ごきげんいかがですか。
あんこ好きライター、かがたにです。
みなさんの住む街に食堂はありますか?
その食堂には「おはぎ」がありますか?
どちらも答えがイエスなら、それはとても幸せなことだと思います。
今回ご紹介する「力餅食堂」さんは、京阪神を中心にたくさんの店舗を展開する老舗の大衆食堂のひとつ。いわゆるチェーン店ではなく、親方から暖簾分けを許された各々が独立し、店を構えています。メニューや価格はそれぞれの店主の裁量に任されているそうです。
特徴としては交差した杵を染め抜いた暖簾がかけられていて、店頭ではおはぎ、いなり寿司、赤飯などを販売しているお店が多くあるとのこと。これは1号店があんころ餅を目玉に甘党食堂として大成功した名残とも言われています。
学生時代、私も京都の餅屋系大衆食堂でバイトをしていたのでよく分かるのですが、食堂のおはぎのクオリティはすこぶる高いです。そして、何といってもよく売れる。
だいたいの店が通りから見える位置にショーケースを構えているので、目に止まりやすく買いやすいというのも大きな理由かもしれません。
朝10時の開店時にはびっしり並んでいたおはぎも3時近くにはこの状態ですよ。
2代目店主の柿仲清隆さん曰く、
「開店と同時におはぎだけ買っていかれるお客さんも結構いますよ。店内で食べるより、お持ち帰りされる方がかなり多いと思います」とのこと。
それもそのはず、柿仲さんトコのおはぎはサイズが大きい…!!!
直径が湯呑みとさほど変わらないくらい大きいです。
ただし、その魅力は大きさだけではありません。
原料となる小豆は北海道十勝産を使用し、2種類のザラメ糖で自家製のあんこを炊いています。
しっかり甘さを出しつつも、あっさりとキレのいい粒あんに箸が止まりません。
もち米は佐賀県産ヒヨクモチで、粒が残って見える割にはもっちり滑らか寄りの食感。ちなみにきな粉のおはぎの中にも、同じ粒あんが入っています。
お父様の代から使っている、鋳鉄製の羽釜を見せていただきました。
「厨房のスペースや設備が限られているため、この羽釜ではあんこを炊くだけでなく、赤飯やもち米を蒸したりもします」。
この羽釜は2度ほど交換しながら、創業当初から同じ造りのものを使用しているそう。
「そろそろ替え時なのですが、現在このような羽釜を製造しているところはほとんどありません。しかも羽釜の内側に漆加工をしているものとなると入手はさらに難しくなるため困っていたのですが、運よく同じ羽釜が見つかり一安心。もう少しこの羽釜にも頑張ってもらって、大切に使っていきたいと思います」。
こまめにあんこを炊くのは手間がかかりますが、「小豆の香りが残っているうちに食べてもらえるようにするには、この日々の積み重ねがとても大事です。これからもやり続けていかないといけないと思っています」と頼もしいお言葉。
羽釜だけでなく、素材選びにはこんなこだわりも。
「昔からの材料が手にはいる限り、父の代からお付き合いのある仕入先から食材を買うようにしています。安いからこっちに変えようか…みたいなことはしません」。
変わらないこと、変えないことが難しくなってきている今の世の中だからこそ、改めて沁みるなぁと思ったのでした。
これからも変わらぬ美味しさが期待できそうですね。
店舗・施設名 | 力餅食堂 |
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住所 | 京都市伏見区深草直違橋2丁目425-1 |
電話番号 | 075-642-0249 |
営業時間 | 10:00〜17:30 |
交通 | 京阪 藤森駅より徒歩5分 |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。