こんにちは、マツモトです。
いきなりですが、連想ゲームです。
おうどん、お鍋、やきとり。
おつけもの、お味噌汁、湯どうふ、ふろふき大根。
パスタ、から揚げ、サラダに肉野菜炒め。
さて、これらに共通して使えるものって何だと思いますか?
正解は七味唐がらしです~。
七味唐がらしは正真正銘、日本オリジナルの薬味です。
いまではこの味にハマる海外の方も多いと聞きますが、今日は伏見稲荷にほど近い「七味唐がらし本舗 奥村商店」さんにお邪魔しました。
創業は昭和4年(1929)と仰いますから、あと10年ほどで、創業100年を迎える老舗です。
■すっきりした佇まいの奥村商店さんの店頭。右端の看板は、昔の意匠を利用したものなのだそう。
店頭にはわかりやすく、中辛(標準)・辛口・激辛という表示。唐がらしイラストの数で、辛さレベルがわかります。
また、代表商品の七味唐がらしや柚子七味唐がらしの「辛さレベル」や「サイズ(容量)」も紹介されています。
■店頭の説明はとってもわかりやすくなっていますが、気になることはお店の方に聞いてみるのがおすすめ。
「どう買ったらいいかわからへん、というお客さんも結構おいでなので、わかりやすくしました」
昔からあった3つの辛さレベルのうち、最高に辛いものに“激辛”と名付けたのはお父さん、と話すのは、四代目継承予定の森智史さん。
いまは三代目でもあるお父さんとお母さん、そして智史さんのお嫁さんの4人でお店を切り盛りされているそうです。
でも奥村商店の自慢は、辛さがわかることだけじゃないんです。
それは店頭で好みの七味唐がらしを調合してくれること。
そう、あなただけのオリジナル七味唐がらしを調えてくれるんです~。
ではどんなふうにマイ七味唐がらしを調合してくれるのでしょう? さっそく、智史さんに伺ってみました。
「基本は中辛(標準)・辛口・激辛の3種類から選んでいただくようにしています。あとは会話の中で、山椒が好きそうだったら“山椒、多めにしましょうか?”とか、“柚子多めもできますよ”と提案したりします」
■こちらが「中辛(標準)」の七味とうがらし」。いろいろな素材が含まれているのがわかります。
こうして一度、奥村商店の七味唐がらしをいただくと、結構な割合でリピーターになってしまうそう。中には「おじいちゃんのころから知ってるわ」とやってくるお客様もおいでです。
お客さんとあれやこれやと世間話をしながら七味の調合をするのはとても楽しい時間、と店長であるお母さんも仰います。
対面で世間話を織り交ぜながらお客様好みの七味唐がらしを調整していくなんて、ちょっと粋ですよね。そして穏やかでとても豊かな時間が共有できる気がします。
奥村商店さんではネット販売も展開していますが、醍醐味はやはり店頭での対面販売にあると言います。
「お一人お一人、調合が違うので、僕が辞めてしまったらそのお客さん、買えへんからね」
後継者の智史さんは、「奥村商店」の大事なことを、きちんと守り、受け継ごうとしています。
■奥村商店4代目継承予定の森智史さん。
ところでみなさま、「七味」の味って、どうやって決まるか知っていますか?
七つの味って書きますが、原料が何かご存知でしょうか。
実は七味唐がらしの“七味”に厳密な決まりはなく、お店やメーカーによって何を入れて“七味”とするのかも異なっています。
奥村商店の“七味”は、一味・陳皮・しそ・青のり・ごま・麻(お)の実・山椒。ごまは白ごまと黒ごまの両方を使いますが、1つの味としてカウントしてます。
メーカーによってはごまは黒か白かどちらかだけだったり、陳皮(みかんの皮)を入れなかったりするところもあり、“七味”の構成要素は店によって違ってきます。
でも、奥村商店には奥村商店の「七味唐がらし」の基準があります。
「必ず一定水準になるよう頑張っています。原料は絶対変化しますので。でも原料の味が変わるとすぐにわかります。これはどう、あれはどう、というのは家族で相談しながら選別しますね」
基本となる一味はブレンドしますが、どういう調合かは企業秘密。そして定期的にブレンドをし直して、奥村商店の“味”の最適化を図っています。
■ベースとなる唐がらしのうち、「激辛」の唐がらしブレンド。鮮やかな赤で、目にも辛みが伝わります。
奥村商店ではいろいろなご希望に応えてくれますが、やはりおいしい調合と言うのは存在しています。
“山椒多め”は京都人の好みの傾向だそうですが、それ以外にも麻の実の多め・少な目やアオノリ多めと言うのもあります。
究極は“唐がらし抜き”というものさえ!
「ご自宅で唐がらしを栽培されている方に唐がらし抜き、と言う方がいらっしゃいました」
衝撃的なご希望ですが、でもそれを断らない奥村商店さん、懐、深すぎ!
そしてさて、おすすめの七味唐がらしを調合してもらって最初に試すなら、ごはんにシラス、さらにぱらりと七味唐がらしをふりかけておしょうゆを垂らすというのも。
「ちょっとB級グルメみたいですが、うちの七味唐がらしは醤油との相性がとてもいいんです」
■調合によって、色にも違いが出ます。
因みに奥村商店には、「これを食べてはならぬ」という禁忌はないのだそう。
造り酒屋さんや調香師の方には、食べるものや嗜好品に厳しい戒めもあるようですが、そういうルールはありません。
「でも、お寿司はサビ抜きが好きです」と、これは智史さんの好みのお話し。
■まるくて粒の大きい麻(お)の実がちょっと苦手なので、私は抜いてもらいました(笑)
■外袋、パウチともお稲荷さんモチーフで京都らしい雰囲気。唐がらしはの保存は、冷蔵庫でどうぞ。
そして調合してもらったマイ七味唐がらしは、“辛口のゆず七味”と麻の実抜き、山椒多めの“七味”。
さて週末です。
朝、炊きたてご飯、昨日のうちに買っておいたしらす、そして七味をのっけ、少しおしょうゆを垂らして食べてみました。
ではしばし実食です!
まずは鮮やかな色とゆずの香りが鮮烈な印象の「ゆず七味<辛口>」から。
■炊きたての新米にしらすをどん。準備完了です!
そして「ゆず七味<辛口>」をパラ!
■とても鮮やかなオレンジ色の唐がらし。ゆずの香りがたまりません!
だいぶ辛いかな、と思いつついただいたのですが…。
ムムム、これはうまい!
口の中に広がる爽やかな柚子の香り、辛口を選んでしまったので少し辛さ加減が心配だったのですが、七味全体の調和がめっちゃよくて、ごはんがススムススム!
七味唐がらしとしらすの相性は抜群! このうまさ、今日まで知らなかったー。
続いてもう一つの「七味」も試します。
こちらは例の、麻(お)の実を抜き、山椒増し増しのマイオリジナル。
■山椒を増やしたことでとこっくり濃い色に。香りも京都人好みな七味唐がらし。
熱々ごはんに載せると、ふわあああっと立ち昇る山椒の香りが鼻腔を突きます。
いい匂い~!
こちらも同じくおしょうゆを少し垂らして、いただきまーす。
ひと口いただくと、じわじわ広がる山椒のパーンチ! 山椒好きには堪えられない痺れ具合です。
ひゃー、たまらん。
このあと味噌汁にも入れましたが、香りが爽やかで、目覚めにピッタリ。
他のお料理なら麻婆豆腐やカレーなどにもいれてみたくなる味わいでした。
おやすみの日ということもあり、朝からごはん山盛り2膳を完食。
だっておいしかったんですもーん。
七味唐がらしの奥深い世界を知ることができた奥村商店さんの七味唐がらし。
選ぶのも楽しいし、好みの味を求めて、私もこれからリピすると思います。
■お店には七味唐がらし以外に、オリジナルのふりかけやお茶漬けも色々ありますよ。
■ぜひお好みの七味唐がらしを見つけてください!
※文中画像の商品価格は、すべて2020年10月現在のものです。
店舗・施設名 | 七味唐がらし本舗 奥村商店 |
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住所 | 京都市伏見区稲荷中ノ町47 |
電話番号 | 075-641-2293 |
営業時間 | 稲荷店 年中無休 東福寺駅前店 ※秋季のみ営業 住所 京都市東山区本町十三丁目247-1 電話 075-525-4556 |
ホームページ | https://www.shichimi.net/ |
Writerデジスタイル京都スタッフ
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