妥協のない商品作りへの想いは、その他の素材にも通じています。
現在使用している11種類のボタニカルは試作段階では29種類。
「不味くはないが、複雑すぎて個性を感じない」と現在の11種類まで厳選。
その中でも【ひのき・柚子・檸檬・玉露・生姜・山椒・木の芽・紫蘇・笹】9種類は日本産、特に京都産の素材をメインに厳選。
お伺いした日は旬の素材木の芽が届いたばかり。色鮮やかな木の芽たちは、すぐに真空パックされて冷凍保存。いつでもフレッシュな状態をキープ。
季の美が京都で作られる理由の一つは、イメージしたジンの味わいにぴったりな最高の素材が京都にあったことから。
京都は日本らしいジンとしての味わいを引き立たせてくれる「魅力的な素材が集まっていた」とデービットさん。酒蔵の集まる伏見の名水、紫蘇の原品種に近い最高級といわれる大原の紫蘇、室町時代から続く茶園を所有する宇治のお茶など、京都の中でも良質の食材から季の美は作られています。
そして、素材が持つ最大限の良さを引き出すために新鮮な素材にこだわり、個々の素材の旬の時期はチーム総出で収穫にゆく徹底ぶり。
原料の一つとする伏見の名水は「増田徳兵衛商店」の仕込み水を使用。週1回採取後、生ものとしてタンク保管。冷却機能を付けたタンク周りに施し、徹底した品質管理を行なっている。
室町時代から続く、宇治茶最古の茶園「堀井七茗園」。限定品「KI NO TEA」は玉露と碾茶を特別にブレンドして作られた。
―佐久間さん
乾燥した素材は一年中手に入りますが、香味成分などが失われることがあります。自分たちは、味わいをみた上で新鮮なものを使ってニュアンスを出していきたい。
商品開発の部分でなるべく新鮮でフレッシュなものを使うと決めました。
例えば、柚子だったら11月から12月ぐらいが収穫時期。その時期は蒸溜をストップして、蒸溜所のメンバーで綾部市の提携農家さんへ行って柚子を取って持ち帰り、なるべく早く皮を剥く。素早くフレッシュなものを剥いて、真空パックしたものを冷凍し通年使えるようにしています。 やはりやるからには、フルーツやハーブのベストな時期に採取して、素材にとって1番のコンディションを出してあげたい。
旬の時期に収穫し、新鮮な状態で冷凍された柚子たち
大事な素材を育ててくれる農家さんとの関係はとても大事なもの。 使用するボタニカル素材たちは、農家の方と提携してコミュニケーションをしっかり取りながら手に入れています。
今年の5月には使用している玉露の新茶摘みに挑戦したお二人。「お茶はプロではないと何を摘んでいいのか分からない。でも、ジンの中に自分が採ったものが入っていると思うとチームでも意識が変わる。My GINですね。」とデービットさん。
柚子の収穫をしているヘッドディスティラーのアレックスさん。
蒸溜作業をストップしても行うチーム総出の柚子収穫。柚子の木の枝には棘があって、トラクターのタイヤをパンクさせるほどの威力があるとか。。
―デービットさん
素材を使わせてもらうだけでなくて、彼らのストーリーもお客さんに知ってもらいたいんです。味や香りだけでなく、どんな生産者の方々が素材を作ったのか、ジンのバックストーリーも飲みながら楽しでもらいたい。バックグラウンドも商品の価値であり、どんどん商品が深まっていくことへ繋がっていきます。
綾部にある生姜の提携農家の通称ジンジャーマンさん。家の裏山にある洞窟でお爺様の代から新生姜を寝かせてベストコンディションで生姜を保管をする。
「ものづくりはコミュニケーションのようなもの。人との繋がりを大事にしている。」と佐久間さん。
店舗・施設名 | 京都蒸溜所 |
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住所 | 京都市南区吉祥院嶋野間詰町15 |
ホームページ | https://kyotodistillery.jp/ |
Writer鈴木あみ
Writer鈴木あみ
旅とお酒と音楽と自然が大好きな旅人ライター。
現在、京都でお酒の修行中。