京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第16回は、「小雪(しょうせつ)」(2021年は11月22日~12月6日)にぴったりな一品をどうぞ。
「このおつまみは、2年ほど前、お姉ちゃんの誕生日に作った骨付き鶏と大根の煮物からヒントを得ています」と、由香さん。もともと冬場は、大根がたくさん手に入るので、干したり、焼いたり、さまざまな使い方をしていたそうですが、〝セミドライ〟にして煮るというのが、お二人にとって大発見だったそう。「多くの人がご存じなのかもしれないけれど、『これはおいしい。すごい~』って、盛り上がったよね」と、めぐみさんが笑います。
少し干すことで、大根がぱりぱりとした食感になり、野菜の甘みがぎゅっと濃縮されます。煮くずれしにくくなり、仕上がりがきれいになるのも嬉しいですね。今回は簡単に作れるおつまみとして、顆粒のスープのもとを使ったレシピを紹介しましたが、セミドライの大根は骨付き鶏と一緒に煮ると立派な一品になります(その場合は、香りづけにおしょうゆを少し足して、と由香さんからのアドバイスあり)。
今回合わせたお酒は、お二人の地元・長野県の駒ヶ岳に醸造所がある「南信州ビール」のクラフトビール。季節限定ビールの「オクトーバーフェスト」は、〝4種類の麦芽を贅沢に使用し、ホップの苦味を抑えているため、甘いモルト風味が楽しめる中濃色エール〟です。
「さわやかな塩味の『大根のぱりぱりレモン煮』は、サイドメニューにもぴったり。そうした場合は和・洋、どちらの飲み物にも合うと思うのですが、一対一で合わせる飲み物となれば、すっきりとした味わいのビールだな、と選びました」(めぐみさん)
〈材料(作りやすい分量)〉
大根(太めのもの)1/3本くらい レモン(スライスしたもの)1個分 鶏ガラスープのもと(顆粒)大さじ1 塩小さじ1 白ワイン50cc 水、粗びきこしょう各適量
〈作り方〉
(1)大根は皮つきのまま、5㎜厚さの半月切りにする
(2)オーブントースター(グリルなどでもよい)を低めの温度に設定し、(1)を焼く。ある程度、水分が飛んだら取り出す(ふちの部分や表面が乾く程度に。少しくらいであれば、焦げめがついてもOK)
(3)鍋に(2)を入れ、ひたひたになるよう水を注ぐ。鶏ガラスープのもと、塩を加え、弱めの中火で煮る
(4)少しふつふつとしてきたら、白ワインを加えて3分ほど煮る
(5)火をごく弱火にし、表面に並べるようにしてレモンを置き、5~10分煮る。器に盛り、粗びきこしょうをふる
※時間があるときは、(2)の代わりに、大根をかごなどに並べて干しても。風通しの良い場所で、ひと晩~一日くらい。大根のなかに水分が残っているのもおいしさのポイントなので、乾燥させ過ぎないこと
※しっかりと、こしょうの辛みを効かせたい場合は、(3)の時点で粒こしょうを加えて一緒に煮てもよい
レモンは煮過ぎると苦味が出るので、最後に加えて。見た目も美しく仕上がります
この日はお天気がよく、少し寒かったけれど撮影は中庭で
ちゃんとポーズを取ってもらったバージョンもありますが、思わず笑っちゃったお二人が可愛いので、こちらの写真を採用
「まつは」は、年内は不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を
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この季節の〝推し野菜〟メモ
大根
今では年中見かけますが、大根は、やはり冬がおいしい野菜です。
最近では生産性の面から青首大根が主流になりましたが、さまざまな地域で今でも多様な品種がつくられ、いろいろな食べ方が残っています。
京都では聖護院大根、辛味大根、桃山大根、茎大根、青味大根が、伝統野菜に指定されています。冬になるとあちこちの寺社で〝大根焚き〟が行われており、年末の風物詩になっていますよ。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「大雪(だいせつ)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。