グルメ・お土産

2017.12.05

〝飛ぶように売れる〟とは、よく使われる慣用句ですが、「Flip up!(フリップ アップ)」では、よくそんな光景を目にします。

7~8人も入ればいっぱいになるお店で、あふれたお客さんが外で並ぶ光景も日常の人気ベーカリー。

 

烏丸御池近くのビル街に「Flip up!」が誕生したのは、2003年のこと。

店主の宮本伸治さんは高校卒業後、地元・福井を離れて京都のパン屋さんで働きはじめ、これまで伊勢丹の「アンデルセン」や北海道の「もりもと」を含む5つのお店で経験を積まれました(途中、全く違う業種も体験してみたいと、エアコンの組み立て工場で2年間働いたのが唯一パンと離れた期間だといいます)。

 

「Flip up!」といえば、ベーグルを思い浮かべる人も多いのでは。でも、意外にもオープン時にはメニューになかったそう。

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「2年目くらいから始めました。そのころ、東京などでベーグルのお店が登場して、気になっていて。〝ゆがいて、焼く〟っていうレシピも面白いので、作ってみました。最初はお店の片すみに置いていたのが、徐々にお客さんからの予約が入るようになり、12個が24個に、36個に…と増えてきたんです」(宮本さん)

 

 

現在は、プレーン、チョコ、きなこ黒豆、安納芋、みるく、白ごま、マスカットレーズン、アーモンドキャラメルなど定番のベーグルが13種類ほどあり、それ以外にソーセージを巻いたりするなど、アレンジしたものも。

 

そして驚くのが、こんなに種類豊富なベーグルなのに、実は全商品の3割ほどでしかないという事実!

「ほかのパンもがんばって作ってるんですよ!(笑)」

 

―なるほど。

そうそう、サンドイッチでした。お話が面白くて、あやうく忘れてしまうところでしたね~(アカン 笑)

同店のサンドイッチは約10種類。いちばんそろっているのは、午前8時頃だそう。

写真はもっと遅い時刻なので売り切れているものもあります。

 

今回、取り上げるのは「玉子のベーグル」と「カマンベールとロースハム」(いずれも194円)。余談ですが、サンドイッチをはじめ、どのパンもリーズナブルな点も同店の魅力です。

 

まずは「玉子のベーグル」。

 

ドライパセリを練り込んであるベーグルはとってもいい香り。

 

「見た目のアクセントもあるでしょう。玉子マヨネーズにはコルニッション(小さいきゅうりのピクルス)を刻んだものを混ぜて、食感と酸味をプラスしています」と宮本さん。

玉子マヨネーズはほんのりと甘めです。

 

「実家の母がポテトサラダに砂糖を入れて甘く仕上げるんです。それが好きで。料理の本などで調べてそういったレシピもあったので、『これもアリかな!』と。それでこの味つけに行きつきました」

 

続いて「カマンベールとロースハム」。

 

酸味のあるカレンズ(小粒のレーズン)をラム酒漬けにしたものが入った丸パンで、カマンベールとロースハム、レタスをサンド。レタスの下にはバターが塗られています。

食パンに近い配合の生地で作られた丸パンはやわらかくて、素材の味を邪魔しません。

 

宮本さんいわく、

「サンドイッチで大事なのは、パンと中身の素材の組み合わせだと思うんです」。

先ほどのパセリ入りベーグルや、こちらのカレンズの丸パン、いずれもサンドイッチ用に特別に作られたものだそう。調理用のパンは、ゴマが付いていたり、胚芽入りだったり、それ(=サンドイッチ)だけのために作られたものがほとんどだといいます。

 

 

修行探訪11軒目から得た学び。

「具とパンの相性を大切に。〝そのためのパン〟を作ることも!」

 

 

あと、宮本さんに好きなパンをお聞きすると「山型食パン」との答え。「本当においしいと思う」とおっしゃるとおり、あっさりモッチリ、ヘンな例えですが〝小麦で作ったご飯〟みたい。飽きのこない味わいです。

 

おいしそうなパンが店内の棚にぎっしりと並んでいますが。これらが、みるみる減っていくんです。まさに〝飛ぶよう〟。

 

説明が面白くて気になる商品もあります(思わず「ロゼッタ」買いました 笑)。

宮本さんのお顔写真は「やめときます」ということで今回は撮らなかったのですが、キッチンでの1枚。

スタッフが着用しているTシャツは、8月11日のお店の誕生日を境に毎年カラーが変わります。昨年はピンク、その前年はイエロー。

 

最後になりましたが、店名の由来を聞いてみました。

「ポップでキャッチな感じの語感のものにしたいなと思っていて。小さな〝ッ〟を入れたかったんです。ドロップとかスキップとか。『ドロップ キック』とかね(笑)。そうやって探していたら、『Flip up』という言葉を見つけました。〝コインをはじいて裏表で決着をつける〟という意味もあるので、商売をスタートする門出のイメージにも合うかなと思って決めました」

Information
店舗・施設名 Flip up!(フリップ アップ)
住所 京都市中京区押小路通室町東入ル蛸薬師町292-2 SDKビル1階
電話番号 075-213-2833
営業時間 7:00~6:00 日曜・月曜休
交通 地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩約5分

Writer岡田ゆき&イチノアユミ

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Writer岡田ゆき&イチノアユミ

岡田:サンドイッチ大好き、食べるの大好き。NO グルテン NO LIFEなフリーライターです。
イチノ:初めての長期バイトは、大学時代、京都のベーカリーにて。パンに夢中だった当時、数年間は米を食べなかったほど。ずいぶん大人になり、〝パン熱〟がいくぶん醒めたとはいえ、今もやっぱり食いしん坊です

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