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ライターのCozueです。
あわただしかった三月、四月もやっと終わり、日々の生活も少しずつ落ち着きを取りもどしてきた五月。
さわやかな青空と、窓の外では風の波を優雅におよぐ鯉のぼりたちの姿がとおくに見えます。咲きほこる花々や新樹光・・お出かけをするには最適な季節になりましたね。
サンドイッチと淹れたてのコーヒーをもって、ピクニックと洒落込んでみるのも楽しそう!
今回は、京都市左京区菊鉾町(きくほこちょう)にある社会福祉法人 菊鉾会 テンダーハウスさんの「燻製京白だし醤油 イブリデイ(800円税込)」をご紹介します。
京阪三条駅から徒歩5分。三条通りを東にむかい、花見小路通りを北に一筋入った住宅街の一角にテンダーハウスさんはあります。
大通りから一歩奥に入ると、京都の静かな町屋通りである
お話をおうかがいしたのは、食べることが好きで自身のグルメブログも現在更新中といわれる事務局長の野村尊実(たつみ)さんです。
障がい者就労支援施設 テンダーハウスは、平成9年4月1日に開所。
現在は「就労支援」「デイサービス」「グループホーム」「特定相談支援」の4つのサービスを提供。その中でも利用者さんたちは、4つの班(企業班・クリーニング班・鈴華織班・陶工班)にわかれており、日々作業に励んでいます。
利用者さん個人の特性・能力を仕事に活かし、取り組む姿勢は真摯。私も利用者さんの姿に、見習うべきところがありました。
そもそも、障がい者就労支援施設がなぜ醤油作りをしようと思ったのか。
障がい者就労の現状として、全国的にも作業工賃が少額だと話されます(一人当たり月の平均 約16,000円位)
一生懸命作業に取り組んでいても「少額な工賃」という疑問がつよく残りますと野村さん。
省スペースで工夫して、燻製醤油作りの作業をされている
そこで、利用者の人たちのために何かできることはないか思慮をめぐらせます。
下請けの作業を大量に請け負ったとしても、作業の手はいろいろと限られてくる。
まず作業単価を上げないことには、工賃の向上には繋がらない。
そうなると下請け作業工賃だけでは、正直きびしいのです。となると、同じような作業でも自社商品を生み出すことで工賃を上げることが可能だと思ったそうです。
ただ、販売するうえで在庫リスクをかかえる不安も拭いきれません。
委託販売で商品を置いてもらえるところがまだ少なく、このコロナ禍の影響によってイベントに出店ができない状態。
コロナ禍が落ち着き次第、お客さまとのコミュニケーションを最大限に活かせるイベントなどに参加し商品の存在を多くの方に知っていただきたいと願っています。
スモークセサミ(燻製ごましお)専用燻製装置の密封扉は、野村さんと職員さんがDIYして作った
当時、野村さんは理事長から新規事業の立ち上げを任せられたといわれます。
色々と発案を試みますが、なかなか案は通らずの連続だったそうです。
新規事業といっても、いったいどのような事業をすればいいのか。
野村さんは、一年半をかけ「お客さまが何度も手にとってくれるようなリピート商品=燻製食品」のアイデアを思いうかびます。燻製を作るにあたり、知人である大阪の人気燻製料理店「燻バールでく」のオーナーに指示を仰ぎます。
頭に思い浮かんだ食品の種類はたくさんある・・・その中でも賞味期限のロスが少ないもの。そして、第一に障がいのある人たちの作業に相性が良い仕事を考慮したといわれます。
最初は燻製塩も候補にあがっていたのですが、差別化を図るため燻製を使った醤油を作ろうと思い至ったそうです。燻製醤油はめずらしく、競合他社も少なく、初期費用もかなり抑えられたといわれます。
また、燻製をしている間というのはほとんどが待ち時間。この時間を有効に使うことで、醤油瓶のラベルを貼ったり、別の細かい作業もできるという訳です。当初、慣れない瓶詰め作業に利用者さんは困惑し醤油をこぼしてしまうこともあったそう。
ですが時間と共に作業に慣れてくると、醤油を入れる内容量の誤差もなくなりました。
ひたすら同じ作業を繰り返すというのは、集中力と根気がなければなかなか続くものではありません。
スモークセサミ(燻製ごましお)専用の燻製装置は上・下段と分かれおり煙も大量に出るという
スモークウッドとは、木材をブロック状に固めたもの。直接火をつけるだけで煙を だすことができるといわれています。クルミ・ヒッコリー・桜・りんご・ウィスキーオークなど燻煙材も多種類。
燻製醤油の試作では、北米で一番使用頻度が高いといわれるヒッコリーやウィスキーの古樽を使用しているというウィスキーオークでまず試したそうです。香りのクセが強すぎるため醤油との相性はイマイチ合わなかったとのこと。
そのなかでも、日本で一般的な人気を誇る「桜のスモークウッド」は燻製醤油作りにいちばん適していたといわれます。
(燻製素人のわたしでも、桜チップ・桜スモークウッドは聞いたことがあります!)
また「桜」にこだわったのは野村さんの思い描く「京都らしさ」や「和」のイメージがあり、素材の邪魔をせずいろんな食材にかけていただいてほしいという想いで選ばれました。
桜のスモークウッドって、実は主張が強すぎない「はんなり」精神にもどこか似ているのかもしれません。
計量カップからメスシリンダーへ。2度の工程を踏まえてから瓶詰めする量の誤差が減ったという
燻製醤油を作ろうと決めてからは、案外スムーズだったと語られる野村さん。
ネーミングも自ら考え、燻製醤油を毎日食卓で楽しめることから「エブリディ(毎日)」と燻製の「燻り」をかけて『イブリデイ』に決定。
【燻製京白だし醤油は、テンダーハウス オンラインショップでお買い求めいただけます】
意外にも頭を悩ませていたのは、パッケージデザインだったといわれます。
納得のいくデザインにたどり着くまで、4ヶ月ほどかかり10回はデザインの変更をお願いしたそう。
その納得いくデザインとは、一体どういうものだったのでしょうか。
燻製醤油を作るに際に、障がい福祉業界のショップを運営している会社に相談。
京都市 大原野の伝統が今も息づく老舗(天保元年創業)の城戸平左衛門商店さんを紹介してもらい醤油をご縁に繋がったのだとか。
ラベル貼り担当は女性利用者さん一人で作業。ラベル貼りは案外難しく空気を入れる事なく貼れるそう
野村さんいわく「創業191年の伝統と歴史のある醤油を使うことで、あたらしい価値あるものにしたかった。イブリデイのネーミングは人の心に残りやすく、デザインはそのレトロさ(伝統と歴史)を活かした商品にしたかった」
そうしたこだわりの新商品に取り組むなかで、資金問題にも直面。
障がい者支援施設は、福祉施設という性質上、資金調達は厳しい状態であること。現に節約をしながら、新規事業に取り組んでおり営業活動や資金集めに奮闘しているといわれます。
2019年6月3日〜7月30日までの約2ヶ月間に、クラウドファンディングMAKUAKE(マクアケ)にてネットを通じ企業などの開発費用や商品を応援購入するという試みにもチャレンジしています。
目標額30万円に対して、それを上回る110万円もの資金調達に成功。
同時並行で、いろんな方々からの出資の尽力もあり2台目のごま専用燻製装置を購入することができたといいます。
まれに煙が逆流することもあり、漏斗(ろうと)にガーゼを入れて異物混入を防ぐ
2度の作業工程後、漏斗(ろうと)から一本、一本瓶に詰め替え作業をする
卓上式のキャッパーを使って、丁寧にキャップ詰め
燻製京白だし醤油・燻製京だし醤油の販売をスタートし、2020年の秋ごろにはスモークセサミを販売。
「今後もなにか燻製を使った商品を作りたいと考えてますね」(事務局長 野村さん)
現状としては食品の営業許可や製造許可の問題が関係しており、なかなか商品化が難しいのだとか。また新商品の開発をするにあたって、施設の作業場の数も限られており場所の確保も難しいとされます。
野村さんのなかでは、燻製を使ったオリーブオイルやごま油の商品構想もあったそう。
実現化するためには食用油脂製造業許可が必要であり、製造設備等の基準に適合しなければならず営業許可もおりないといった厳しさなのです。
昨年に販売されたスモークセサミ(燻製ごましお)は、京都市中京区にあるごま専門店「ふかほり」さんとのコラボレーションで商品化されたもの。
スモークセサミ(燻製ごましお)は、製造許可のカテゴリーがなかったので無事商品化に至ったというテンダーハウスさんの第2弾 燻製商品です。
「もし今後、許可がとれるカテゴリー食品があれば第3弾も実現できると思います。でも今は新商品を出すというよりか、イブリデイをみなさまに知っていただき手に取っていただくのが一番だと強く感じています」(事務局長 野村さん)
日々どのような作業をしているのか説明をしてくれて、袋詰めを終えたお菓子を見せてくれた
自社のホームページや商品カタログにも掲載されている燻製京白だし醤油を使った「燻製風たまごかけごはん」。
熱々の白飯の上に、こつんと生卵を割りおとし、燻製京白だし醤油をたらす。誰もがその安定の旨さにハートをつかまれる美味しさだと語られる野村さん。
そんな野村さんの「燻製京白だし醤油」のオススメな食べ方は、「ざるそば」なのだそう。
麺つゆに少し「燻製京白だし醤油」を落とし、つゆに軽くつけたざるそばを勢いよくすすりこむ。
燻製のこうばしさが嗅覚回路を通り、香りがすぅーっとこみ上げ燻製の余韻が残りやすいという。燻製したものはあまり熱を加えると香りが飛んでしまうため、あたたかい料理にはむかないといわれます。
陶工班が造るネコちゃんのソープディッシュとブタさんのペン立てが可愛すぎる
これからの季節、みずみずしい野菜の食感を楽しめる野菜スティックやサラダ。
マヨネーズ×燻製京白だし醤油を混ぜ合わせた「燻製マヨネーズ」を使って、素材にディップしていただくのも満足感が得られそう。
オリーブオイル×燻製京白出し醤油を混ぜ合わせたドレッシングも、カルパッチョにしていただくのもオススメなのだとか。
また、刺身を「漬け」にして海鮮丼として食卓で海の幸を堪能することもできます。
漬けを作る際、刺身をバットに漬けるやり方も全然あり!
ですが、バットに漬けるよりもジップロックに密封し漬けておくことで燻製の香りが素材につきやすいのだとか(いいこと聞いたな〜メモメモ!)
燻製京白だし醤油を混ぜ合わせることで、料理にも味わいにも幅がでて食卓でも楽しめること間違いなしです!
毎度おなじみ 我が家の「燻製京白だし醤油」を使ったいただき方をご紹介 !
ここ最近、なぜか私の中で勝手にキテいる「サンドイッチ」のマイブーム。
パン屋さんのサンドイッチも美味しいのですが、あえてコンビニのサンドイッチが気になり、ちょくちょく買っています(この妙なこだわりも謎・・)
燻製京白だし醤油をジュレにすることで、見た目もキラキラして華やさもアップ
今回は、久しぶりに自家製鶏ハムを作ってみました。
煙が味わいのひとつである「燻製京白だし醤油」を使用した「自家製鶏ハムの燻製京白だし醤油ジュレバゲットサンド」にチャレンジです!(レシピタイトルが長くてすみません 汗)
【材料】
・バゲット・・・1本
・自家製鶏ハム(コンビニのサラダチキンでも代用OK)
・チーズ・・・(お好みの量で)
・バター・・・( 〃 )
・マヨネーズ ・・・( 〃 )
・トマト・・・輪切りにして二、三枚
・スライスチーズ・・・一枚(我が家はチェダーを使用)
・レタス・・・適量
・玉ねぎスライス・・・適量
【ジュレ作り方】
◎燻製京白だし醤油(ジュレ作り方)・・・大さじ2と
◎水・・・大さじ2
◎ゼラチン・・・小さじ1
◎水・・・大さじ4
バゲットを長さを3つに切ります。
バゲットが半分になるように深く切りこみを入れます(完全に半分にしない様に)
(見た目ボリューミーがお好みという方は、バゲット一本を使ってもいいかもしれません)
その一つに切りこみのなかに、バターを塗っておく。(個人的には、バターたっぷり目の方が大好き!)
レタスは、お好みの大きさにちぎってバゲットに挟みます。
レタスにマヨネーズをお好みの量をかけて、スライスチーズをのせる。
スライスチーズのうえにお好みの厚さに切った自家製鶏ハムをのせ、トマトの輪切り、燻製京白だし醤油のジュレを大胆にかけて挟みます。
五月晴れのすがすがしい日には、おいしい空気と共に外でいただくバゲットサンドもまた格別ですよ!
店舗・施設名 | 社会福祉法人 菊鉾会 テンダーハウス |
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住所 | 京都市左京区新柳馬場通仁王門通下ル菊鉾町316 |
電話番号 | 075-752-4636 ※ご来所される場合は事前にお電話をお願いいたします(担当:野村・三好) |
営業時間 | 9:00〜16:00 |
交通 | 地下鉄東西線「三条京阪」、京阪電車「三条」地下鉄1番出口徒歩5分 市バス・京阪バス・京都バス「三条京阪」、「東山仁王門」下車徒歩5分 |
駐車場 | なし |
WriterCozue
WriterCozue
福岡出身、京都在住。 中学生の頃、修学旅行で訪れた京都に「運命」を感じる。夢にみた京都暮らしが現実になり、専業主婦からライターの名をもつ兼業主婦に。 旅先の地元スーパーや道の駅などで、面白い、珍しいご当地の調味料探しにハマっている。書店巡りも大好きで最高の癒しスポット。 少しずつ身についてきた京都弁、たまに飛び出す福岡弁の方言MIXも気に入っている。