しばしお暇を頂戴しておりました!
ようこそおおきに。椿屋劇場支配人こと、ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? 旅、お好きですか?
諸事情により先月の更新がなかったため、ロケ地ロスになっていた方も少なくないと存じますが、みなさま、お待たせいたしました!
©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
はい、どーーーーん!!!
突然のイケメンビジュアルですけれど。こちら、本日より公開される『旅猫リポート』のメイン画像でございます。
原作は著者である有川浩さんご本人が「一生に一度しか書けない物語」と公言されてはばからない、感涙必至の旅小説。
ちなみにわたくし、有川作品は一冊残らず読破し、映像化された作品も網羅しており、実は、デビュー作「塩の街」から「この作家は大化けする……!」と踏んでいたんですの。先見の明とでも言いましょうか。おほほほほ。
まぁ、近年、原作付の実写化がこれでもかというくらい繰り広げられておりますが、原作を超える映像にはなかなか出合えぬもの。何でもかんでも映画やドラマにしすぎちゃいますかー! と、声には出さずとも叫ぶ日々でございますが、「映像化されたものは別物と捉え、それぞれに楽しめばみんな幸せ」だと折に触れ仰っている有川さんの言葉を真摯に受け止め、心穏やかにスクリーンに向かうべきなのでしょう。分かってはいても、咆えてしまう……わたくし、まだまだ未熟者でございます。
さて、この映画は、主人公・悟が飼い猫ナナと一緒に旅をしながら人生を振り返っていく旅物語。とある事情によりナナを手放すことになったための新しい飼い主探しが旅の目的でございます。原作は猫目線で進んでいくため、映像化は困難と言われてきたこともあって、まさに満を持しての映画化。悟役の福士蒼汰は、『図書館戦争』シリーズに続いての有川作品への出演で、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』でヒロインを務めた高畑充希がナナの声を担当しています。というのが、世間の注目ポイントのようですが、(公私共に認めるアニオタである)わたくしのテンションが急上昇したのは、高校時代の友人夫婦宅で飼われている犬と猫の声を、アニメ『図書館戦争』シリーズに出演している声優さんが担っていること!
萌えるキャスティング! たまりません!! 注目すべきはこっちちゃうの!? と、各プロモーションを見ながら咆える日々……。
原作をお読みになった方はご存知でしょうが、作中、小学生の主人公は修学旅行で京都を訪れます。ですが、とある事情によりすぐに帰宅することになるため、ベタ~い京都らしい風景がさらりと映る程度。というわけで、今回は「ロケ地」ではなく、とある「アイテム」に大注目して京をご紹介するという趣向でございます。
あ、「ロケ地に行くのがめんどくさくなったんじゃ……」なんて、思われましたね? なんたる邪推。そんなことは決してありませんことよ~。ロケ地じゃなくとも、しっかり取材しております。うふ。
物語の中で、とても重要な鍵となる京ならではのアイテム、それは……。
はい、再びどーーーーん!!!
インパクト大!なロゴで知られる、よーじやさん(https://www.yojiyacosme.com/)のあぶらとり紙でございます。
「仲直りのお土産」として登場するあぶらとり紙。包装された状態で使われています。主人公同様、修学旅行でお買い求めになった方もいらっしゃるでしょう。以前、原作が舞台化された際にも小道具として活躍し、よーじやさんのTwitterには有川さんから「物語性のあるアイテムのおかげで素敵なエピソードが生まれました。ありがとうございます」とリプライが飛んだことも!
化粧を落とさず、余分な皮脂だけを取り除く――優秀な逸品。永らく世の女性たちから愛されてきたよーじやさんの看板商品でございます。
あぶらとり紙が生まれたのは、大正時代。
日本映画発祥の地として知られる、ここ京都で、初代國枝茂夫氏が考案されました。強いライトを浴びることで生じる脂浮きに悩んでいた映画関係者から「ドーランを落とさずにテカリを抑えたい」という相談を受け、試行錯誤を繰り返す中で、金箔の裏打ち紙(ふるや紙)が適度に皮脂を吸収することに気づき、商品化に成功したといいます。当初は、舞台の幕間に素早くテカリを抑えるため、顔全体を覆うくらいの大きさ(現在の約4倍!)だったものを、手軽に持ち歩けるようにと手のひらサイズの手帳型に改良したことで、舞台や映画関係者はもちろん、花街の女性たちの間で一気に広まったのです。
初代、アイデアマンでございますねぇ。
わたくし、ものぐさゆえにこのサイズでもよかったかも……。
店舗・施設名 | よーじや 三条店 |
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住所 | 京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町 |
電話番号 | 075-221-4501 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
交通 | 地下鉄東西線京都市役所前駅より徒歩3分 |
ホームページ | https://www.yojiyacosme.com/ |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo