誠に残念ながら「愛信堂」はすでに閉店されました。
こんにちは。あんこ好きライター、かがたにです。
えーーーっと、先に謝っておきますね。
ごめんなさい。今回は、販売期間が残りわずかの秋の味覚のご紹介です。
もし貴方が、これを読んでいるのが運良く11月中であれば、とっととスクロールして店舗情報を確認の上、お店に予約の電話を入れてすぐさま買いに走られることをおすすめします。
読むのは後でいいですよ(真顔)。
それぐらい衝撃的に美味しかった、「愛信堂」さんの「栗きんとん」(税別460円)。
堀川今出川にある西陣織会館の南、元誓願寺通を西に入って3軒目。
「愛信堂」さんは、もともと、お茶会、茶事、お稽古のお菓子を主にオーダーメイドで作られていたご主人が、平成23年に構えられたお店です。
「うちはリピーターさんがほとんどで、大通りから少し入っているのもあり、通りすがりにフラッと入ってくるお客様は珍しいんですよ」
とご主人の田母神さんは仰いますが、
店頭にはこんな誘惑が・・・。
これ、どう考えても素通りできないですよね。
落ち着いた雰囲気のとても居心地の良い店内には喫茶スペースもあり、できたてのお菓子と鉄瓶で沸かしたお湯でいれるお茶をいただくことができます。
栗きんとんとほうじ茶のセット(税別910円)。
甘く香ばしいほうじ茶は一保堂さんのものでした。
セットはお抹茶とほうじ茶からお好みのものを選ぶことができます。
愛媛県産の栗を蒸して丁寧に裏ごしし、砂糖と合わせた栗のそぼろあんをふわりと纏っています。
つなぎに少量の白あんを加えているそうですが、これはもう、ほぼ栗!
ほぼスッピンの栗(もちろん美人)といった感じ。
素材の良さがダイレクトに伝わる栗あんです。
しっとりホクホク、程よくねっとり、我ウットリ・・・。
栗の旨みというか、甘みは強いのですが、砂糖の甘さは控えめ。
そして、栗特有の渋さが香りとなって舌の上に広がります。
よーーく見ていただくと分かると思うのですが、渋皮が入っているんですね。
これは、さぞや綿密な計算して隠し味に渋皮を入れているに違いない!と思いきや、
「入っちゃうんですよ!どうしても(笑)」
と大らかなお答え。
ただ、意図的に入れるとあざとくなるそうで、取り除ききれずに自然に入ってしまう量が美味しさのアクセントとしてもベストなのだとか。
芯にある小豆のこしあんは、さらっとみずみずしく。
栗のほっくり感を立たせてくれるような名脇役です。
「愛信堂」さんのこしあんは、普通の水飴ではなくクセの少ない還元麦芽糖水飴を使っているため、
特有の水飴臭さがありません。
そして上質の和三盆を絶妙な量で加えています。
「あんこは菓子屋の命ですから、やっぱり一番いい砂糖を使います。和三盆糖は入れすぎると主張が激しくなるのですが、うちのは『アタシ、和三よー!』って感じではないと思いますよ」
至って真面目にお話してくださるのですが、ちょっと気の強い女優のような声色で和三盆になりきるご主人が可愛すぎました。
「こってり甘いのがお好きな方には、うちの菓子は少し物足りないかもしれませんが、素材の味わいを生かしつつ、お茶席でもギリギリ合う甘さに仕上げています」
実は、奥様が甘いものが苦手で、「私でも食べられるあんこを作ってみて」と言われたのが大きな転機になったそう。
「最初は、『いやいや、あんこの基本配合はこういうものなんだって!』と反発心もあったのですが、お客様にも愛していただいて、今ではすっかりうちの味になったので、奥さんの言うことは聞いておくもんだな、と思いました(笑)」
京菓子の理念は守りつつ、その中で個性を出していくのは並大抵のことではないはず。
こちらの「栗きんとん」をいただくと、すごく満たされているのに、もう一個食べたいなぁと思うんですよね。
それは紛れもなく愛信堂さんだからこその個性だと思うのです。
「いつでも、なんでもある世の中だからこそ、季節感を大切にしていきたいですね」
そう!今のものは今しかないのです。
例年、「栗きんとん」の販売は9月上旬から11月下旬頃まで。
今年は「なんとか11月末までご用意できそうです」とのこと!
とはいえ、栗の在庫がなくなり次第、終了とのことですから、お出かけの際は必ずお電話にてお問い合わせくださいね。
間に合った方、おめでとうございます。間に合わなかった方はまた来年をお楽しみに!
おまけのワンカット。
セットのお茶とは別に、寒い季節だけの柚子湯のサービス。
中に入っている柚子の皮は、お店を構えた時に庭に植えたものだそう。
「栗きんとん」で名残の秋を堪能した後に、冬の訪れを感じることができました。
店舗・施設名 | 愛信堂【閉店】 |
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住所 | 京都市上京区元誓願寺通堀川西入る南門前町426 |
電話番号 | 075-411-8214 |
営業時間 | 10:00~18:00(水休) |
ホームページ | http://kyoto-aishindo.com/ |
Writerかがたにのりこ
Writerかがたにのりこ
あんこをこよなく愛し、月に2回は自宅で餡炊きをするフリーライター。 元・漉し餡党、現在はあんこ博愛主義者。