京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第17回は、「大雪(たいせつ)」(2021年は12月7日~21日)にぴったりな一品をどうぞ。
「わー、菊芋、うれしいです!」と、今回の〝推し野菜〟を伝えたときに、めぐみさん・由香さんから喜びの声が上がりました。お二人は今年の10月初旬に京北町の畑を訪ね、菊芋の花を見たこともあり、そのときから好物の菊芋で何を作ろうかと楽しみにされていたのだとか。
そして、今回、紹介することにしたおつまみは、マスカルポーネチーズと組み合わせたまろやかな味わいのムース。「菊芋のほのかな甘みをいかして、優しい味に仕上げました。そのまま食べてもいいですが、岩塩をパラリとふったり、生ハムと合わせてもおいしい。多彩な楽しみ方ができます」とめぐみさん。
合わせるお酒は、さわやかなりんごの香りが漂うシードル(発泡性辛口ワイン)。「タケダワイナリー」の「サン・スフル シードル(発泡)山形県産りんご100%」です。
「シードルって、日本産のものでいいのが最近たくさんつくられていて、香り、味わいもさまざま。『一回飲んで、好みじゃなくても嫌いにならないでほしいね』って、由香ともよく話しています。寒い日、お家の中でゆっくりと過ごす機会も多いと思うので、まったりとしたムースと、シュワッとフルーティーなシードルの組み合わせがぴったりかな、と想像しながら決めました」(めぐみさん)
〈材料(作りやすい分量)〉
菊芋7~8個 マスカルポーネチーズ200g 水適量 塩小さじ2 粉ゼラチン10g トッピング(オリーブオイル、ピンクペッパー、はちみつ、ブラックペッパーなど)各適量
〈作り方〉
(1)菊芋はよく洗って、ざく切りにする。鍋に入れてひたひたに水を注ぎ、塩を加えて中火で煮る(アクが浮いてきたら取り除く)
(2)菊芋に火が通ったらコンロからおろし、熱々のうちに粉ゼラチンを加えてハンドブレンダーでかくはんする
(3)菊芋の固まりが小さくなったら、マスカルポーネチーズを加える。さらにかくはんし、なめらかなペースト状にする。金属性のバットなどに移し、冷蔵庫で冷やし固める
(4)皿に盛り、好みのトッピングをする
※粉ゼラチンは、そのまま使えるタイプを使用。水でふやかすタイプは、説明書どおりに下準備してから利用を
※菊芋は生食できるので、(2)でシャキっとした食感が残ってもOK
※上記の材料で写真の10倍くらいの量ができる。今回のトッピングは、「オリーブオイル+ピンクペッパー」「はちみつ+ブラックペッパー」の2種
はじめに加える水の量でムースのゆるさは変わるので、好みの水加減でどうぞ
「今回は手に入らなかったけど、地元の長野にもいいシードルがたくさん!」とお二人
10月初旬、「京農園よしだ」の吉田さんにお二人が畑を案内してもらったときに撮影。黄色い花が咲いている背丈の高い草が菊芋です
食べるのは、地中にできる「塊茎(かいけい)」という部分。この日、まだ収穫時期には早いけれど、掘りおこして見せてくださいました
「まつは」は、年内は不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を
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この季節の〝推し野菜〟メモ
菊芋
まだまだ知名度が低く、「どんな野菜?」と聞かれることも。ショウガのような見た目に、ゴボウのような香り、ナシのような食感と説明しますが…よくわかりませんね(笑)。
名前に〝芋〟と付きますが、デンプンが少ないためカロリーが低く、食物繊維が多いので、最近は健康食品として注目されています。しかも、食べて〝ちゃんとおいしい野菜〟なのもうれしいところ。皮をむく必要はありませんし、生でも、炒めても、煮てもおいしいので、とても便利です。
唯一の欠点は、芋なのに保存がきかず、冬の間しか食べられないこと。これからおいしい季節なのでたくさん食べてください。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「冬至(とうじ)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。