みなさん、はじめまして。
ライターのCozue(こずえ)と申します。
デジスタイル京都さんとのご縁があり、今回より京都の万能調味料の記事を担当させていただくことになりました。
ご当地の調味料探しに目覚めた私が、京都で出会った”こだわり”がギュッと詰まった美味しい万能調味料をご紹介します。
蓋を開けると、もわもわぁ〜と立ちあがるまっ白な湯気。
いつもの食卓にも熱々な鍋料理や、旬の彩り野菜の煮物など増えてきたのではないでしょうか。
そんなこれからの季節には、もってこいの調味料。
初回にご紹介するのは、キンシ正宗「京のまろやか塩ぽんず」(540円税込)
老舗酒蔵メーカーがこだわり抜いて完成させたという上品で優しい味わいのある一本です。
京阪電車・近鉄電車「丹波橋」駅より徒歩7分。
京都伏見といえば酒どころとして長い歴史を持ち、古き良き街並みが残る伏見区紙子屋町。
その一角にたたずむ、創業二百三十九年という「キンシ正宗株式会社」さん。
買い物客で賑わう伏見大手筋商店街から、北へ徒歩15分ほど。
ぶらぶらと歩きながら時の流れをゆったりと感じられるエリアです。
■常盤橋からの眺める琵琶湖疏水
■週末の午後は、あたりは静かで自転車や歩く人もまばらといった感じ
ここ京都でも地元スーパーや産直市場などで、バラエティ豊かな調味料が数多く置いてあります。
気に入った調味料を購入し、いつもの食卓に取り入れてみる。味の変化で料理は、もっと美味しく楽しむことが出来るのです。
もちろん「探す」という最大のイベントも忘れてはいけません。
今回、お邪魔した「キンシ正宗株式会社」さん。
なんと我が家から徒歩で行ける場所に、老舗酒蔵メーカーがあったとは驚き。
こんなに身近な場所にあったなんて、もう勝手に親近感さえ覚えてしまいます。
■ショーケースには、光の反射で輝くオブジェのような日本酒が並ぶ
■ 平日は他社の酒蔵メーカーのタンクローリーの往来もあり、慌ただしくなる
■2019年にリニューアルされた本社売店。軒下の杉玉が新酒の熟成具合を表しているよう
ふと瓶を手にとった瞬間、頭にふわふわと浮かぶ疑問符。
代々続く酒蔵メーカーが、お酒だけでなくなぜ「ぽんず」を作ったのか??
その謎を解くべく、代表取締役の堀野恭史さんにお聞きしました。
2011年 代表取締役に就任、9年目だと語る堀野社長。
食品メーカーで20年以上のサラリーマン生活を経て、2005年 キンシ正宗に入社。2007年 先代である父から、商品開発企画部長に任命される。
企画部長のポジションということもあり、前職の経験を踏まえて自社の仕事に活かしたいと考え動き始めます。
そこで、「自社のお酒をそのまま使った食品を作ってみたい」という遊び心から「ぽんず」作りに火がついたのでした。
-『今もね。パッとひらめいたことを、ささっとメモしているんですよ。何気ないところに商品づくりのネタがある。外出した時には常に意識して見ています』(堀野社長)
また、『京のまろやか塩ぽんず』のネーミングも社長自らのアイデア。
まろやかでいて、京ことばの華やか上品という「はんなり」をイメージしたという。
他社メーカーでは「ゆず」「すだち」を使った醤油ベースのポン酢が、徐々に市場に出始めていた頃。
「ゆずのリキュール」が当時の人気商品。
自社も世間の流れに乗り、醤油ベースのポン酢を作るべきか悩んだそうです。
好みは人それぞれあると思うが、醤油感が強すぎて素材にかけた際に本来の味が損なわれてしまうのでは・・・
この時、堀野社長はひらめきます。
-『大手メーカーは次々と醤油ベースのポン酢を売り出している。だったら酒蔵メーカーが作るポン酢は、個性もあり差別化がはかれるのではないか』
食品メーカー在職時、得意先だった兵庫県尼崎市にある調味液専門メーカーの「麺素株式会社」さんに協力を仰ぎます。
-「酒造メーカーなのに邪道と思うかもしれない。けれど、キンシ正宗のお酒を取り入れた食品展開を成し遂げたい。“ゆず””すだち”の香りをふんだんに使い、まろやかな出汁をつけたものに仕上げてほしい」
その社長の想い全てが「ぽんず」という形となり、実現されたのです。
素材の旨味をそこなわず、醤油ベースではなく、柑橘系のさわやかさを活かしたぽんず。
自社の本醸造を釜で煮つめ、蒸発させることによって余分なアルコールを飛ばした「煮切り酒」。 『まろやか』な味わいが残ります。
味わいを失わず、より素材の旨味を活かすという「塩」にもこだわっています。工業精製の塩を使用するのではなく、古代の天然製塩法をベースとした海水と海藻の旨味が、ぎゅっと凝縮した”藻塩”をブレンド。
そこに京料理の基本といわれる鰹節、昆布を使った天然素材エキス。
香りの薬味といわれる”ゆず” “すだち”のツートップに、”煮きり酒”をバランスよく加えるという贅沢さ。
(–もう原稿を書いている間、なんど溢れる生唾を飲みこんだことか–)
瓶を開けた瞬間、柑橘類のさわやかな香りに包まれドーパミンも大量発生。
口当たりはサッパリしており、まろやかさと酸味の絶妙な調和がとれています。
当初、京のまろやか塩ぽんずは少し大きめの360mlサイズで販売。
のちに冷蔵庫のスペースを取ってしまうという理由から、発売から2年後には250mlサイズで登場。
このサイズに収まってから、既に7年が経つといいます。
(–ご家庭でも場所を取らないサイズだと、主婦にとってはありがたい–)
瓶ラベルも以前は、かなりシンプルなデザイン印刷だったとか。
さすがに観光地京都として、お土産需要にしては目立たないデザインでは今ひとつと考えたそうです。
そうして、伏見区横大路のパッケージデザインなどを請け負うシュンビン株式会社さんにラベルデザインを依頼。
二度ほどデザインのやり取りを重ね、京都らしさが溢れる和紙調のシックなデザインに落ち着きました。
まず、意外な言葉に拍子抜けをしてしまったのですが・・・
それは塩ぽんず作りに対して、苦労だと感じたことがないのだと(堀野社長)
苦労とは別に「ぽんず作り」の裏で酒蔵メーカーなのに、食品など売るべきではないという声も囁かれていたといいます。
そういった反対意見があっても、「ぽんず」の商品化をしようと心に決めた時から戸惑いや、やめようと考えたことはなかったのだとか。
それは、売れるという自信があったからだと言い切ります。
いろいろな方々に試食をしてもらい、高評価を得たこと。
また何より、お客様に「味」を認めてもらえたことだといいます(堀野社長)
特に豚肉メインの精肉店の方に試食してもらった際、豚肉のしゃぶしゃぶとの相性が抜群だと太鼓判を押されたそうです。
自信が、確信に変わった瞬間だったとか !!
現在は、社員たちの努力の甲斐あって売上が伸びていることを証明しています。
社長が頑張っていた頃に比べると、当時の売上の3倍になっているとのこと。
「京のまろやか塩ぽんず」は、250mlサイズで、540円(税込)と価格がお高め。
ですが、今のご時世「高くても美味しいもの、良いものは買う」という品質へのこだわりを理解してくださるお客様も増えてきたといいます。
コロナ禍の影響で、営業活動もまだまだ足踏み状態。
既に関東、関西、東海などの大手スーパーの店頭には並んでおり、リピート率も上がってきているそうです。
コロナが終息すれば東北、中国、四国、九州のお客様にも愛される商品として、いち早くお届けしたい。(オンラインショップでの購入も可能ですよ !)
こんな状況だからこそ、人との繋がりを大切にし、気持ちを切らさず、前向きにやっていけば必ず結果として見えてくるものがあるといわれます。
創業者 松屋久兵衛氏から受け継がれる願いは、これから10年先、20年先とキンシ正宗の原動力となり、コロナ禍をもバネにして更なる飛躍を期待したいです。
「松屋の酒を通じて人々のくらしの中に豊かなこころを育み、人と人の関わり合いの中でもっと幸福になってほしい」 初代 松屋久兵衛
素材本来の旨みを消さないので、万能ぽんずとしてお使いいただけます。
柑橘系の”ゆず””すだち”を使用しているので、口当たりも爽やかで、まろやかさと酸味のバランスがとれています。
肉、野菜、豆腐にも合うので、これからの寒い季節には鍋がピッタリ!!
サラダや、餃子などにかけると食欲も増し増しです。
冬の料理だけでなく、一年を通して色んなお料理に活躍してくれること間違いなし!
堀野社長のおすすめの食べ方として、フライパンで豚バラ肉を炒めてから「京のまろやか塩ぽんず」をかけて食べるのが一番シンプルで美味しいと言われています。
豚肉の脂も、”ゆず””すだち”の効果もあり脂っぽさが控えられ、豚肉の美味しさがより活きてきます。
また我が家の食卓では、鶏団子鍋にして「京のまろやか塩ぽんず」でいただきました。
■鶏団子は、実家にいるときからの人気メニュー お酒の相性とも◎
我が家の自家製 鶏団子。
彩り野菜として刻み人参、刻み大葉、生姜、片栗粉、あとたっぷりの胡麻(いりごま)を入れるとプチプチとした食感を楽しめるので大好きな食べ方です。
鶏ミンチの中に蓮根を刻んで混ぜ込むと、また旨いのなんのって。
いつもは刻みネギを使いますが今回は「大葉」を使い、これが鶏肉とよく合いました。口の中に入れ噛んだ瞬間、大葉の香りが口の中に広がり柑橘類との相性は抜群です。
こんなにも美味しい万能調味料があると、ついつい誰かに教えたくなりますね。
店舗・施設名 | キンシ正宗株式会社 |
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住所 | 京都市伏見区紙子屋町554番地1 |
電話番号 | 075-611-5201 |
営業時間 | 月〜金 9:00〜17:00(12:00〜13:00 昼休憩) 土日、祝祭日は定休日 ※ ご来店は事前に店舗にご確認ください |
交通 | 近鉄/京阪「丹波橋」駅から徒歩約7分 |
駐車場 | あり |
ホームページ | http://www.kinshimasamune.com/ |
WriterCozue
WriterCozue
福岡出身、京都在住。 中学生の頃、修学旅行で訪れた京都に「運命」を感じる。夢にみた京都暮らしが現実になり、専業主婦からライターの名をもつ兼業主婦に。 旅先の地元スーパーや道の駅などで、面白い、珍しいご当地の調味料探しにハマっている。書店巡りも大好きで最高の癒しスポット。 少しずつ身についてきた京都弁、たまに飛び出す福岡弁の方言MIXも気に入っている。