ようこそおおきに。椿屋劇場支配人ことライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? 洋館、お好きですか?
京都のロケ地となると、自ずから平安、戦国、幕末あたりの時代劇のイメージが先立つかと存じますが、意外と近現代の作品も撮られています。例えば、現在公開中の高校かるた部を舞台にした青春ド根性を描く『ちはやふる―結び―』でも八坂の塔を背景に、和菓子に目がない最強名人が買い食いしてはります。(もしかしてみなさま、まだご覧になっておられないとか!?)と云いつつも、前回の城熱の余韻を持て余し自宅にある新選組関連本の再読に耽っていた根っからの歴女たるわたくしが今回ご紹介するのは、京都府庁でございます。
なぜなら! 府庁の敷地一帯は、幕末に京都守護職の上屋敷が置かれていたところゆえ、新選組を配下としていた会津藩贔屓としては愛を注がずにはいられない場所……あ、いくら京都とはいえ「庁舎が城」なんてことはございませんので、ご安心を。
はい!こちらが、京都府庁でございます。
京都出身の名建築家・松室重光氏が20台後半(若い!)に設計した京都府庁旧本館は、明治期の優れた建築技術が巧みに取り入れられたレンガ造の建物で、以降の府県庁舎の模範となったといわれています。明治37年12月20日竣工で、昭和46年まで京都府庁本館として使われ、当然のごとく国の重要文化財。
現在でも執務室や会議室として利用されていて、創建時の姿を留める現役の官公庁建物としては日本最古! 加えて、外から眺めるだけでなく、その内部も見学できちゃうとくれば、テンション上げるなって方が無理というものです。
まずは、「土下座スポット」からm(_ _)m
「お願いします!お願いします!お願いします!」
これだけで、何のシーンがお分かりになった方いらっしゃったら、編集部までご連絡ください。抽選で一名様に一献差し上げます(笑)
この角度の方が分かりやすいでしょうか。はい、そう! この階段。
明日最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」で、幼少期の主人公がドイツから来日していた薬商人を探しに来て、ひたすらに謝ったところですね~。
ちなみに、NHKつながりだと「坂の上の雲」では陸軍参謀本部としてポスターにもどーんと写っています。2013年にベトナムと合作されたTBSドラマ「The Partner~愛しき百年の友へ~」では陸軍学校に早変わり。
『日本でいちばん長い日 運命の八月十五日』では、会議に向かう阿南陸軍大臣に向かって将校たちが敬礼するなど、とにかく大日本帝国陸軍関係の映像には欠かせません。
映像映えする外観の最大のポイントは、このバルコニー。現在は立ち入り禁止ですが、地球の青さを世界中の人々に刻んだガガーリンが、昭和37年に来日した際に実際に手を振った歴史的にも貴重なスポットなのです!
こちらのバルコニーに続く部屋「正庁」は、旧本館のシンボル的空間。府民に開かれた府庁として、コンサートやウエディングの会場としても開放しています。
ここは、南東角に位置する「旧知事室」。
広報さん曰く、今年67年ぶりに復活する「びわ湖疏水船」のPR映像の撮影場所としても使われたんですって。ただ、「椅子の布などは経年劣化が激しいので使用をお断りしているため、撮影時には(それらしい椅子を)持ち込んでいただくか、立ってお話していただくか……(苦笑)」とのことなので、どんなにすりすりしてみたくとも見学時のお触りはご無用に願います。
絨毯の赤と漆喰壁の白のコントラストが美しい、この格調高き空間の「旧議場」に漂う気品たるや!!!!
ぜひご自身の肌で感じていただきたいものです。
ここは、旧本館竣工110周年を迎えるにあたって整備され、2016年3月に創建当初の姿に修復されました。嗚呼……アーチ型の曲線って、どうしてこんなに浪漫を感じさせるんでしょう(しばしうっきうき)。
通常の見学では議員席の後ろから眺めるだけですが、毎月第3土曜に開催されている「旧議場土曜講座」(無料/事前申込制・先着順)に参加すれば、この椅子に座って講義を聴けるんですって。ちょっとレトロな柄のお着物で女学生風に気取った出で立ちにて(え?図々しい?)、今度参加してみようかしらん。
店舗・施設名 | 京都府庁旧本館 |
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住所 | 京都市上京区下立売通新町西入藪ノ内町 |
電話番号 | 075-414-5432(京都観光文化を考える会・都草) |
営業時間 | 公開日時 火~金および1・3・5週の土曜日 10:00~17:00 |
交通 | 市バス府庁前・烏丸下立売より徒歩5分 地下鉄丸太町駅より徒歩10分 |
駐車場 | なし |
料金 | 無料 |
ホームページ | http://www.pref.kyoto.jp/qhonkan/ |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo