さて、「みな月」というのは氷を模した菓子で三角形をしているのがお約束なのですが、祇園饅頭さんではこんな専用カッターを使っています。
細〜い金属線で切り分けるんですね。
「コレ、一から新しいのはもう作れませんからって業者さんに言われているので、メンテナンスをしながら大事に使っていかないといけないんですよ」
と教えてくれたのは7代目の安田就介さん(右)。
祇園饅頭さんといえば、モチっとした「志ん古(しんこ)」のファンも多いと思います。
「みな月」の生地は「志んこ」とは少し違う「外郎」ですが、こちらも食感が素晴らしい。
ロングセラーの商品でも、より美味しくなるようにと常にマイナーチェンジを重ねている祇園饅頭さん。
今の「みな月」は安田さんが“柔らかいけど歯ぬかりしない食感”にこだわって、改良を加えた思い入れのある商品。
「ウチのみな月の主役は外郎生地」と言い切るだけあって、味によって柔らかさや甘みまで調整されているってご存知でしたか?
白は3つの中ではフワッとした柔らかさがあります。
ほんのり甘くて、後から塩気が追いかけてくる外郎生地の美味しさを、あんこが優しく後押しする感じ。
柔らかさが三角形の先端の感じからも伝わりますでしょうか?
黒糖は白よりやや弾力のある食感。
黒糖の風味はガツンとくる感じではなく、上品なコクが加わったなぁという印象。あと、香りも良いんですよね。
側面にあずきが張り付いているのも、「みな月専用カッター」を見た後だとなぜか親しみを感じます。
抹茶はソリッドな見た目からもわかるかと思いますが、3種の中で最もしっかりとした食感。
宇治の木長園さんの抹茶を使っており、甘すぎないさっぱりとした後味が心地よいです。
こちらも、香りが良いです。
あずきは、最後まで炊き上げると皮が破れてしまうので、粒感が美しく残るように一晩蜜漬けしたものを使います。
「みな月」のあんこ部分は、お店によってシャキシャキしていたりポクポクしていたり、個性の違いがわかりやすいところですが、祇園饅頭さんは程よくふっくらタイプ。
決してベチャっとはせず、粒感がありつつ柔らかく、3種の外郎とも絶妙なマッチング。
主役ではありませんが、改めてあずきの包容力を感じさせてくれるあんこです。
個人的には白が一番好きなのですが、オススメの食べ方は、3種食べ比べ。
「みな月」はお腹にヘビーだから、3個も食べるのはさすがに・・・という方!
私も3個は無理です。だから3種ですってば。
ということで、半分にカットしてみました。
あ、奥に「ニッキ餅」があるのは気にしないように。
「みな月」は丸いお菓子とは違って、半分になっても綺麗に「みな月」なのがいいですよね。
なんか、「猛烈に巻き戻し中」みたいな盛り付けになってしまいましたが、大変なこともあったからこそ、この半年を振り返りながら残りの半年を元気に楽しく過ごせるように祈願して、味わいたいと思います。
毎年6月30日は混雑が予想されますので、早めのご予約をオススメします。
(販売期間は例年5月中旬〜9月上旬)
店舗・施設名 | 祇園饅頭 工場 |
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住所 | 京都市東山区三条通白川橋西入大井手町103 |
電話番号 | 075-771-1353 |
営業時間 | 平日10:00~17:30(原則木曜休) |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。