八起庵の味を家でも食べたい
かぐわしい香りとともに運ばれてきたのは、鴨なんば。 実はこの鴨なんば、行けばいつでも食べられる、というものではない。コースの締め、料理のまとめ役としてだけ登場するのだ。地鶏のうまみを堪能したあとに出てくる締めの鉢は、八起庵の印象を左右する重要な一品。「帰った後、すぐにまた食べたくなったわ」「これこれ、鴨なんばのために今日はコースを食べにきたんや」とは、熱烈なファンの声。トリを飾るにふさわしい品であることがおわかりいただけるだろう。「八起庵の味を家でも食べたい」お客さまの声が、このセット誕生のきっかけになったのである。 |
▲美味しそう! ▲八起庵外観 |
ポイントは「おだし」 細めのおうどんに、九条ネギ。脂がのった合鴨の上に、薬味の山椒はたっぷりと。これら、個性の強い材料をまとめる力となっているのが、鴨なんば用に開発されたという「おだし」。「脂が強い鴨の味に合う、専用のだしが必須なんですよ」と、店主は語る。納得いくまで開発を繰り返し、レシピができるまでに10年。わずかな季節や温度で変化してしまう味に自慢の味は甘みとうまみのバランスが絶妙である。水の良い場所でつくられたおだしは、ちょっと濃いめの味が鴨肉とぴったり。鴨の脂っこさが消え、ネギの甘みとともにあっさりといただくことができる。 ひとつひとつへの心配り それぞれの材料にも心配りが…。 ネギは京都の九条ネギ。箸でうどんを引き上げた時に、麺がからみやすいよう斜め切りにされている。斜め切り、と口でいうのは簡単だが、切る方は非常に手間がかかる。一本一本手間暇かけて、丁寧に切りそろえられていくのである。 山椒は京都にある有名店の最上級品。後味をすっきりとさせる魔法のスパイスだ。 箸までセットされているので、鍋と器さえあれば八起庵の味を誰でも手軽に楽しむことができる。 |
食べてもらったらよくわかる
「高くても本物でおいしかったら、それで通るのんちゃいますか?」とは店主の川西満佳さんのお話。鴨なんば、一杯約1000円。高く感じるかもしれないが、それだけの価値は当然ある。「食べてもらったらよくわかる」。店主の言うとおり、実際に食した人の口コミを中心に八起庵の味は海外へも広がり続けている。 店主自慢の匠品である。 |
▲店主 川西満佳さん |
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