ほどよい甘みがクセになる
甘栗は、一度食べるとクセになる。包みをあけた瞬間の香ばしいかおり。栗に爪をいれ、皮がうまくむけたときに感じる達成感。口に入れるといっぱいに広がる自然な甘み。食べ始めたら止まらない、魅惑の食べものなのである。
京都には、ひと味もふた味も違う絶品の甘栗を専門に扱う店がある。新京極と寺町の間、四条通に面した林万昌堂。 創業は1874年、130年もの歴史を有しているこの店の四代目、林雅彦さんにお話を伺った。
栗は日本産?
林万昌堂の栗は虫食いがないし、心地よいほど渋皮までもがもクルリとむける。どんな秘密があるのだろうか?
これは徹底した原料栗の選別はもちろんのこと、産地の違いによるというのも大きい。京都には丹波という栗の一大産地がある。甘栗を作るのにも丹波栗を使っているのかとおもいきや、実はそうではない。日本の栗は大型で水分が多く、渋皮も厚いため甘栗の原料としては不向きなのだ。こちらで使われているのは甘栗に最適な「河北栗子(かほくりーつ)」のみ。河北栗子とは中国河北省産の栗のことで、渋皮は薄くて離れやすく、果肉の甘味が強いため焼き栗にもっとも適しているそう。
甘栗ができるまで
原料になる河北栗子を選別したあと、陰干し。さらにこの段階で品質検査をし、焼き上げる。焼き上げた後に再度商品を選別し、やっと店頭へ。作り上げるまでに三段階をクリアした甘栗は、お客様にできたてのおいしさを味わってほしい、と、温かいうちの商品だけを販売している。添加物などを使うこともなく、自然そのままを味わえる「自然の恵み」ともいうべき甘栗。現代の食生活にマッチしたスローフードなのだ。
新栗登場!
10月半ば頃から、河北栗子の新栗を入荷している。もともと風味豊かで甘みが強い栗なのだが、新栗の季節はよりいっそうかおりが強く、あっさりとした風味良い甘栗を味わうことができる。
ぜひこの時期に林万昌堂の甘栗を味わってみてほしい。
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