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ごきげんいかがですか。
あんこ好きライター、かがたにです。
♪梅は〜咲いたか〜桜は〜まだかいな〜
いや、待たれよ…
その前に春の訪れを感じさせてくれる花があるでしょうが。
木へんに春と書いて、TSU・BA・KI…!
ということで、今回は「二葉軒」さんの「つばき餅」(税込180円)をご紹介したいと思います。
桜餅や柏餅に比べるとあまりポピュラーではないかもしれませんが、椿餅は源氏物語「若菜(上)」にも登場しており、一説には日本最古の餅菓子ともいわれておるのですよ!
3月の夕暮れ時、光源氏のお召しにより、六条院にて若い貴公子たちが蹴鞠に興じている場面にその記述はあります。
どうやら蹴鞠の後のおやつ・軽食タイムのようですね。
わざとなく、椿い餅、梨、柑子やうのものども、さまざまに箱の蓋どもに
とり混ぜつつあるを、若き人びとそぼれ取り食ふ。
(訳:気楽に、椿餅、梨、みかんのようなものが、
色々いくつもの箱の蓋の上に盛りつけられているのを、
若い人びとが、はしゃぎながら取って食べる。)
ちなみに当時の椿餅には餡は包まれておらず、甘葛(あまづら:つたの汁を煮詰めた甘味料)を入れた道明寺製の餅が椿の葉で挟んであるだけだったそうです。
現代の感覚だと、フットサルの後に餅…て、なんの罰ゲームだよ!と思わなくもないですが、平安貴公子たちは、本気ではしゃいでいるようなので、よしとしましょう。
お店は、京都駅から地下鉄で一駅の九条駅から歩いて4分くらい。
大石橋交差点を少し下がったところにあります。
予約なしでも気軽に買えて、通りから店内の様子もわかるので、とても入りやすい「街の和菓子屋さん」といった雰囲気です。
「二葉軒」さんの「つばき餅」は、とてもシンプル。
道明寺は白。中はこしあん。
道明寺の粒のサイズも大き過ぎず、細か過ぎず。
奇をてらうことなく、いい意味で普通。
それが心地いい。
葉っぱは、やや細長く緑色が濃いのが特徴でしょうか。
他のお店の葉っぱと並べると、個性の違いがよくわかりますね。
「つばき餅」の葉っぱは、さすがに食べることはできません。
味付けや香りもないので、移り香などを楽しむということもありません。
それなのに、このツヤツヤの葉っぱに挟まれているだけで、おいしさを増幅させてくれるように思います。
味だけでなく、季節感や姿形の美しさを大切にする和菓子(の餅菓子)のルーツといわれるのも納得です。
そのツヤツヤの葉っぱを剥がして、道明寺から若干透ける餡を愛でながら、パクリといただいたのですが、かじった断面はお見せできるアレではないので、包丁でスパッといきますね。
やや明るい色のこしあんがたっぷりと。
道明寺もあんこも全体的にしっとりとみずみずしく、口の中でサララと、ほどけるように広がっていきます。
これならフットサルの後でも食べられるかも(笑)!
身も蓋もない言い方をすると、「桜餅の桜抜き」なのですが、桜の風味がない分、道明寺やあんこ本来の味がストレートに届くので、特にあんこの味が好みの「つばき餅」との邂逅は幸せといえます。
店舗・施設名 | 京菓子司 二葉軒 |
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住所 | 京都市南区東九条中御霊町25 |
電話番号 | 075-691-5026 |
営業時間 | 8:00〜20:00(火曜定休) |
交通 | 京都市バス「大石橋」バス停徒歩すぐ |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。