File1：京の町に潜む七不思議を探索せよ！：知恩院編：京都の観光情報

京の町のあらゆることを徹底的にしらべあげる、恐れを知らぬ集団。それが京ノ探偵団だ。
依頼人からの要望に答えるべく、今日も町のどこかで活動している・・・

続いては、円山公園を挟んで八坂神社のすぐ近くにある知恩院へ。

知恩院

東山の麓にある、法然が開いた浄土宗の総本山。現存する日本最大の木造門であり、重要文化財でもある三門があります。この三門にも、七不思議の一つがあります。

【一つ、白木の棺】

三門楼上に、開けずの棺があります。これは、三門の建立者五味金右衛門（ごみきんうえもん）夫婦の自作の木造が入っています。
五味金右衛門は三門建立工事の棟梁でしたが、工事の予算がオーバーしてしまったため、責任を取って夫婦で命を絶ちました。この二人を弔うため、像を白木の棺に収めて、三門の楼上に安置したものです。　
←こちらも重要文化財です。

三門をくぐると、目の前に一面の石段。境内は石段を登ったところにあります。段差が大きい石段を登りきると、すばらしい景色と御影堂が私たちを出迎えてくれます。

【二つ、忘れ傘】

御影堂の外周の廊下に、「忘れ傘この上」と看板があります。その上を見上げると、張られた金網の向こうに、かすかに傘の柄が見えます。これは、江戸初期の建築彫刻の名人、左甚五郎が置いたと言われています。
また、知恩院第３２代の雄誉霊巌上人が御影堂を建立するとき、このあたりに住んでいた白狐が、自分の棲居がなくなるので霊巌上人に新しい棲居をつくってほしいと依頼しました。それが出来たお礼にこの傘↓を置いて知恩院を守ることを約束したとも伝えられています。
いずれにしても傘は雨が降るときにさすもので、水と関係があるので火災から守るものとして今日も信じられています。　

←本殿の廊下から見上げると……。

御影堂から大方丈、小方丈、庭園へと拝観していくと、その道筋にも七不思議が点在しています。

【三つ、鶯張りの廊下】

御影堂と大方丈を結ぶ渡り廊下を歩くと、鶯の鳴き声に似た音がします。忍びの者さえも、その足音を消すことはできなかったとか。
鶯の鳴き声が「法（ホー）聞けよ（ケキョ）」とも聞こえることから、不思議な仏様の法を聞く思いがするとも言われています。
拝観順路はすべて鶯張りで、屋外の部分はかすかな音ですが、屋内で聞こえる音は、寝ているものさえも起きてしまうような音がします。　

←鶯張りの廊下を本殿側から見たところ。

【四つ、抜け雀】

大方丈の襖には、数羽の雀が描かれていました。しかし、あまりに見事に描かれていたので、どこかへ飛び去ってしまったとか。
現存する絵には飛び去った跡しか残っていませんが、雀が描かれていた襖絵を再現、複製したものが展示されています。

【五つ、三方正面真向の猫】

狩野信政筆。大方丈裏側の廊下の杉戸に描かれた猫が、どこから見てもこちらを睨んでいるように見えます。
親猫が子猫を愛む姿が見事に表現されており、親が子を思う心、つまり私たちをいつでもどこでも見守って下さっている仏様の慈悲を表わしているんだとか。
こちらも複製画が展示されています。

【六つ、大杓子】
	大方丈の屋根裏に、長さ３メートル、円形部の直径１メートル、重さは３０キロほどもある巨大な杓子があります。人々を「すくう」という阿弥陀様の一切衆生救済を表わした物です。大坂の陣で、三好清海入道が片手で持って兵に飯を振る舞ったとも言われています。

最後の一つは知恩院の敷地外、黒門の前の交差点の真ん中にあります。一見すると岩が地面に埋まっているだけに見えますが……。

【七つ、瓜生石】
この岩から一夜にして胡瓜（キュウリ）が生えたことから瓜生石の名が付きました。知恩院ができる前からあると言われていますが、一説には隕石が落下した場所だとか、石の下には二条城への抜け道があるとか言われています。

普通の岩に見えますが、じつは……。	黒門のすぐ前にありますが、これは間違い。

知恩院　http://www.chion-in.or.jp/

知恩院のwebサイトでは、除夜の鐘の音を聞くこともできます。訪問が難しい人は、ぜひこちらへ。
境内は拝観自由。
「抜け雀」、「三方正面真向の猫」、「大杓子」は拝観経路にあります。

●拝観時間（方丈、庭園）
３月～１１月　９：００～１６：３０（受付終了１６：１０）
１２月～２月　９：００～１６：００（受付終了１５：４０）
●拝観料
大人４００円　小人２００円
●交通
市バス
・・・・「知恩院前」下車
電車
・・・・京阪「四条」駅より徒歩約１０分
・・・・阪急「河原町」駅より徒歩約１５分
・・・・ＪＲ「京都」駅よりタクシーで約２０分