グルメ・お土産

2022.03.08

京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。

第23回は、「啓蟄(けいちつ)」(今年は3月5日から3月20日まで)にぴったりな一品をどうぞ。

 

ほろ苦くて、ほっくり。たらの芽の魅力を際立たせる、シンプルな塩味のスープ

「たらの芽、天ぷらにするとおいしいですよね。大好きなんです!」と、めぐみさん。

山菜のなかではアクが強くなく、扱いやすいことから、みそ汁に入れたり、塩炒めにしたり、もともと気軽に使っているのだとか。今回は、たらの芽のほろ苦さ、ほっくりとした食感、可愛い見た目をいかした春らしい一品を、と考案してくれました。

「きじ肉は、数年前に旅先でいただいたきじ鍋が、もう、衝撃的においしくて、それ以来、冷凍のものを取り寄せています。体を温める効果があるそうで、食べると体がポカポカに。この時期、暦の上では春ですが、軽やかな服装をすると、肌寒い日もありますよね。そんなときにぴったり、とイメージしました」(めぐみさん)

スープをおつまみに? という意外性も、また楽しい。〝汁もの好き〟のまつは姉妹にとって、こうした取り合わせは定番で、「料理に使っているお酒と、飲むお酒のジャンルをそろえると合う」といいます。

今回、用意したのは長野県松本市の「大信州酒造株式会社」の「大信州 別囲い純米吟醸 番外品 生」。純米大吟醸と純米吟醸をブレンドした季節限定酒です。

「このお酒は、甘すぎず、辛口寄りで、その奥に華やかなおいしさがあります。塩のみで味付けしたシンプルなスープに、この熱燗でさらに華やかさが加わると、満足度の高い組み合わせになる、と選びました」

 

「たらの芽とキジのスープ」の作り方

〈材料(2人分)〉

たらの芽8個くらい キジ肉(食べやすい大きさに切る)150g 水600cc 塩大さじ1.5 酒大さじ4 もち米(なければ普通の米でOK)大さじ4

 

〈作り方〉

(1)たらの芽は硬い根元の部分を切り、はかま(ガクの部分)を取り除く

(2)鍋にキジ肉と水を入れ、弱火でゆっくり煮る。キジ肉に火が通ったら、取り出し、スープをザルでこす

(3)鍋にスープを戻し、塩、酒、米を加えて中火にかける。沸騰したら、ふきこぼれない火加減にし、米がやわらかくなるまで煮る

(4)取り出したキジ肉と(1)を加え、軽く煮る

(5)たらの芽に火が通ったらできあがり

※キジ肉を鶏肉に代えても。その場合は、うまみを補えるよう、骨付きのものを使うのがおすすめ

※たらの芽はすぐ火が通るので、煮過ぎないよう気をつけて

※写真は1人分

 

「キジ肉のうまみが出たスープが決め手。スープをこす際、布やペーパーを使うとうまみが取られ過ぎてもったいないので、目の細かいザルなどがぴったりです」とのこと

 

酒燗器がなくても、熱燗をなるべく冷ましたくない…と思いついたという、この方法。熱燗を一回り大きな器に入れ、周りにお湯を張ってあります

 

「熱燗を入れた器を、お風呂に入れる気持ちで(笑)」と、めぐみさん

 

「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を

 

☆ ☆ ☆

この季節の〝推し野菜〟メモ

たらの芽

とてもおいしい山菜ですので、最近は栽培ものも多く出回るようになり、まだ寒い時期から手軽に手に入るようになりました。しかし、本来は桜の咲く時期に採れる山菜で、やはり天然もののほうが味も香りもいいともいわれます。これから桜が咲くシーズンになったら、ぜひ、直売所などで探してみてください。

栽培ものはトゲがないので、もし赤っぽくトゲがあるものが混ざっていたら、天然ものの可能性が高いですよ。

解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )

 

―次回は「春分(しゅんぶん)」のおつまみレシピをお届けします

Information
店舗・施設名 まつは
住所 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671
電話番号 075-231-7712
営業時間 10:00~17:00(LOは16:30) 
※17:00以降の利用については要相談。
電話やメールでお問い合わせください。

日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり
交通 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分
お問合せ先 matuhairoiro@gmail.com
ホームページ https://www.matsuha225.com/

Writer市野亜由美

アバター画像

Writer市野亜由美

京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。

  • 公式LINE
  • 公式Facebook
  • 公式X
SCROLL TOP
pagetop