栽培

 

畑を案内してくれるのは、「京農園よしだ」の吉田修也さんです。京都市の北部山間にある京北町の休耕田を利用した広い畑(約4.5ha)で、年間約100種類の京野菜・ヨーロッパ野菜を生産されています。ちなみにこちらの写真を撮影したのは、落花生の畑。10月に収穫の予定だそう。楽しみです。

さぁ、それではミニトマトが育てられているビニールハウスへ向かいましょう。

 

ビニールハウスの奥までトマト!!

こちらの畑では赤、黄、緑のカラフルなミニトマトが栽培されていて、畝によって分かれて植わっているそう。

 

 

この日はミニトマトが穫れ始めたばかりで、熟した実は多くありませんでした。赤くおいしそうな実を発見し、そーっと大切に摘むめぐみさん。このあと、パクッとほおばって、「甘―い」と笑顔に。

 

ミニトマトの花。

 

花が咲いたあと、房状に実がなります。「人間には効かないくらいの毒ですが、未熟なミニトマトにはトマチンという成分が含まれます。また、葉っぱや茎には毛が生えていて虫除けになっているんですよ」と吉田さん。野菜なりに身を(実を?)守る知恵がいじらしく、その恵みを分けていただいているのだなと、畑を訪れて解説してもらうたびに思います。

ミニトマトは地面に近い房から熟していくので、この姿勢です。宝探しのような気分。

 

ジューシーなミニトマトに 紅茶の香りがプラスされ爽やかな一品に

吉田さんのところで栽培された、こちらの薄皮のミニトマトは「ほっぺたルビー」と名付けて出荷しておられるそう。

 

―ミニトマトについて、教えてもらえますか?

 

吉田さん:トマトの生まれ故郷は、南米アンデス山脈の西斜面沿いの高原地帯だと考えられていて、砂漠に似た乾燥地帯です。露地栽培だと夏が旬になりますが、日本の夏は湿度が高いので、暖房を使って育てるなら湿度の低い冬のほうが向いているともいえます。ともかくトマトは需要があるので、一年中栽培されていますね。ミニトマトは1980年代に登場して以来、どんどんと需要が高まり、今や大玉トマトよりも市場での流通量が増えているといいます。おいしいミニトマトを選ぶには、表面にツヤや張りがあるかどうかを見ます。

 

― 「ほっぺたルビー」についても教えてください

 

吉田さん:表面がしっとりとした、まるでサクランボのように皮と実がやわらかな品種で、酸味が少ないのが特徴で、生食に向きます。ヘタを付けてパックすると実に傷がついてしまうほどデリケートなので、扱いがたいへんなのですがファンも多いミニトマトです。収穫時期は、8月はじめから10月いっぱいですね。

 

…と、お話しを聞いているうちに、めぐみさんの調理がスタートしていました!

 

 

といっても、あらかじめ作って冷やしておいた紅茶寒天をミニトマトと合わせて、あっという間にできあがり。「今回は皮が薄い『ほっぺたルビー』だったので、そのまま使用しましたが、普通のミニトマトの場合は半分にカットを。さらに、天日干しにしたり、低温のオーブンでじっくりと焼くなどして、セミドライにしてから調理するのがおすすめです」(めぐみさん)

 

紅茶寒天は、こんな感じでスプーンでざくざくと崩して。

 

「ミニトマトと紅茶寒天のサラダ」の作り方

〈材料(4人分)

ミニトマト(冷やしたもの)20個くらい 紅茶(茶葉)大さじ1 寒天(粉末)3g 水350cc すももジャム、(以下は好みで)塩、ブラックペッパー、オリーブオイル、バルサミコクリーム各適量

 

〈作り方〉

(1)紅茶寒天をつくる。水100ccに紅茶を入れ、煮出して紅茶液をつくる(茶葉は茶こしで取り除く)

(2)小鍋に水250ccと寒天を入れて中火にかけ、かき混ぜながら沸騰させる。そのまま2分ほど加熱して寒天が溶けたら火を止め、(1)を加えて混ぜる。タッパーなどに移して粗熱を取って、冷蔵庫で冷やし固める

(3)深さのある器に、スプーンで崩した(2)を入れ、トマトとすもものジャムも加え、軽く混ぜる

(4)好みで塩、ブラックペッパー、オリーブオイル、バルサミコクリームをかけて完成

※バルサミコクリームは、バルサミコ酢を煮詰め砂糖などを加えた調味料。バルサミコ酢と比べ、酸味がまろやかなのが特徴です

 

 

「これもどうぞ」と、吉田さんからもらった穫れたてのトマトは、焼き豚と共にフライパンでこんがりと焼いて。「トマトはグルタミン酸が含まれていて、加熱するとうまみが増しておいしいんです」(吉田さん)

 

ミニトマトとトマトがたっぷりの、ごちそうテーブルがまもなく完成。

 

8月、京北の畑で、とれたて野菜をいただきます!

 

今回の飲み物はクラフトビール。京都府北部・丹後半島の上世屋(かみせや)という村にある工房「kohachi beerworks」のもの。

 

ほかの作業を終えた吉田さんの妻・祥子さんも合流して、乾杯!

 

ビール飲み比べしながら、吉田さん夫妻とめぐみさんの美味しいもの談義は尽きません。

これがきっと、今後の連載にもつながってゆくのです。楽しみ~。

 

【取材協力】

■京北の畑・野菜の紹介/吉田修也さん(「京農園よしだ」「Okulu」)

https://www.okulu.kyoto/

■畑を訪ねる人、料理考案/西村めぐみさん(京町家カフェ「まつは」)

※「まつは」は「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を

https://www.matsuha225.com/

Information
店舗・施設名 「京農園よしだ」「Okulu」
住所 京都市右京区京北上弓削町牛子谷4
電話番号 090-5472-6048
駐車場 あり
ホームページ https://www.okulu.kyoto/

Writer市野亜由美

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Writer市野亜由美

京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。

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