グルメ・お土産

2022.07.21

おいしいものを食べるのはもちろん、それができあがる過程も大好物な、ライター・市野亜由美です。

 

4月からスタートした、この連載。京町家カフェ「まつは」の西村めぐみさんと一緒に、毎月一回、京都の里山、京北弓削(ゆげ)町の農家さんのもとを訪れる企画です。いま流行の〝キャンプ飯〟ならぬ、〝ファーム飯〟を作って食べて、レシピもご紹介していきます。

 

新鮮なズッキーニの表面には やわらかなトゲがあるのを発見

 

畑を案内してくれるのは、「京農園よしだ」の吉田修也さん。京都市の北部山間にある京北町の休耕田を利用した広い畑(約4.5ha)で、年間約100種類の京野菜・ヨーロッパ野菜を生産しているそう。

さっそく、ズッキーニが育てられているビニールハウスへと向かいます。

 

 

じゃーん! ズッキーニの葉っぱです。こんなに大きいとは知らなかった私たち。もうすでに、テンションが上がっています。そしてズッキーニの実は、こんなふうに生(な)るんですね。写真では少し分かりにくいかもしれませんが、葉や茎、ズッキーニの実にも細かなトゲが生えています。これは新鮮さの目印。

 

 

「茎の中、空洞でしょう。これは、茎の強度は二の次にして、一日も早く高く伸びて太陽光を独り占めするという〝生存戦略〟なんです。ウリ科の植物は全体的にそうですが、ズッキーニは顕著ですね」と吉田さん。

 

 

ズッキーニは5月ごろに植えて、早いものは1か月ほどで収穫開始。1つの根から10~20個、とれるといいます。茎をのばして葉を広げ、たっぷりと浴びた太陽光の恵みなんですね。

 

材料は〝ほぼズッキーニのみ〟ほのかな甘さが塩で引き立つ

 

収穫したてのズッキーニ。切り口がみずみずしい!!

 

 

この日は、ズッキーニの花も手に入るということで楽しみにしていました。

 

―ズッキーニについて、教えてもらえますか?

 

吉田さん:ウリ科カボチャ属の夏野菜で、見た目はキュウリに似ていますが、カボチャの仲間です。カボチャといっても未熟な状態で食べる野菜で、やはり新鮮なものがおいしいです。ズッキーニは花も食べられます。イタリア料理ではポピュラーな食材で、オーブン料理やフリットに使用されます。うちも、イタリアンのお店に納めていますよ。花は受粉のため午前中に咲いて、午前9時くらいにしぼんでしまうので、せっかくならと、今日は早めに来ていただきました。

 

― 緑と黄色の2色ありますが、味の違いは?

 

吉田さん:厳密にいうと実の肉質が少し異なります。緑は粗く、黄色は柔らかめでなめらかです。とはいえ、これは品種の傾向がそうだというだけで、プロのお料理人さんでも、色の違いで使い分ける方が多いですね。

 

…と、お話しを聞いているうちに、めぐみさんの調理がスタートしていました!

 

 

今回は「無加水料理にします」とのこと。めぐみさんが、ラタトゥユ(フランス風夏野菜の煮込み)を作るときの要領で、〝トロトロに煮込んだスープ風〟〝野菜ゴロゴロ、かたちを残すタイプ〟の、ミックス版の蒸し煮です。ポイントは焦がさないこと、だそう。ズッキーニは大ぶりなものを使用。

 

 

塩気はしっかりめがおいしいとのアドバイスあり。

 

「2色のズッキーニの蒸し煮」の作り方

〈材料(4人分)

ズッキーニ(黄色)4本 ズッキーニ(緑色)1本 ニンニク1かけ オリーブオイル、塩各適量

 

〈作り方〉

(1)水で絞ったフキンでズッキーニを拭く(細かいトゲを取り除くため)

(2)黄色いズッキーニを2センチ角程度の大きさにカットする

(3)ピタッと蓋ができる鍋に(2)を入れ、オリーブオイルを一回しかけて、中火で加熱する。木ベラで軽く混ぜ、オイルがなじんだら塩を2ふりする

(4)焦げ付かないよう鍋の様子を見ながら、緑色のズッキーニを大きめの乱切りにする。ニンニクは潰し割る

(5)鍋の中の黄色いズッキーニの切り口が丸くなってきたら、(4)を鍋に入れ塩を2ふりする。緑色のズッキーニに油が馴染むまで木ベラで軽く混ぜつつ様子を見る。蓋を閉めて弱火にする

(6)緑色のズッキーニの芯まで火が通ったら、黄色ズッキーニの味見をし、塩気を調整して完成

 

 

めぐみさんが、パカッとお鍋の蓋を開けた瞬間、湯気がふわり。ズッキーニのいい匂い! 塩のみのシンプルな味付けで、新鮮なズッキーニの甘みが堪能できる一品です。

そして添えられているのは、ズッキーニの花を使った前菜。

「甘さを控えた生ハムとトマトのティラミスをフレッシュなズッキーニの花と合わせました。ズッキーニの花は味わいや食感が繊細なでそれを消さない味と食感の組み合わせで、ビジュアルで気持ちの盛り上がる一品を考えました」(めぐみさん)

 

7月、京北の畑で、とれたて野菜をいただきます!

 

今回の飲み物は、めぐみさんが用意してくれた「夏の白ワイン」。自家製レモンシロップと白ワインをソーダ割りにしたもの。さわやかです。

 

 

「2色のズッキーニの蒸し煮」は、冷やしても美味だそう。「タコなど魚介類と合わせても」とめぐみさん。ああ、それもおいしそうです。

 

 

ズッキーニの花に添えたティラミスは、トマトのピューレに浸したラスクとマスカルポーネチーズの組み合わせ。チリパウダーがかかっています。この斬新な組み合わせ、この日同行してくれた友人たちにも大好評。撮影後は、例のごとく贅沢な時間を堪能しました。

来月も楽しみです!

 

【取材協力】

■京北の畑・野菜の紹介/吉田修也さん(「京農園よしだ」「Okulu」)

https://www.okulu.kyoto/

■畑を訪ねる人、料理考案/西村めぐみさん(京町家カフェ「まつは」)

※「まつは」は「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を

https://www.matsuha225.com/

Information
店舗・施設名 「京農園よしだ」「Okulu」
住所 京都市右京区京北上弓削町牛子谷4
電話番号 090-5472-6048
駐車場 あり
ホームページ https://www.okulu.kyoto/

Writer市野亜由美

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Writer市野亜由美

京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。

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