こんにちは。マツモトです。
きょうはお取引先の方に「面白い人に会わせてあげる」と言われて、嬉々としてやって参りました。@ Wacoal STUDY HALL!
本日お会いするのは「かみの工作所」の代表取締役 山田明良さんです。
こんにちは!
ところで皆さん、「かみの工作所」って、いったいどんなことをやっている会社かご存知ですか?
いろいろ説明するより、モノをご覧いただく方がよいかもしれませんね。
たとえば、こんなの。
或いはこんなのとか。
ユニークな紙工品を次々と世に送り出す「かみの工作所」は、東京都立川市の福永紙工株式会社が仕掛けるプロジェクトです。
さまざまな紙を使ったこれらのユニークなアイテム、日本のみならず、世界中の美術館のミュージアムショップなどで
ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
―御社では面白い「紙」のアイテムを次々と世に送り出していますが、そもそもどうして、こんなことを始めたのですか?
10年くらい前までの約40年間、地元のお客様を相手に印刷や箱の加工を行ってきました。
ところがどんどん需要は減るし、価格競争も激しくなってきたんですね。
―それは印刷業界全体にあてはまることですね。
で、そうした危機感から新たな「紙工品」に向かおうとされたんですね?
それもあるけれど、やっぱり好きだったからかな。(笑)
もともとデザインやアートなんかも大好きだったんです。
価格競争はやりたくなくて、かといって新たな設備投資ができるわけでもない。
とにかく背水の陣。
手元にあるもので、新しい可能性があるものに舵を切る必要があったんです
これだって、トムソン(※)で抜いてるだけなんです。
※トムソン…印刷や製函など、紙を取り扱う業界では特に驚くにはあたらない、一般的な技法。
―と、紹介してくださったのは「空気の器」。“トムソン”という、業界ではあまりにありふれた(失礼、)技法でこんなすてきなデザインが生まれることに、私たちは思わず羨望まじりのため息…。
もともと箱を作っているので、現場(機械)はある。
でも新しい設備を導入することはできません(のちにレーザーカッターは買い足したと仰っていましたが)。
いまも当社の条件の範囲で、あとはデザイナーの方に自由にやっていただいています。
こちらから「何を作ってほしい」とか、お願いすることはないです。
たとえば「建築模型添景セット」シリーズ。
これはその名のとおり、もともとの意図は建築模型です。
建築家が施主さんにプレゼントするパースの一部に、演出的にあしらうものでした。
それを建築家の寺田尚樹さんとコラボして、2011年から作り出したわけです。
―手元にあるのは記念すべきナンバー・001、「建築模型用添景セット 住宅編」です。
100分の1のスケールで、決められたスペースの中に、プラモデルの模型のように添景セットが組み込まれています。レーザーカッターでごく細かいところまで切り抜かれたパーツは、もはや紙ならぬ神技の領域。
プラモデルのキットのように、すべてのパーツを決められたサイズの中に収めることにもこだわっています。
―細部の「美」にも手を抜かない。このシリーズは山田社長の仰るとおり、すべて大判のカードくらいの均一サイズです。
見る者をクスリと笑わせずにはいられないこのシリーズ、どんどんバリエーションが増えていますね。
徐々にファンが増えてきて、作りたいというデザイナーやコラボしたいという企業さんからも声をかけていただけるようになりました。
こうなると価格競争をしなくていいし、マニアックな仕事も入るようになってきました。
大分県立美術館の開館時に地元の老舗菓子店と美術家とのタッグでパッケージを作りました。
それから福永紙工株式会社(かみの工作所の会社)のお膝下・立川市のシティ・プロモーションとして、オリジナルの婚姻届を作りました。
地元の結婚式場などで販売しています。
これはSNSだけでなくテレビやFMなどでも取り上げられて、
今では日本中から立川に買い求めに来てくれるんですよ。
立川市の婚姻届:提出する用紙は複写式になっています。原本は提出しますが、複写が残った本体には、写真やメッセージが入れられて記念に残せます。書き損じやすい婚姻届ですが、「練習用」が入っているのも心憎いです。
―まさにファンがファンを呼んでいるのですね。ほんとうに楽しそうに見えるのですが、こうしたことを続けるのに、難しいことってありますか?
こういうこをやりながら、(会社を)経営することですね。(笑)
新しいプロダクトが生まれるのはいつも成功するわけではありません。
いまもオリジナル制作にかかわっているデザイナーの方は50名ほどいますし、仕事としてかかわっているのはもっと多いと思います。
でも、そのなかで成功するのは一部です。
今も毎年、展示会や国際見本市への出展したり、百貨店やツタヤなどでの催事にも年間60回くらい参加したりして、認知拡大にも努めています。
さらに2015年からは一般公募によるデザインコンペも開始しました。
審査員に有名デザイナーをお願いするなど、いまちょっと話題なんですよ。
「風海月」デザイン:長岡 勉
クラゲのようなモビール。
―常にあたらしい風を吹き込むことにも余念がないようですね。
今後はどんなことに取り組みたいとお考えですか?
デジタルの技術と紙の技術のコラボレーションです。
―おっと。これは意外にも、業界的に模範回答とも言えるご回答…。
いま手がけようとしているのはこれです。
―と、山田社長が取り出したのはVRメガネ。
本体はヒミツなので、写真掲載はできませんが、その試みがとっても興味深いんです。
箱型の、今よく見かけるVRメガネをおしゃれに変身させます。
もちろん組み立てやすさや、付けごこちにもこだわりたいと思います。
作る人にも、使う人にも優しいVRメガネ。
で、それを使うと、映像と本当に一体感が感じられるような仕掛けを考えています。
こんなかんじで。
―と言って山田社長が見せてくださった映像はまさに楽しさと驚きに溢れています。
ごめんなさい、これも写真はNGですけれど、とにかくすごく夢がある、とだけ申しておきましょう。
―「紙」というとっても古い工業製品を、さらに進化させようとしている「かみの工作所」の山田社長。
さて、京都というニッポンの伝統工芸の総本山みたいなところにいらっしゃいましたが、京都で何かできないですか?
この「星空の封筒」はたしか京都の大学生のデザインなんだけど…。
―ある日届いた空っぽの封筒。あれ? と思って中を覗き込むと…。
こちらもユーモアたっぷりのアイテムです。
「星空の封筒」デザイン:塚田 萌 こちらもぜひ手に取ってご覧ください。
京都でも何かやれるといいですね。
できたら「しまった! こう来るか。でも確かにこれ、京都だわ」と言ってもらえるようなものを作りたいです。
―それは期待も高まります。「わー、やられた!」と言える日を楽しみにしています!
山田社長、ありがとうございました。
面白くてきらりとセンスが光る「かみの工作所」の紙工品の数々は、京都市内でもお求めいただけます。
ここ Wacoal Study Hall のショップにもいろんなアイテムを置いてありますよ。
ぜひ手に取って、ご覧になってください。
◆その他、「かみの工作所」のアイテムを扱っている京都市内のショップ
啓文社(一乗寺)、Ange(河原町三条)
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福永紙工株式会社
190-0022 東京都立川市錦町6-10-4
http://www.fukunaga-print.co.jp
s-takahashi@fukunaga-print.co.jp
T:042-524-1515 F:042-527-4632
-かみの工作所
http://www.kaminokousakujo.jp
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-TERADA MOKEI
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-MABATAKI NOTE
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-gu-pa
http://www.gu-pa.jp
-onetosixteen
http://onetosixteen.com
店舗・施設名 | ワコールスタディホール京都 |
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電話番号 | 075-556-0236 |
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交通 | 京都駅八条口より徒歩7分 |
ホームページ | http://www.wacoal.jp/studyhall/ |
Writerデジスタイル京都スタッフ
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