パン店のサンドイッチ、喫茶店のサンドイッチと食べ歩いてきて感じたのは、喫茶店やカフェのサンドイッチのクオリティの高さ。
パンの質や具材の豪華さ、そしてコーヒーとのマッチングなど、パン店とは違う楽しみ方が確立されていて、それがお店の個性となっていることです。
今回ご紹介するのは、左京区元田中にある珈琲焙煎所「旅の音」。
オープンして1年足らずの新しいお店ですが、すでに雑誌の表紙を飾るほどの人気ぶりです。
叡山電鉄「元田中」駅から徒歩約10分。
美術専門学校の跡地をクリエイターのアトリエとして再利用した「THE SITE」にお店はあります。
コンクリ打ちっ放しの空間に、大きなカウンターとテーブル。
オーナー自作のドライフラワーのディスプレイや、鉄素材のランプなどこだわりのインテリアが随所に。
旅の音のオーナーは、アジア旅行中に出会ったコーヒー豆に惚れ込み、それがきっかけでコーヒーの道へ。
帰国後は仕事の傍ら焙煎を学び、豆をネットで販売していたのだとか。
現在は、各国から取り寄せたスペシャルティーコーヒーのみを扱い、店内にある焙煎機でローストしています。
店内には豆の香りがチェックできるスペースもあり、自分好みの一杯を楽しみながら探すこともできます。
いわゆる流行りのスタンド系やサードウェーブ系という言葉では語れない芯のある渋系ロースターです。
お客様も近所の方が多いそうで、左京区のゆるりとした雰囲気しかり、のんびり穏やかな時間が流れています。
では、そろそろ話をサンドイッチに。
どの喫茶店には「コーヒーのおとも」にしたいパンメニューがありますが、
こちら旅の音でも常時2種のサンドイッチメニューを用意。
店で一番人気という「生ハムとクリームチーズのサンドイッチ」(780円)は、生ハムのほどよい塩気とクリチの甘酸っぱさが絶妙なバランス。
自家製の玉ねぎのピクルスがシャキシャキ食感、やわらかな酸味が全体をキリッとまとめあげています。
後口もさっぱりとしており、ブランチや軽めの食事にちょうどいい軽やかな味です。
もうひとつは「ハーブソーセージとバジルソースのホットサンド」(1000円)。
爽やかな風味のレモンパセリ、肉肉しい食感が男性的なあらびき。
2種のソーセージが絶大な存在感をもって主張してくる一品です。
パンにチェダーチーズをのせて軽くトーストすれば、コクと旨味がとろとろ〜っと。その上にソーセージを置いて…。
うん、間違いない。
噛むたびに肉汁とチーズのおいしさが口に広がります。
ここで忘れてはいけないのが具材を支えるパンの存在。
旅の音のサンドイッチに使用する食パンは、付き合いのあるパン店から毎朝仕入れる米粉入りのもの。米粉が醸す甘い風味とやわらかな香りが特徴です。
生で食べるとふんわりしっとり。焼くと外はパリッ、中はモチッ。
サンドイッチの具のおいしさを邪魔しない、さっぱりとした味わい。
具材とパンを全て一緒に食べたときのバランスと味が抜群です。
それだけでなく、食べ口や食感にも細やかなこだわりも感じられます。
もちろん、コーヒーとあわせたときの相性の良さは秀逸。
コーヒーを知り尽くしたオーナーだから出せる、絶妙な味加減や香りのあわせ方。
互いの良さを引き立て合う、相思相愛な関係づくりは「さすが」の一言です。
サンドイッチをパクリ、そしてコーヒーをひと口。
至福の時間とはこのことか…。
修行探訪7軒目からの学び
「コーヒーとサンドイッチの相性は絶対条件。
味わいの絶妙なバランスを探るべし」
店舗・施設名 | 珈琲焙煎所 旅の音 |
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住所 | 京都市左京区田中東春菜町30-3 THESITE A号 |
電話番号 | 075-703-0770 |
営業時間 | 10:00〜19:00 月休み |
交通 | 叡電「元田中」駅より徒歩約10分 |
駐車場 | なし |
ホームページ | http://webshop.tabinone.net/ |
Writer岡田ゆき&イチノアユミ
Writer岡田ゆき&イチノアユミ
岡田:サンドイッチ大好き、食べるの大好き。NO グルテン NO LIFEなフリーライターです。
イチノ:初めての長期バイトは、大学時代、京都のベーカリーにて。パンに夢中だった当時、数年間は米を食べなかったほど。ずいぶん大人になり、〝パン熱〟がいくぶん醒めたとはいえ、今もやっぱり食いしん坊です