京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第4回は、「小満(しょうまん)」(2021年は5月21日~6月4日)にぴったりな一品をどうぞ。
「今回は素材と素材の勝負…という感じです!」と話す、めぐみさん。日本酒のマリアージュで発酵食品を合わせるなど、〝味を乗せていく〟という楽しみ方があるそうで、それをヒントにスモーキーな燻製×スモーキーなウイスキーとの組み合わせを思いついたといいます。
合わせるお酒は、「Caol Ila(カリラ)」。イギリスのスコットランドで造られるスコッチウイスキーのひとつです。「木炭のような香りで癖は強め。でも、ごはんの後の一杯にいただくこともあるくらい、飲むとすっきりするんです。今回は炭酸と合わせて、ハーフソーダで用意しました」(由香さん)
「新玉葱の燻製」の材料は極めてシンプル。新タマネギならではの、フレッシュなおいしさを存分に味わえます。調理時間は少々かかりますが、手間いらず。そして何より、作っているあいだ部屋に広がる燻製の匂いが絶品、出来上がった見た目もかっこいいのがうれしいおつまみです。
〈材料(作りやすい分量)〉
新タマネギ…1個 砂糖(上白糖)…適量 茶葉…大さじ2くらい 岩塩…適量
〈作り方〉
(1)新タマネギは皮の汚れを落とし、200℃に熱したオーブンに丸ごと入れて1時間くらい焼く
(2)蒸し器の下段にアルミホイル(15㎝角に切ったもの)を敷き、その上に砂糖を薄く広げる。さらに、その上に茶葉をまんべんなく散らす
(3)蒸し器の上段に納まるサイズのザルを置く。ザルの中にオーブンシートを敷き、(1)を入れる
(4)ふたをして中火で5分加熱する。砂糖が焦げて、煙が出てきたのを確認して弱火にし、そのまま20分ほど燻(いぶ)す
(5)食べやすくカットして器に盛り、岩塩を添える
※燻製器があれば、さらに手軽に作れる
※ザルの中にオーブンシートを敷くのは、新タマネギから出たスープが流れてしまうのを防ぐため。出来上がったときにスープが溜まっていたら、それも器に盛り付けて
※茶葉は何でもOK。一度、お茶を飲んだ後のものを乾かして使ってもよい
※燻す時間の長さは好みに応じて加減を
※岩塩のほか、しょうゆ、ポン酢などで食べてもおいしい
新タマネギのみずみずしさ、舌触りのなめらかさが何ともいえません。「オーブンでの焼き時間をさらに長めにすると(2時間ほど)、タマネギがやわらかく、蜜のような甘さになります」とめぐみさん。シンプルなお料理だけに、いろいろとアレンジも楽しめそう
実は蒸留酒が得意ではなかったという由香さん。「30歳を過ぎてカリラに挑戦したのが、ウイスキーを飲めるようになったきっかけ。その後、いろんなウイスキーを飲めるようになったけど、やっぱりこれが好きですね」と話します
「カリラは常温ストレートで飲みながら、新玉葱の燻製をつつくのもいいですね。ちなみに、こっくりとした甘みのある、紹興酒も相性がいいと思います」(めぐみさん)
現在、「まつは」はお休み中。緊急事態宣言が明けたら、店内での飲食を再開する予定です。なお、定期的に続けているティースクール(毎月第3日曜の午後2時~4時、手作りのお菓子4種付き)などのイベントは、基本的にお休み中も実施するとのこと
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この季節の〝推し野菜〟メモ
新タマネギ
タマネギは一年中食べられますが、新タマネギが手に入るのは、この時期だけ。
新タマネギは収穫したてのタマネギのこと。保存性はありませんが、やわらかくみずみずしい甘さが特徴で、辛味が少ないので生食にも向きます。また、若採りしたものは上部の葉も長ネギのように食べられます。限られた時期だけの旬の味ですので、もし出合ったら、ぜひ味わってみてください。
普通の茶色いタマネギは、収穫してから1カ月ほど乾燥させることで、長く保存できるようにしたものです。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「芒種(ぼうしゅ)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。