京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第3回は、「立夏(りっか)」(2021年は5月5日~5月20日)にぴったりな一品をどうぞ。
「青山椒は大好き。出回る時期にはいろんなものに使いますよ」「シロップにしたり、ジンジャーエールを作ったり…」と話す、めぐみさんと由香さん。今回、青山椒をおつまみにと考えたとき、鶏との相性の良さから、この一品に決めたといいます。
合わせるお酒は、「la Petite Gaule du Matin(ラ・プティット・ゴール・デュ・マタン)」。リンゴや花梨のような爽やかな香りが特徴の、フランス・ロワール地方の微発泡白ワインです。「これは『前田豊三郎商店』(http://maetoyo.com/index.html)のスタッフさんに、おすすめしてもらいました。本連載は自分たちの知らなかったお酒も知ることができる良い機会。酒屋さんでメニューの相談をしたりするのも、すごく楽しみです」(めぐみさん)
コンフィは、作るのに時間がかかりますが、調理自体は簡単。ほどよくオイルが入って、しっとり仕上がった鶏ささみに、山椒とオレンジがアクセントとなった、見た目も華やかな一皿です。青山椒の〝ピリッ〟と、ワインの微発泡の〝ピリッ〟のペアリング、ぜひ堪能を。
〈材料(作りやすい分量)〉
鶏ささみ…4本 青山椒…大さじ3くらい 清美オレンジ(好みの柑橘でOK)
…1個 オリーブオイル…200cc 塩…小さじ1 粗びきこしょう、クレソン…各適量
〈作り方〉
(1)鶏ささみ、青山椒、オリーブオイル、塩をジッパー付きの保存袋に入れ、冷蔵庫で一晩なじませる(保存袋の空気をできるだけ抜いておく)
(2)鍋にたっぷりのお湯を沸かし、火を止めて(1)を入れる。蓋をして、そのままの状態で1時間30分ほど置き、加熱する
(3)保存袋のままいったん冷水につけて粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす(1時間以上)
(4)鶏ささみを保存袋から取り出し、食べやすい大きさに手で裂く。皮をむき、くし切りにした清美オレンジと合わせ、器に盛る。クレソンを添え、粗びきこしょうをふる
※鍋のお湯の量が少ないと鶏ささみにじゅうぶん火が通らないので気をつける(中心部の温度が63℃以上になった状態で30分間以上保つように)。低温調理器を利用すると、さらに簡単に作れる
※仕上げに好みで岩塩をかけてもよい
※保存袋に残ったオイルも美味しいので利用を。ドレッシングやパスタのソースなどいろいろ使える
「(今回はきちんと取り除いていますが)山椒の軸取りは、そこまで神経質にならなくても。ローズマリーを使うときのような感じで、軸ごと入れちゃうこともあります(笑)」とめぐみさん。おおらかにお料理を楽しむの、いいですね!
この日の取材は鴨川にて。「このワインは温度が少し上がってもおいしい!」「クーラーに入れずに持ち出しても楽しめるね」とお二人はニコニコ
ワインのラベルには、釣りをしているおじさんのイラストが描かれていて、何だかかわいいのでした。味わいについては、「おいしい白ワインに、発砲の良さが足されている感じ」とお二人の談。
現在、「まつは」は長期のお休み中。お弁当の予約などについては要相談、詳細はメールで問い合わせを。定期的に続けているティースクール(毎月第3日曜の午後2時~4時、手作りのお菓子4種付き)は実施予定です
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この季節の〝推し野菜〟メモ
青山椒
山に入るとあちこちで見かけるので栽培はさほど難しくないと思われていますが、実はとても繊細な植物。何かの拍子にすぐに枯れてしまうことから「山椒の木の前で鼻歌を歌うと木が枯れる」と言われるほどです。
人気のちりめん山椒(醤油味の佃煮)のほか、料理で使うなら、生のままを濃いめに味付けした肉炒めや魚介と合わせるのもおすすめ。油との相性がいいです。ただ、山椒の特徴はリモネン(柑橘の香り)と辛味なので、油が強すぎると〝らしさ〟が消えます。辛さを緩和したいなら油多めで。オイル漬けにして調味料にする人もいます。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「小満(しょうまん)」のおつまみレシピをお届けします
店舗・施設名 | まつは |
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住所 | 京都市中京区二条通富小路東入ル晴明町671 |
電話番号 | 075-231-7712 |
営業時間 | 10:00~17:00(LOは16:30) ※17:00以降の利用については要相談。 電話やメールでお問い合わせください。 日曜・月曜休。都合により臨時休業、長期休暇あり |
交通 | 地下鉄「京都市役所前」駅から徒歩約6分 |
お問合せ先 | matuhairoiro@gmail.com |
ホームページ | https://www.matsuha225.com/ |
Writer市野亜由美
Writer市野亜由美
京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。