京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第15回は、「立冬(りっとう)」(2021年は11月7日~11月21日)にぴったりな一品をどうぞ。
「今回は〝朝呑み〟とか、ブランチにとイメージした一品です」とお二人。このオープンサンドの具材は、ほぼブロッコリー! シンプルな味付けで、オイルやクリームなどは加えていないので、食べるときポロポロとこぼれやすいのがまた、〝ご愛敬〟なんだとか。めぐみさんいわく、「お皿の上にこぼれたマッシュブロッコリーをつまみながら、ちょこちょこ飲んでもいいなぁ、と」とのこと。確かに、その様子が、目に浮かぶようです。
今回のお酒はイタリア産の「エリージョ・ビアンコ」。オレンジワインは白ブドウの果皮や種を取り除かずに発酵させ、醸造する複雑な風味のワインで、近年人気が高まっているそう。お二人も、オレンジワインに出合ったときから大好きになったといいます。「キリッと冷やした白ワインもいいけれど、この季節にオレンジワインの深い味わいがぴったりだなと思いました。ビールも合うのですが、ニンニクを使っているものの繊細な味わいで、ブロッコリーの香りを存分に楽しめるという点でワインをチョイスしました」(めぐみさん)
もし、赤ワインと合わせるなら、刻んだベーコンやチーズなどを加えても。おつまみとお酒の関係の奥深い関係、こうやって組み合わせを考えるのも楽しいですね。
〈材料(作りやすい分量)〉
ブロッコリー1株 みじん切りニンニク2かけ分 白ワイン100cc ブラックオリーブ(種抜き。粗めに刻んでおく)50g ペカンナッツ50g 塩小さじ2/3くらい 食パン、有塩バター各適量
〈作り方〉
(1)ブロッコリーを小房に分ける。重ならないよう鍋底に敷きつめ(フライパンでもOK)、全体が軽くひたるくらいの高さまで水(分量外)を注ぐ
(2)みじん切りニンニクと塩を全体にいきわたるよう乗せ、アルミホイルで軽くふたをして中火にかける。沸騰したら弱火にし、蒸し煮にする
(3)ブロッコリーの茎の部分がやわらかくなってきて、水分が半分くらいとんだら、白ワインとブラックオリーブを加える。そのまま加熱し、全体がフォークで崩せるくらいにやわらかくなったら、アルミホイルを外して水分をとばす。「べたつかないけれど、しっとりとした状態」になったら、火からおろす
(4)トーストした食パンに有塩バターを塗り、(3)を乗せる。砕いたペカンナッツをトッピングする
※ニンニクはゴロッとした感じが好きなら、刻まず、半分にカットしたものを使ってもよい
※好みで塩、こしょうを添えて
今回、メイン写真で使ったイギリスパンは、てっぺんと底の食感が違うのが魅力。「でも、酸味があるパンも合うんじゃない?」などと、常に食いしん坊談義は止まりません
お二人で「乾杯!」
ペカンナッツを加えることで、ぐっと味に奥行きが出ます。トッピングするときは手で砕いて。細かくなり過ぎず、まばらな感じが見た目もおしゃれです
「まつは」は、現在、店内飲食再開の準備中。今後の予定はホームページやSNS(facebook、Instagram)などに随時アップされますので確認を。
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この季節の〝推し野菜〟メモ
ブロッコリー
ブロッコリーは、品種改良と冷蔵輸送技術の発達により現在では一年中スーパーに並んでいますが、元々は冬が旬の野菜です。
寒い時期には紫がかったものも見かけますが、これはしっかりと寒さに当たっておいしくなった目印です。きれいな緑ではないので見た目が悪いとされ市場での評価は低いですが、味は断然おいしいので、ぜひ探してみてください。
ちなみに見た目がよく似た野菜のカリフラワーはブロッコリーの突然変異で、最近流行りのロマネスコはブロッコリーとカリフラワーをかけ合わせてできた野菜です。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「小雪(しょうせつ)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。