京麩 今は日常的に食べられるようになった麩。その歴史は古く、鎌倉時代とも室町時代ともいわれ、中国に渡った修行僧によって伝えられたとされる。肉食を禁じられている寺院において、タンパク源として重宝されていた麩は、江戸時代になると庶民にも広まってきた。京の街は麩作りにかかせない良質の水が豊富に湧き出ていたことなどから、一つの産業として発展してきたのだろう。京都の中心部には麩屋町という地名が残っていることからも、いかに古くから愛されてきたかがわかる。今回ご紹介する麩太の創業は文化年間というから現在創業200年余、麩の老舗である。 |
生麩と焼麩 麩には大きくわけて二種類、生麩と焼麩がある。小麦粉に水を加えて練り上げ、デンプン質を洗い流すと後にはグルテンが残る。生麩はグルテンに餅粉を加えてじっくり蒸し上げて作るのに対し、焼麩の方は小麦粉を加えて焼き上げて作る。麩太での麩作りは機械化に頼らず、ベテラン職人の手によって昔ながらの製法が守られている。色鮮やかな生麩は油と相性が良い。田楽風に油で焼いて味噌をつけて食べてもよし、揚げ出し風に生麩を揚げ、だしをはっていただくもよし。様々な味を楽しむことができる。 |
丁字麩 麩太の顔ともなっているのが「丁字麩」。条里制の丁、字で区切られたブロックが四角いことが名前の由来になっているとか。丁字麩の製造はほぼ全工程が職人による手仕事のため、一日にフル回転で製造してもできあがる量が限られてしまう。 焼麩のもととなるグルテン分の多い生地を小さく切っていき、一つ一つじっくりと焼き上げていく。こう書くと簡単なようだが絶妙の焼き具合をつけるのには熟練の技が必要だ。そうして焼き上げられた丁字麩は、きめが細かく、しっかりとした生地のパンのようでそのままでも芳ばしくいただける。戻すのには時間がかかるが、食べたときの味はまた格別である。 麩太の麩は、有名料理店の料理から私たちの食卓まで幅広く活躍しているのだ。 |
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