ようこそおおきに。椿屋劇場支配人こと、ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? お城、お好きですか?
歴女なんて言葉が影も形もなかった中学生の頃。便覧の土方歳三に一目惚れしたわたくし椿屋は、胸キュンを抑えられず新選組から幕末にハマり、遡って戦国にもハマりハマり、群雄割拠に欠かせない城にドハマり、ついには全国各地の城壁を求めて行脚すること20ン年。
荒々しくも美しく、緻密な計算と感服の技術をもってして積み上げられた石垣を崇拝するヲタクになるまで、そう時間は要しませんでした。
というわけで。
前回の時代劇熱も冷めやらぬまま、第2回目は“わたくしの城”にやってまいりました。
京都では御所と肩を並べる観光スポットでもあり、世界遺産にもなっている元離宮二条城。
実はわたくし、「一口城主募金」に寄付させていただいておりますもので。数多いらっしゃる城主のひとりとして、行く末を見守っているのです。
ここ二条城は、1603年に徳川家康の命によって天皇の住まう京都御所の守護のためと将軍上洛の際の宿泊所を兼ねて築城された城。
3代将軍家光の時代に大規模な改修が行われ、数多くの障壁画で飾られた二の丸御殿をはじめ、二の丸庭園、唐門などに桃山文化の遺構を色濃く残す歴史遺産でもあります。
さて、受付兼出入口になっている東大手門から一歩中へ。季節柄、担当職員さんによって随時更新されている「梅だより」に春の訪れを感じつつ――。
個人的には、その隣にある手作り感満載の看板に目が釘付け。
そう!ここ二条城は椿の名所としても外せないところ。約90品種以上の多彩な花々が1月から4月まで順に咲き誇り、桜の季節までの寒々しい日々を華やかに彩ってくれています。椿たちよ、褒めてつかわすってなもんですよ。
入城ゲートの役割を担うこの東大手門、ロケが行われる際には搬入口に早変わり。
多くの機材や出演者を乗せたロケバスが、この東大手門を潜って唐門前に陣取ります。
唐門前の広々とした空間に、敵は3倍の中2倍の速さで国元に返る『超高速!参勤交代リターンズ』の面々が登場したわけですね。
二条城の顔といっても過言ではないこの唐門は二の丸御殿正面にあって、切妻造、桧皮葺の四脚門。屋根の前後には唐破風が付いている絢爛とした佇まい。
門奥の二の丸御殿前では『花戦さ』の撮影も行われたと聞き、「観たのに!どこか分からん!!」と身悶えるわたくし。まだまだ修行が足りませぬ……。
ロケは原則、入城時間外で行われるため早朝に深夜のシーンを撮影することも。開城時間が決まっているからこそ分刻みでスケジュールをこなしていかねばならず、さながらそこは戦場のごとし。
見上げる極彩色の彫刻は、長寿を意味する「松竹梅に鶴」や聖域を守護してくれる「唐獅子」など。
2013年の修復工事によって往時の姿に甦ったばかりで、とかく豪華で美しい。工事の際、あちこちに見られる菊の御紋の下から葵の御紋が出てきたなんて聞けば、しばし徳川幕府の盛衰に想いを馳せてしまうのも仕方がないというもの。
幕府の盛衰といえば、日本史上あまりにも有名な「大政奉還」を忘れてはなりません。
昨年は大政奉還が成されてから150年の節目の年にあたり、「大政奉還150周年記念プロジェクト」の一環として全国で幕末維新スタンプラリーが開催され、二条城では夏季限定の早朝開城といった特別事業が行われるなど、とにかくまあ、賑やかでしたの。
そのときはなかったこの石碑! いつの間に?!と思いきや、「昨年末に桜の木をご寄附いただき植樹させていただきました」と広報担当さん。ふむ、どおりでこないだ秋に来たとき(歴女ゆえ「大政奉還」特集のお仕事をいくつか頂戴し懐を潤わせていただいたので、そのお礼参りにプライベートで遊びに来たのです)には見なかったはずだわと納得。
そんな担当さんのお気に入りの場所は、ドラマ「石川五右衛門」の撮影も行われた清流園。
その庭の向かい、本丸御殿の内堀は、しょっちゅう江戸城になっちゃう知る人ぞ知るスポット。まあ、積み上がった石だけ見てどこの城か分かる特殊技能を持った人なんてそうそういないから、言ったもん勝ちってことで(笑)
店舗・施設名 | 元離宮二条城 |
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住所 | 京都市中京区二条通堀川西入二条城町541 |
電話番号 | 075-841-0096(京都市文化市民局元離宮二条城事務所) |
営業時間 | 8:45~16:00(閉城17:00) 休城日 要問合せ |
交通 | 地下鉄二条城前駅より徒歩5分 市バス二条城前より徒歩2分 |
駐車場 | あり 有料 |
料金 | 一般600円、中・高生350円、小学生200円 |
ホームページ | http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/nijojo/ |
Writer椿屋 山田涼子
Writer椿屋 山田涼子
京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo