京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第23回は、「啓蟄(けいちつ)」(今年は3月5日から3月20日まで)にぴったりな一品をどうぞ。
「たらの芽、天ぷらにするとおいしいですよね。大好きなんです!」と、めぐみさん。
山菜のなかではアクが強くなく、扱いやすいことから、みそ汁に入れたり、塩炒めにしたり、もともと気軽に使っているのだとか。今回は、たらの芽のほろ苦さ、ほっくりとした食感、可愛い見た目をいかした春らしい一品を、と考案してくれました。
「きじ肉は、数年前に旅先でいただいたきじ鍋が、もう、衝撃的においしくて、それ以来、冷凍のものを取り寄せています。体を温める効果があるそうで、食べると体がポカポカに。この時期、暦の上では春ですが、軽やかな服装をすると、肌寒い日もありますよね。そんなときにぴったり、とイメージしました」(めぐみさん)
スープをおつまみに? という意外性も、また楽しい。〝汁もの好き〟のまつは姉妹にとって、こうした取り合わせは定番で、「料理に使っているお酒と、飲むお酒のジャンルをそろえると合う」といいます。
今回、用意したのは長野県松本市の「大信州酒造株式会社」の「大信州 別囲い純米吟醸 番外品 生」。純米大吟醸と純米吟醸をブレンドした季節限定酒です。
「このお酒は、甘すぎず、辛口寄りで、その奥に華やかなおいしさがあります。塩のみで味付けしたシンプルなスープに、この熱燗でさらに華やかさが加わると、満足度の高い組み合わせになる、と選びました」
〈材料(2人分)〉
たらの芽8個くらい キジ肉(食べやすい大きさに切る)150g 水600cc 塩大さじ1.5 酒大さじ4 もち米(なければ普通の米でOK)大さじ4
〈作り方〉
(1)たらの芽は硬い根元の部分を切り、はかま(ガクの部分)を取り除く
(2)鍋にキジ肉と水を入れ、弱火でゆっくり煮る。キジ肉に火が通ったら、取り出し、スープをザルでこす
(3)鍋にスープを戻し、塩、酒、米を加えて中火にかける。沸騰したら、ふきこぼれない火加減にし、米がやわらかくなるまで煮る
(4)取り出したキジ肉と(1)を加え、軽く煮る
(5)たらの芽に火が通ったらできあがり
※キジ肉を鶏肉に代えても。その場合は、うまみを補えるよう、骨付きのものを使うのがおすすめ
※たらの芽はすぐ火が通るので、煮過ぎないよう気をつけて
※写真は1人分
「キジ肉のうまみが出たスープが決め手。スープをこす際、布やペーパーを使うとうまみが取られ過ぎてもったいないので、目の細かいザルなどがぴったりです」とのこと
酒燗器がなくても、熱燗をなるべく冷ましたくない…と思いついたという、この方法。熱燗を一回り大きな器に入れ、周りにお湯を張ってあります
「熱燗を入れた器を、お風呂に入れる気持ちで(笑)」と、めぐみさん
「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を
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この季節の〝推し野菜〟メモ
たらの芽
とてもおいしい山菜ですので、最近は栽培ものも多く出回るようになり、まだ寒い時期から手軽に手に入るようになりました。しかし、本来は桜の咲く時期に採れる山菜で、やはり天然もののほうが味も香りもいいともいわれます。これから桜が咲くシーズンになったら、ぜひ、直売所などで探してみてください。
栽培ものはトゲがないので、もし赤っぽくトゲがあるものが混ざっていたら、天然ものの可能性が高いですよ。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「春分(しゅんぶん)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。