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2018.10.04

 

種麹屋を受け継ぐ若旦那が辿ったドラマティックな出来事とは?

 

【時代をひしひしと感じる店前の看板。一体いつの時代からのものなのでしょうか。】

 

京都の歴史を見守ってきた菱六を受け継ぐ助野さん。

実は大学卒業近くまで家業の存在を知らなかったという、なんともドラマティックのような形で家業を受け継ぐことになった方でした。

 

麹とは程遠い文系大学に通い、大学時代は部活のテニスに打ち込んでいた助野さん。

就職活動の最終面接の為に帰った実家で、お母様から不意に家業の存在を聞いたそうです。

突然、家業の存在を知り驚いた助野さんはお抱えの占い師さんに相談に。

 

 

「本社面接に行く前日に、占いのおばあちゃんのところ行ったら“家やらはるんだったら勉強した方がええんちゃうの?”って。

で、次の日に本社に行って『第一志望ですか?』と聞かれるじゃないですか。

普通はそうですって答えるじゃないですか。『いや。。第一志望じゃないかも。』って言って帰ってきたからね、それは落ちるわって。何かに導かれたんですかね、多分(笑)。」

 

そこから東京に戻って醸造学科で2年間勉強し、勤務年数20年以上と大ベテランの先輩方と共に種麹を作る日々を送っているそう。

 

【明治か大正に造られたとされる菱六の事務所内にある中庭。】

 

 

なんとも不思議なタイミングで発覚した家業の存在もさることながら、そのまま流れに乗って就職を断ってしまうというのもすごい人生を感じます。。

 

「ただカビを生やしているだけやし。」なんて、たえず冗談を交えてお話ししてくださる助野さんですが、種麹つくりは毎回試行錯誤の連続!

そのカビである麹菌の胞子をつける為の培養時間と温度と湿度管理がとても難しいとのことでした。

 

種麹作りのプロセスは5日にわたる大仕事。またプロセス通りに時間や温湿度を守って作れば出来るものではなく、長年の経験と勘が必要とされる、まさに伝統の職人技。

 

【菱六で作られている麹菌たち。】

 

1000年以上昔の神話時代、神様にお供えしていた蒸した米に偶然あらわれたと云われる麹菌は、神様からの贈り物とされていました。明治以降からは顕微鏡の渡来により麹菌の種類わけなど、科学的な見解が出来るようになったとのこと。

麹菌にたくさんの種類があることが分かるようになって、まだ150年ぐらいのことなのでこれからも新たな麹菌が発見されるかもしれません。

 

助野さんは現在、日々もっと麹菌を増やすことに精を出しつつ、さらに日本の伝統食を広めるべく各地で活動をされています。

歴史ある麹室があった場所をリノベーションして出来た施設で麹作りを体験できるイベントや発酵を学べる大人の学校などで講師をするなど、麹をより身近に感じてもらう活動を勢力的に行われています。

 

特に3日間で麹作りを体験するイベントはFacebookだけの告知にも関わらず毎回大人気だそうで、参加されるほとんどが府外からの方。中には、イタリアやオーストラリアなど海外に住んでいる方がこの日のためにわざわざ帰国したりするとも(!)

日本だけでなく、世界的にも麹に注目が集まっているなんて日本人としてなんだか嬉しいですね。

 

様々な用途がある麹菌ですが、いまいち取り方がわからないなんて方もいらっしゃるのでは?

助野さんにオススメの麹の取り方を伺ってみると「僕は毎日、麹パウダー(麹を独自の製法で粉末状にしたもの)をお味噌汁にかけて飲んでます。」とのこと。

 

もともと胃腸薬も麹菌から発見した酵素を使っているとのことで、食中や食後に麹を取り入れることも腸に良いそうです。

その他にも、助野さんオススメの麹パウダーはパン生地に入れると生地がしっとりして膨らみやすくなったり、塩麹、醤油麹でもパウダー状のため仕込んだ翌日から使えるなど、目から鱗な新しい麹の使い方を色々と伺いました。

 

【助野さんオススメの麹パウダー(右)と乾燥米麹(左)。パウダー状の麹は、一般的な粒状の麹とまた違った様々な用途に活躍できるそう!】

 

>そんな中でもライター鈴木が大注目したのは「豆乳で甘酒を作る“発酵豆乳”」

Information
店舗・施設名 菱六もやし
住所 京都市東山区松原通大和大路東入二丁目轆轤町79
電話番号 075-541-4141

Writer鈴木あみ

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Writer鈴木あみ

旅とお酒と音楽と自然が大好きな旅人ライター。
現在、京都でお酒の修行中。

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